4・接触
今晩は重太郎さんと一緒に見廻る。
龍さんは土佐藩の為、そうそうは頼めない。
まぁ俺が狙いらしいので毎回順路も決めてやる事にした。
日本橋から八丁堀方面に行って戻ってくる経路だ。
ザッ!
「むっ、出たか!」
面頬を着けた3人が木の影から現れた。
右手の龕灯を3人に突き出す。
怯んだ瞬間左手で剣を抜き1人を切り捨てる。
隣の男の切りかかって来た剣を右腕の鋼鉄入り鉄甲で受け、男の両足をスネから切ると男の背が1尺落ちる。
男は両足から血を吹き出しのたうち回っているところを止めを差した。
後方に下がった1人は重太郎さんが飛び込み、抜き胴で斬り捨てた。
「おぉ!見たぞ、見たぞ!秘奥義・一撃!」
後ろで声がして振り向く。
十分に距離を置いた所に喜三郎が立っている。
「まさか逆手居合だとは思わなかったわ!右腕は盾か!なかなかそれは出来んな!そう言えば親父も貴様も左ききだったな!それに何だその鞘は?なかなかの工夫では無いか!」
「喜三郎!もうやめろ!」
「黙れ兵助!良い事を教えてやろう、俺も左ききなのだよ!首を洗ってまっておれ!」
◾️◾️◾️◾️
翌日から辻斬り騒ぎはぱたりと収まった。
「首を洗って待っておれとは、兵助と立ち会う気か?」
道場で重太郎さんと龍さんに稽古を付けてもらっていた。
「はぁ・・・」
「何だその気のない返事は」
「手前何故、立ち会わなくはならないのかが分かりません」
「伝承者は1人で十分と言う事では無いのか?」
「何人いても良いのでは無いですか?」
「己が一番になりたいのであろう」
「何故でごさいます?私は戦いたくありません話し合いではダメなのでしょうか?」
「・・・・」
「・・・・」
「いやっはっはー!それはおかしいぜよ!」
「首を洗って待ってろって言う奴に“話し合おう!”なんてノコノコ行ったら、これ幸いと首切られると思うが?なあ龍さん?」
「重太郎さんの言う通り!相手はそうは思わんき兵助はすぐあの世行きぜよ。殺す方が簡単で後腐れないがぜよ。兵助はまっことめでたい奴じゃき」
「・・・でも、喜三郎さんとちょっと話したいです」
「あまりおすすめ出来んなぁ・・・」
「兵助、おんしの頭はお花畑じゃのう」
何事も無く3ヶ月程過ぎたころ、喜三郎から手紙が来た。
子の刻に茅場の橋近くの空き地に呼び出された。




