第9話:突然目的が出来るのもいつものこと
世界~の海は~、ワシ~の海~♪
いやさ、キャプテン・ハーロックって「キャプテン」と名が付くキャラで一番カッコいいんじゃないだろうか?
「面舵いっぱーい」
「ヨーソロー」
青い太陽に白い海!
うーん、最高の海賊日和じゃの~。
という始まり方をしてみたキルカッツ海賊団の航海初日であるのじゃ。
「略しておっぱーい」
「ヨーソロー!!!」
船員の船幽霊たちもノリが良く、ワシらに付いてきてくれておる。
決して脅したわけではないぞ。
「キルカッツ様、私以外のおっぱいを欲するというのなら許しませんよ」
今日も可愛いユティは、ワシが浮気でもするのかと疑っておるのじゃろうか?
「ふっ、ワシがユティ以外の女を抱く訳がなかろう。
今のは君の嫉妬する顔が見たくて言っただけじゃ♪」
「もう、キルカッツ様ったら~♪」
「はっはっは」
ユティは可愛い!
それこそ世界と天秤に賭けても悩むことなくワシはユティを選択出来るくらい愛しておる。
それだけ惚れた女がおると言うのに浮気なんぞするわけがなかろう。
「キルカッツ船長~~、突然ですがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、私たちのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ身の上話を聞いてくださいッ!」
「本当に突然じゃな。
相変わらず無駄に伸ばす口調はスルーして、とりあえず言ってみぃ」
元船長にして現・副船長のカイ・ゾクオ。
説明が無駄に長くなるので手短に纏めると、
一、元々カイ・ゾクオ船長一行は海を愛する冒険家だった。
二、だが、ある日自分たちの愛する海を突然どこぞの貴族が自分の領地とし、軍を率いてカイ船幽霊海賊団を追い出した。
三、それで海賊になった。
…………これマジ?
「マジと書いて本気と読むくらいマジマジですよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!
俺達はぁぁぁぁ「お前、口調が面倒だから副副船長に代われ」すいませぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!」
こいつの口調だりぃ。
作者的にも最初は使い捨ての予定だったのにしぶとく生き残っただけじゃしの。
「お呼びとあらば即参上。
オデこそは、キルカッツ海賊団副副船長のヒトシである!」
「よくぞ参ったヒトシよ!
そして始めましてじゃな。
何だかよく分からんノリで船長をやっとるキルカッツじゃ。
これからお前らを追い出した海に向かい、そこの貴族とやらをボコるから舵取り頼むぞ」
「御意」
こいつとは面識はなかったが、元副船長にして現・副副船長のヒトシ・レツカン。
船長が種族『船幽霊』なもんじゃから戦闘は一人でやるし、船員は戦闘に関わらんから面識を取る必要もないという理由でこれまでスルーしておったが、どうやら『コンプレックス』という種族の妖怪らしいのう。
海と言えば夏、夏と言えば海じゃが、そんな夏を楽しく過ごすことが出来ない暗くてキモい連中の怨念から生まれた妖怪じゃと漫画『GS美神極楽大作戦』では描かれておったが、古代人は何を思ってこいつのようなマイナーかつ新参者の妖怪なんぞを作ったのじゃろうか?
ヒトシの口調は忍者マニアということで妙に固くなって居るが、その外見は醜く肥え太った肉の塊という外見じゃ。
河童の連中は服装も外見も個人の趣味で色々といじっておったと言うのに随分とあんまりな体型じゃ。
少しは痩せる努力をせんかい!
見てみい、ユティだってめっちゃ引いとるじゃろうが!
「オデは太っていることが妖怪としてのアイデンティティーだから痩せるなんてできません。
むしろ動けるデブってカッコいいじゃないですか」
「しかし醜いことに違いありません。
あなたそれでよく恥ずかしくないですね?
私はキルカッツ様のお美しいお姿によって審美眼が極まっていますが、それを差し引いてもあなたは醜すぎます。
死ねばいいのに死ねばいいのに死ねばいいのに死ねばいいのに」
「ストップじゃユティ。
ヒトシは外見こそは醜いが十分立派な海賊じゃ。
あまり心を折るでない」
ユティにボロカスに言われたヒトシは心を折られてしまった。
忍者に憧れていた割には心が弱すぎるじゃろ。
「ハハハハハ……、なんだかオデが醜いから湿っぽい話になってしまったね。
まぁ、これでも海の妖怪だから仕方がないんだけどね。ハハハ…………はぁ」
こうして副副船長の心を折りながらも天候にも風にも恵まれたワシらキルカッツ海賊団の船旅はいいものなのであった(無理矢理なまとめ)。
チャンチャン♪
昔と違って二作三作同時執筆がきつくなってきた……。
10作目の筆が止まってしまうな。
まぁ、MHP2Gがいま熱いですからね。