生きるための、決意
次に目が覚めたとき——
全身、汗でびっしょりだった。
(……生きてる)
ゆっくりと
手を握って、開く。
もう一度
ちゃんと、動く。
でも——
どこか、うまく力が入らない。
浮腫んでいるのか
握りづらくて
自分の手なのに
少し遠い感じがした。
身体を起こそうとする。
……動かない。
時間をかけて
なんとか上半身を起こし
四つん這いで
台所へ向かう。
水を飲む。
喉を通るたびに
身体の奥に
染み渡っていく。
まるで
何日も飲んでいなかったみたいに
——美味しかった。
少しずつ
呼吸が、落ち着いていく。
しばらく
その場に座り込んだまま
自分の呼吸だけを
何度も、確かめた。
吸って。
吐いて。
それだけのことが
こんなにも
ありがたいなんて
思ったことはなかった。
心臓の音が
まだ少し速い。
でも、ちゃんと動いている。
(……生きてる)
そう思った瞬間——
さっきまでの恐怖が
一気に、押し寄せてきた。
もし…あのまま
目が覚めなかったら——
朝になって
息子は
どうしていただろう。
私のことを
どんな顔で、見ただろう。
そんな想像が
頭から、離れなかった。
(……ダメだ)
あんな思い
もう、したくない。
あの子にも…させたくない。
昨夜のことを思い出すと
背筋が、ぞくりとした。
(……あれは、何だったの)
そう思ったけれど——
答えは、もう分かっていた。
最近の、自分の生活。
三食はもちろん
お菓子も、夜食も
好きなだけ食べて。
仕事から帰れば
家事を終えて
あとは——
食べて、寝るだけ。
そして
あの白血球の数値。
身体が悲鳴を上げても
おかしくなかった。
分かっていたはずなのに
変えられなかった。
(……このままじゃ、ダメだ)
(たぶん、次は——)
(本当に、死ぬ)
太いとか
痩せてるとか
そんなことじゃ、ない。
——生きるために
痩せよう。
そう、決めた。




