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私は二度、三十キロ痩せた  作者: かゆると


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36/68

食ったら、動け

『ふーん、なんでまた?』


この一言は——


30キロ痩せた今でも

私の中に、残っている。


まるで

お守りみたいに


あのときの自分を

引き戻してくれる言葉。


もし、この一言がなければ


私はきっと


〘痩せること〙


そこを一番にして

今も、迷い続けていたと思う。


義兄の言葉のあと


私は


“健康になること”


それを改めて

一番に考えるようになった。


じゃあ——


何をすればいい?


やっぱりまずは、食生活。


でも


(私のことだから

 また、食べなくなるかもしれない)


ちゃんと食べて


でも、無理なく

続けられる形で。


楽しめなければ

きっとまた

同じことを繰り返す。


カロリー計算は——


無理だ


面倒くさいし

続く気がしない。


(じゃあ……どうする?)


答えは

なかなか出なかった。


そんなとき——


久しぶりに、姉と会った。


なかなか人に会えない時期で

一年以上、顔を合わせていなかった姉。


その姿を見て——


思わず、声が出た。


「や、痩せたね……!?」


まるで

昔の姉に、戻っていた。


「ポイ活でさ

 ウォーキングしてるんだよね」


聞けば、朝早くから

三時間以上、歩いているらしい。


さらに

カロリー計算もしているという。


(あの姉貴が……

 お菓子も食べないなんて)


驚いた。


でも同時に

思ってしまった。


(……それ、続くの?)


失礼だけど

正直な気持ちだった。


でも——


ウォーキング。


それは

考えたことのない選択だった。


(……歩く、か)


当時の仕事は

ホームセンターのアルバイト。


10時から15時の週5日。


時間は、ある。


やろうと思えば

できる。


でも——


(続くの?雨の日は?)

(やる気がなくなったら?)


また、やる前から

考えてしまう。


そんなとき——


友人と会った。


友人は、義姉と同じく

胃下垂でとても痩せている。


仕事柄もあってか

身なりにも気を遣っていて


とても綺麗な子だ。


でも——


思ったことは、そのまま言う。


オブラートに包むことは

まず、しない。


そんな友人が、言った。


「ダイエットしてんの?」


「うん

 健康のためにね」


「で、何してんの?」


これまで考えてきたことを

そのまま話した。


すると——


「……ふーん」


「あのさ…

 色々言い訳してないでさ

 迷ってるなら

 とりあえずやれよ」


そして——


「食ったら、動け」


——ぐうの音も出なかった。


『はい……ですよね』


それしか、言えなかった。


その日、帰宅してすぐ

私は外に出た。


とりあえず

歩いてみよう。


たった20分。


それだけなのに

汗で、びっしょりになった。


そして——


歩き終わったあと


胸の奥に

じんわりと広がる感覚。


達成感


それと同時に

少しだけ

身体が軽くなる。


(……あれ?)


不思議な

高揚感だった。

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