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アバンチュールの名の下に  作者: ヨイヤサ・リングマスター
第一部:異世界でのアバンチュール編
3/11

第3話:キルカッツ・ウィルムヘッドのドキドキ大冒険

 恋人のユティが大好きなキルカッツの極普通の日常を淡々と描いた物語です。


 過度な期待をせずにキルカッツにとっての「極普通」がどんなものなのかを見ていってください♪


 今回の作品は3話まで含めてプロローグみたいなものですので投稿初日で3話更新にしました。


「なぁユティ」



「なんですかキルカッツ様」



「アバンチュールって熱くね?」



 キルカッツの突然の一言。


 だがその突然のセリフも、その言葉を向けた相手であるユティには当然の流れであり、突然に感じなかったので突然の一言というのもおかしいかもしれないが、この場にはユティ以外の人間もおり、その人間からしたら突然の一言なのでやはりキルカッツのセリフは突然の一言と表現するのが正しいのだろう。



「いやさ、ワシがこの世界に召喚、もとい自分から世界渡りでやってきてからすでに半月経つしさ、そろそろワシらも次の段階に進むべきだと思うんじゃよ」



 キルカッツがこの世界に召喚されて魔王を名乗る痛い人物をぶっとばして半月。


 その間ずっと食っちゃ寝を繰り返し、恋人らしくイチャイチャとしていたキルカッツとユティ。


 そんな二人だが意外とそういうところはピュアなために、まだ手を握った程度の関係だったりする。


 そしてキルカッツが行き着いた次の段階というのがアバンチュールというだったのだ。



「アバンチュール……、いいですねキルカッツ様。

 私はあなたのその突拍子もないところが大好きですわ♪」



「いやいや、姫様!

 キルカッツ殿の発言に対しての感想がそれだけですか!?」



 ユティは恋人であり自分の最も愛しい存在であるキルカッツのためならどんな場所にも付いていくし、どんな時でも一緒に居たいと思っているが、それはこのフニャララ王国にて長い間ユティを王女として教育してきた男には理解しがたいものだった。



「キルカッツ殿。姫様をどうするつもりですか!?

 アバンチュールだなんて、もしかして危険な場所に姫様を連れて行くんじゃないでしょうね?」



「何を言っておる。

 ワシが側にいる状況でワシらに『危険』というものを感じさせることが出来る存在など自然災害を含めたとてあり得んじゃろうが」



 実に自然な動きで自分で淹れた紅茶アッサムのミルクチーを美味しそうにすするキルカッツ。


 砂糖もミルクもたっぷり。彼は甘党だ。



「簡単に言うとじゃな、『ワシ、ユティ、大好き、異世界、旅行』の流れじゃ」



「さすがはキルカッツ様!

 私はあなたのそういうところが大好きなんですわぁぁぁ~ん♪」



「えぇぇぇぇー!?」



 キルカッツの首に腕を絡ませ互いの頬をすりつけ合う二人。


 どこから突っ込んでいいのかわからないこの状況にツッコミを入れたのは、やはりユティの御側仕えである男だった(ちなみに名前を出すつもりはない)。



「異世界って危険なんじゃないんですか!?

 姫様みたいな世間知らずが言っても襲われますよ!

 食べられちゃいますよ!」



「いい加減ユティ離れをしたらどうじゃ傍仕えのおっさん。

 もし危険な目に会っても、そこはほれ、ワシの神様級の魔法でちょちょいのちょいじゃ。

 というかこの説明を何度も繰り返させて文字数を増やそうという魂胆はいかんぞ」



「チッ!」



 文字数云々と言うよりは、すでに心の中では話しの流れ的にキルカッツとユティが異世界へアバンチュールの旅に出ることは決定事項だと考えているので、その間に自分の出番を増やそうと考えただけであったりする。



「まぁ、そういう訳じゃ。

 障害は愛を深める!

 すなわち障害が多いからこそ愛であり、愛=危険なのじゃ!」



「その通り、血で血を洗う血みどろドロドロのバトルの末の熱い抱擁、そして心の内を愛しい殿方のみで満たす甘い口付け……最高のシナリオだわ!」



 いつのまにやらアバンチュール旅行のシナリオを執筆しはじめていたユティ。


 秒速1万文字書き上げるその筆速によるシナリオは、すでに厚さ10センチを超える超大作となっていた。



「ふふふふふ、ここで私たちが一旦ピンチになって……、キルカッツ様が覚醒して敵を討つ。

 その後全身を血に染めながら最後の別れとしてキスをせがむ私……だがすでにその時には事切れてしまった私に涙を流しながらも濃厚なキスをするキルカッツ様。

 ……と見せかけて実は私の体に付いた血は、相手を殺戮した時の返り血であって怪我ひとつなく夕日をバックに『これからもずっと一緒だよ』なーんて囁かれてみちゃったりして♪ しちゃったりして♪♪」



「私は姫様の幼い頃から教育係もしてきましたが、どこかで間違ってしまったのでしょうか……」



「心配するな、恋愛感情というものは人の心を曇らせる。

 だがワシらのこの熱い心は恋ではなく愛である!

 お互いを助け合い、幸せしかないハッピーエンドになる予定じゃ」



 愛は天使的、恋は悪魔的などと言うが、相手に自分を押し付けるだけの恋ではなく、相手のことを第一に考えるユティの気持ちは紛れもない愛であろう。


 ただまぁ、その相手であるキルカッツも盲目的にユティのことを愛しているので、たとえ二人の感情が愛であったとしてもお互いの幸せが周りにとっても幸せかどうかは分からないが。



「そうですか……、すでに私は胃潰瘍が進行していますからね。

 行くならさっさと行ってください」



 傍仕えの男の、この言葉を待っていたと言わんばかりに呪文詠唱を唱えるキルカッツ。



「えーと異世界へ行く呪文ってどんなじゃったかの?」



「それなら私が詠唱しますキルカッツ様。

 アバンチュールを体験できる世界への異世界転移の呪文ですね♪」



 神様から愛されまくっているキルカッツは魔法の詠唱をする必要もないのだが、呪文は毎回何かしら唱えるという、こだわりを持っていた。


 だが今回はユティが詠唱するというのでその呪文がどんなものになるのか面白半分、ユティ愛半分で見守っていたのだが……。



「私とキルカッツ様の愛がもっとも育まれるパーフェクトかつ危険いっぱい夢いっぱい、血みどろドロドロ愛憎劇が繰り広げられて人が人を信じられず、それでいて愛し合い、殺戮本能に溢れた人たちが平和で暮らす活火山しかなくて毎日火山が噴火して海は三日に一度酸の海になり紅い月が出るような気持ち悪さに溢れた世界を『造れ』♪」



 異世界への転移だと思っていたキルカッツの意表を突いたのは何よりもその『造れ』の部分だった。


 何を造るのか?

 どんな世界になるのか?


 そんな考えがよぎったが、キルカッツは考えることをやめた。


 すなわち流れに身を任し、成り行きを楽しもうというだけの思いからである。




 そして当然の流れながらこの作品も段々と三人称から一人称の作品になりますのでここまでが三人称の話。


 一人称のキルカッツ視点の話になるともう少しだけ暴走出来ると思います。


 流石にこの程度の勢いでは「突拍子もないw」とか「馬鹿すぎるw」みたいなツッコミは来ないでしょうしね♪


 私の戦闘力はフロム指数180万です。

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