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私は二度、三十キロ痩せた  作者: かゆると


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思ったより、強い方なんですね

温かい日の光が

差し込む会議室。


静かな沈黙だけが

その場に流れていた。


私は、ただ

上司たちの答えを待った。


答えに詰まるということは


つまり……


情報が漏れている自覚が

あるということだ。


人は、図星を突かれると

言葉に詰まったり


時には、怒ったりする。


悪気があるとか

ないとかじゃなく


きっと、人間なんて

そんなものなんだと思う。


「……分かりました

 条件は、他に……ありますか?」


沈黙を破ったのは

総まとめの上司だった。


その表情は

少しだけ、強張っているように見えた。


(……痛いところを突かれたって顔だな)


そう思いながら

私は静かに答える。


「いいえ、その条件さえ

 守っていただけるのであれば

 他に要望はありません」


一度、深呼吸をする。


そして


「フルタイムパートに、ならせていただきます」


私の答えを聞くと


直属の上司が

ホッとしたような顔をした。


「ありがとうございます

 よろしくお願いします」


そして


「それから……」


そう言って

総まとめの上司を

ちらりと見る。


「これから先……

 何か気になることがあれば

 遠慮なく言ってください」


そう続けた。


「はい、ありがとうございます」


「ちなみに……

 私自身も、誰かに聞かれたら

 時給については、一番低い金額だと話します」


そこまで言ってから

私は、少しだけ言葉を止めた。


頭に浮かんだのは……教育係。


そして

〘村長〙みたいな立場の

あの人の顔だった。


「だけど……

 もしかしたら、ですし

 自惚れだと思われるかもしれませんが……」


「それについて

 何か言う人がいたら

 新人だから、これから徐々に…って

 答えていただければと思います」


上司たちの立場を考えると


なんとなく……

逃げ道を作っておく必要がある気がした。


この会社は、おそらく


社員よりも

パートさんたちのほうが強い

そんな空気があった。


パートさんたちに


逆らえない


というわけではないのだと思う。


でも、数年ごとに異動があるとはいえ


この会社にいる間は


出来るだけ穏便に

問題なく


過ごしたいのだろう。


きっと、それが

社員側の本音なのだと思う。


そして、その気持ちも

私には、なんとなく分かった。


黙って聞いていた

総まとめの上司が


小さく、ふぅ……と


息を吐いた。


そして


「思っていたより……

 強い方、なんですね」


そう言って、少しだけ笑う。


「色々考えてくださって……

 ありがとうございます」


「改めて、これからよろしくお願いします」


「あ、いえ……

 生意気な言い方をして、申し訳ありません」


そう言って

私は椅子から立ち上がり、頭を下げた。


そして、改めて二人の目を見る。


「精一杯頑張りますので

 こちらこそ……改めまして

 よろしくお願いします」


そう言って

私は、笑顔で頭を下げた。

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