闇
今日も起きた。起きた。起きてしまった。
夢から覚めた。覚めた。覚めた……。
闇の中、漂っていた。
永遠に。
一瞬で目覚めた。
要するに、普通の睡眠だった。
そう思っているのはおそらく自分だけなのかも知れない。
脳が垣間見た闇の奥、光の底、心の果て。
耐えられずに鍵をかけ、見て見ぬ振りをした。
今日は夢を見なかった、なんて言っているのは気が付かなかった、気が付けなかった、許されなかっただけなのだ。
そんなことも分からずに阿呆面で目覚め、馬鹿のように起き上がり虫のように暮らしまた何か分かったようなふりをして眠りに付くのだ。
宇宙が塞ぐ。月が見ている。星が瞬く。親が見ている。その淵に居た。
いつ目覚めるとも知れぬこの生から。
もう嫌だった。
今日も明日も嫌だった。
また目覚めた……。
現実かも知れないし、幻かも知れないし、夢かも知れないし、何も知らなくても確かなことは逃げられないことだけだった。
逃げる人は羨ましかった。
逃亡成功か失敗かに関わらず憧れの的だった。
何故そんなことが出来るのか?
この人生にあって何故そんなに大それたことが出来るのか? 足が動くのか。
勇者だった。
愚者、貧者、聖者、亡者、なにを合わせても彼らには追いつけない。
ただその足取りを、軽やかなステップを、腕の振り、燃える瞳を、指を咥えて見ていることしか出来ない。
君たちこそは本当の賢者であり覇者なのだ。
誰も気が付かずに……遠くなった影を見ている。
誰も気が付かずに……。
まだ覚めない。
まだ夢を見ている。
夢を聞いている。
その舌触りに触れていた。
水に味がしないのと同じようなものなのか。
だから気が付いていないだけなんです。
そこにあるのに。
どうしていつも同じことの繰り返しになるのか、いつも。
それこそがまるで尊いかのように振る舞う。
もっとも飛べないことに涙することを自覚させられる。
だから嫌だった。
自由であるはずなのに。
この現実から逃げられるはずなのに。
実際はもっとも不自由で苦しくて、無理矢理身振り手振りさせられる行進曲なのだ。
何故……眠らなくてはならないんだろう。
練習はもう飽きた。
のに。
そこに意味を求めてはならない。
意味など無い。
無いことも無い。
なに本気になっているの?
ただの、線ですよ?
そこに発生するものこそ、夢なのか。
闇のごとく確かにして虚ろな、曖昧で、でもだから良いんだよね。
みんなそう言うよ。
僕は違うけど。
刺したいよ。
はっきり言うと、刺したい。
えぐりたい。
穴を開けたい。
こういうことを攻撃性とか言って欲しくない。
違うから。
闇だなんて、言うな。
言われれば言われるほど、我慢が出来なくなるから。
眠れないから。
分かった?
わかるのか?
違うのか?
そこに居ないのに?
君に話しかけている訳では無いよ?
誰も居ない。
また朝が来て、夜が来た。
ゆっくりと傾く天秤だ。
乗せられる分銅が海と空だ。
決して降りられない。
世界は、小学生の理科の実験だったんだ。
誰も気にしていないし、誰かが失敗するし、そのうち辞めてしまうものなんだ。
でも大それては居た。
もう出来ないことをやれていた。
まあ楽しかったと思う。
だからと言ってあの頃に戻りたい訳では無い。
むしろ焼却したい。
心の炎が今燃えている。
でも、いつかは消えてしまうんだよね。
泣いていた。
理由は分からなかった。
そんなことより早く準備をしなくちゃ。
そしてまた、目が覚めた……。




