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1・田中兵助

「やっぱりここにいらっしゃったのですね!」

「はい?」

稽古後に井戸で汗をながしていると、遠くから元気なよく通る声がした。

小柄な女性だか侮ってはいけない。

この女性はなかなかの剣の遣い手である。


「あら?兵助(へいすけ)様でしたか」

「おぉ!さな子さんどうした?」

「坂本様かと」

「あぁ龍馬さんですか、私の前に水浴びしてましたよ?」

「まぁ!逃げられたわ!」



ここは北辰一刀流の道場だ。

千葉周作の神田お玉ヶ池の玄武館を大千葉。

こちらの桶町の千葉道場は周作の弟、定吉と息子の重太郎・娘のさな子で開いており、小千葉と呼ばれている。

大千葉・小千葉共に各藩から留学者が多く人気の流派だ。

さな子が探していた坂本龍馬も土佐藩の者だ。


大千葉は水戸藩と繋がりが強く仕官する者が多い。

道場主の定吉殿と重太郎殿は鳥取藩の藩主である池田慶徳が水戸の出身と言う縁もあり、鳥取藩江戸藩邸の勤めとなっている。


田中兵助は鳥取藩だが家族が流行病で他界し、天涯孤独の気軽さから江戸藩邸勤めに任命された。

兵助は伯耆流居合を遣うが、剣術の流派を学びたいと思っていたので渡に船であった。

他流派を学べる機会など、そうそう無い。


居合は抜く前であれば絶対的な結界を展開出来るが、抜けばあとは剣術なのだ。

ただ伯耆流の技は1つ1つが無駄なく短い型なので、その各技の組み合わせによりかなり剣術の部分を補える流派ではある。

とは言え他の流派も学べば、更なる高みを目指す事が出来るのは間違いない。


水浴びを終えると重太郎さんから部屋に呼ばれた。

部屋に入ると塾頭の坂本龍馬が胡座をかいて座っていた。その横に座る。

「龍さん、さな子さんが探しておったぞ?」

「ん?なんじゃろうな?後で聞いてみるか」



「二人に話しがある。先日、千代田の城で勝麟太郎様にお会いしたのだが、北辰新陰一流を名乗る輩が道場破りをしてるようだが、同じ北辰だがそこもとの流儀と何か関連があるのか?と聞かれてな」


「はぁ?なんじゃそりゃ?勝先生もわかっとるじゃろ?」

龍馬が口を開く。

「もちろん無関係だと分かって言っているが、ただの確認だ」

「では何故?」

「そやつら辻斬りをしているようなのだ」


「!?」


「例の一連の件か!」


ふた月ばかり前から辻斬りが出て、もう13人ほどやられている。

普通の辻斬りと違うのは二本差だけ狙っているのだ。

小さい道場の有志の者が見回っているがその者もやられている。

賊のくせになかなか遣うようだ。


「で、内々のお願いだが、小千葉でそ奴らを狩ってくれんか?っと言う事だ」


「そ奴らとは?」

「一人で無いんかい!」

「5人らしい」


「ところで何故、ウチなのでしょう?」

「その北辰新陰一流の宗家の南総里見(なんそうさとみ)言う男は鳥取藩らしい」


「流儀の名といい、その者の名といい、まあふざけておるの」

定吉先生は呆れている。

「鳥取藩の者と言うことでウチは鳥取藩の江戸藩邸の者だしの」


「父上の言うように、大事にならんうちに、内々で処理しろと言う事だ」

重太郎さんはため息を吐いた。


「ワシは何で呼ばれたんじゃ?」

龍馬が首を傾げる。


「兵助一人は流石に危ないので、龍さんにも手伝ってもらいたい」


「構わんぜよ」

何でも無い事のように龍馬は受け入れた。

「では早速今夜から頼む」


夜、龍馬と道場で待ち合わせる事にした。





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