表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Dawn  作者: ひよこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/77

 




 わがままか。


 それはわがままだ。


 わがままになりたいと望んでは。


 結局は、自分の意思では無いのだから。


 胸に突き立てられた、ナイフ。


 抜くことも叶わない。


 深く沈んでいく。


 心臓の奥深くに仕舞われた。


 もう二度と取り出せない。


 鍵は金庫の中みたいだ。


 金庫は盗まれた。


 だから僕は追いかけた。


 追いかけた……。


 でも追いつけなかった。


 翌日、金庫はゴミ捨て場に置いてあった。


 中身はそのままだった。


 なんて事はない、中にもゴミしか入っていなかったのだ。


 こんなものを抱えて何年もよく生きてきたな。


 盗まれて良かった。


 でも鍵が無かった。


 また違う誰かが持って行ったのかも知れない。


 好きにすればいいが。


 彼は呪いの言葉を吐いただろう。


 盗まれた上に、何故そんなことまでされなきゃあいけないんだ?


 いつも傷つけられる。


 確かに、こないだ、倒れている人を見かけても助けなかった。


 僕も傷つけた。


 あの人を救わなかった。


 皆だっていた。


 何故僕だけ責めるんだ。


 だから嫌だったんだ。


 死んでいれば良かったのに!


 あの時!!


 誰も助けてくれなかったのに……!


 足が震えている。


 寒い。


 血が凍るほどの寒さ。


 冷たい人間。


 機械より人形より愚かで馬鹿でどうしようもない。


 何が出来るのか、何がしたいのか。


 それだけを与えられたもののなんと幸せなことか。


 考えれば更に震えが止まらなくなる。


 冷たいのは、冷たいのは……。


 少なくとも何も着ていないせいでもあった。


 警察が飛んでくる。


 翼を広げて飛んでくる。


 警察もまた何も着ていなかった。


 何故震えないでいられるのか?


 手錠足錠首錠。


 目錠鼻錠耳錠口錠。


 いつもと変わりはしない。


 連行されることだけが嫌だった。


 知らない景色。


 その苦痛だけは誰よりよく知っているつもり、そういう風な顔をする。


 当然誰も気付かない。


 誰も見ていないから。


 誰も居ない劇場。


 一人踊らされている。


 逆立ちで。


 頭が床に擦り付けられる。


 血が滴る。


 誰も見ていない。


 糸は切れている。


 逆立ちのまま踊る。


 まばらな拍手が送られる。


 感覚が無い。


 いつの間にか体がバラバラだからだ。


 大歓声。


 ピアニストが応えた。


 確かに彼は素晴らしい演奏だった。


 誰も踊りなど観ていなかった。


 体を繋ぎ合わせ、一人で帰る。


 うまく歩けない。


 指が無いからだ。


 細かい部品は拾えなかった。


 這って進む。


 景色が変わる。

 

 星が綺麗だ。


 知らなかった。


 下ばかり向いていたから。


 こうなって初めて知った世界。


 願いをかけようか。


 どうかこのままであって欲しいと。


 星が落ちてきた。


 流星が胸を貫く。


 星が落ちてきた。


 頭を削り取る。


 地面にめり込んだ星は、ルビーの輝きだった。


 誰かが拾って行った。


 家までもう少し……。


 あと、少し……。


 あと……。





 体が動かない。


 体なんて無いのに。


 でも、もう限界だ。


 悔いはない。


 ただ悔しいだけだ。


 もっと。


 掴めたはずだった。


 それが出来なかった。


 家が遠ざかっていく。


 どうしても自分が許せない。


 ただ一つの願いさえも叶えられないのか。


 その時、何か光が見えた。


 空の奥。


 耳で見、口で聞いた。


 頭が遠くに転がっていくのを指で嗅ぎとる。


 光が、感覚を潰す。


 伏せていなければ危なかった。


 星が……星が百、千……。


 なんて恐ろしい輝きなんだ。


 願いを叶えようというのか。


 やめてくれ……。


 やめて……。


 

 や……。


 

 

 やめてくれえええええ!!!!!


 


 体が浮き上がる。


 天地が逆さになる。


 星が輝いているのでは無い。


 あれは、観客達の目だったのだ。


 ずっと見ていたのだ。


 今こそ終幕を見届けようと目を輝かせたのだ。


 願いを叶えるのをやめろーーーーーーーっ!!!!!!


 ギュイーーーーーーーン


 引っ張られるように吹き飛んでいく。


 明らかに重力の法則から外れ……て……。


 ドンッ


 気が付けば心臓が屋根に突き刺さっていた。


 動けない。


 鍵が……。


 引っかかって、い。


 家のドアの、鍵、だったのか……。


 それさえも分からずに……今まで………………


 い、ま、ま、





 ザーーーーーーー


 ジャーーーンジャカジャーーーーーン


 ドロロロロロロ


 パァーパパパパーーーーファファファファーーーーーン


 ピューピュー


 ジーーーーーー


 ジャンジャン


 ウィーーーーーーー


 カタカタカタカタ


 ガタッ


 ガタッガタッガタガタガタ


 ガヤガヤ


 ワイワイ


 ギィー


 バタン
























評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ