表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

2・宮本喜三郎

(・・・・来ないな)

日本橋で龍馬を待っているのだが・・・

(仕方が無い今日は一人で行くか)

兵助は八丁堀方面に向かって歩き出した。


茅場辺りに差し掛かった時、何者かに道を塞がれた。

(5人?コイツらか?)


5人の鯉口が切れる音がする。

壁を背にし刀を前に出し居合腰を取る。

「北辰新陰一流とやらか?誰が南総だ?」


話しの途中で右手の男が斬りかかろうとした腕を、抜き打ちで斬り飛ばす。

居合は後の先では無い。(せん)(せん)である。

気勢を制し葬るのだ。

抜いた剣を素早く左脇の下段に取る。


奥に居た6人目が現れた。

「その構え、間違い無い田中兵助だな!」


下段を解き、中段に構え剣先を小刻みに動かす。

それに連動し身体も前後に軽く跳ぶ。

「小賢しい・・・次は北辰一刀流か!」


声に覚えがある。

宮本喜三郎(みやもときさぶろう)か?」

「いかにも!探したぞ兵助」

鳥取にいた頃同じ師匠の元で修行した兄弟子だ。

その師匠は兄弟子の父親である宮本嘉一(みやもときいち)だ。

嘉一は若いうちから伯耆流の分派を学び、更に自分なりの秘奥義を持っている。

7度に及ぶ真剣での立ち合いに不敗を誇っているのも、その秘奥義ゆえと噂された。

宮本喜一の秘奥義“一撃(いちげき)”は藩の剣士の憧れであった。


息子の喜三郎は当然伝授されると思っていたが、他藩の過激派と交わり討幕を叫び出したために勘当された。

その後、喜三郎は脱藩し京にのぼった。


その後の宮本嘉一が、(がん)であっさり急逝した。

奥義は兵助に伝承されて居たと言う噂が流れた。

兵助は否定していのだが、その噂を聞いた喜三郎は、兵助を屠り秘奥義・一撃をこの手に必ず手に入れようと誓った。

兵助が江戸藩邸勤めになったと噂で知り、京から江戸に出てきたのだ。


「探したとは?何故?」

「うるさい!貴様早く秘奥義・一撃を出してみよ!」

「それは師匠が墓まで持って行ったわ!」

「小賢しい嘘をつくな!お前は昔からそうだ!逃げてばかりだ!」


喜三郎は顔を真っ赤にし激怒している。

喜三郎の剣は動乱の京の実戦で人を斬り、無駄な動きが無くなり凄みが出ている。

隙を見せても踏み込んで来ない。

釣り手にも掛からない。


(まぁそもそも同門だし、やりにくいな)

喜三郎のやや癖のある右上段に構えた剣は、確実に相手を屠る一瞬を狙っている。

(喜三郎さんのこれは人斬りの剣だな、この技こそ“一撃”と言えるな・・・)

喜三郎の仲間もなかなかの腕前のようだ。懐を広く楽に構えている。


(コイツら斬り慣れてる。この5人の相手は無理だな)

腕を切り落とした男は動かなくなっている。あと5人なのだが上手く陣形を整えており、なかなかに隙が無い・・・


(仕方がない全力で突っ込み逃げるか・・・)

兵助が覚悟を決めた時、敵の背後から大柄な男が飛び込んで来た。


その男は飛び込みざま1人切り捨てる。

その後を小柄な剣士が切り込み1人の剣を払い落とした。


「すまん!待たせた」

「兵助様!無事ですか?」

坂本龍馬と千葉さな子だ。さな子は2本差しの若侍の格好をしている。

「龍さんとさな子さんか!助かった!」

「いゃぁーさなさんの着替えが遅れてしもうて参ったぜよ」

「違います!そもそも坂本様が遅れたんでしょ!」

「あはは、悪かったぜよ。でコイツらか?おまんら、ちくーっと痛い目に遭わしちゅーきに!」


「くっ、引け!」

途中まで追いかけたが、用意してあった船に乗って逃げて行った。

奴らは水路を移動しているようだ。


騒ぎを聞きつけ奉行所から町方が到着する。

「あぁ、これは千葉の(ひい)様でしたか」


さな子が居たおかげもあり、勝麟太郎殿の話を説明するとすんなり解放された。


切られた男達は水戸藩脱藩者で水戸天狗党の者だった。天狗党には京で壬生狼と呼ばれる芹沢鴨・新見錦などとにかく過激な者がいる。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ