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私は二度、三十キロ痩せた  作者: かゆると


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38/67

たった一杯から、変わった朝

お酢を飲んだ、翌日


寝不足のだるさで

起き上がるのも、つらかった。


それでも——


起きなければならない。


なんとか身体を起こし

ゆっくりと立ち上がる。


足を床につけた


その瞬間——


(……あれ?

 痛く、ない)


毎朝、最初の一歩は

決まって、痛かった。


浮腫んだ足で


かかとに体重を乗せると

ズキン、と響く。


それが

当たり前だった。


なのに今日は、ない。


その痛みがまるで

最初からなかったみたいに

消えていた。


それだけじゃない。


寝不足のだるさはあるのに

妙に、身体が軽い。


頭も——


いつもより、はっきりしている。


(……なんで?)


(もしかして……お酢?)


その日は

ちょうど、仕事が休みだった。


息子を学校へ送り出して

一息ついたあと


私は、スマホを手に取った。


お酢について、調べてみると


内臓脂肪や体重の減少。


食後の血糖値の上昇を抑える働き。


血圧を下げる作用。


疲労回復。


それに

便秘の改善。


(……こんなに?)


思わず

画面を見つめたまま、固まった。


たった一杯の、お酢で


こんなにも効果があるなんて

思ってもいなかった。


(……そりゃ、身体も軽くなるか)


昨日の感覚が

ゆっくりと、繋がっていく。


かかとの痛みがなかったこと


妙に身体が軽かったこと


頭が、はっきりしていたこと


全部、偶然じゃなかったのかもしれない。


(……ちょっと、続けてみようかな)


飲むタイミングは

夜、寝る前にした。


朝に飲むのがいいという

情報もあったけれど


あの頻繁な尿意を思い出すと

仕事中は、とてもじゃないけど無理だった。


量も、調べた。


一日に、大さじ一~二杯程度。


ただ、もちろん

良いことばかりじゃない。


歯への影響


胃や喉への刺激


カリウムのバランス


糖質の問題


金属への影響


気になる点は、いくつもあった。


でも、今飲んでいるのは

ただの、穀物酢。


コップ一杯の水に対して

大さじ一杯。


甘みもない

シンプルなものだ。


(……まあ、気をつけるところは

 気をつけていけば、大丈夫でしょ)


そう思えた。


やっと、ひとつ。


〘続けられそうなもの〙に

出会えた気がした。


そして——


その予感は

裏切られることは、なかった。


三年経った今も

私は

お酢と、付き合っている。

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