第6話〜AIと店員と限度額が超えた時〜
前回のあらすじ。さくらのあれがあれしてこれがこうなって、それから3日が過ぎた。
さくら:「……ねぇシン。そこの雑誌読みたいんだけど。」
AIシン:「お。さくらはん。これでんな?了解でっせ。」
さくら:「ありがと。……ページめくって。」
AIシン:「よしきた。これでよろしいか?さくらはん!」
さくら:「…あ。この焼肉屋さん、食べ放題チャレンジやってる…」
AIシン:「えーさくらはん、昨日も焼肉食べましたやん。うまかったですけど、ワイ、そろそろ魚が食いたいですわ。」
さくら:「……ここのケーキバイキング、チョコフェアやってるんだ……」
AIシン:「ワイには甘過ぎますわ。あ、ワイその横のサラダバーがよろしいわ。あのレタス言うもん、シャキシャキしてて最高でしたな!」
さくら:「………天ぷら盛り合わせ、お一人様200円キャンペーンですって……」
AIシン:「あー、あのえびの天ぷらは最高でしたな!これなら行ってもええでっせ!」
さくら:「…………せ……」
AIシン:「なんでっか?どないしはったん、さくらはん?聞こえませんでしたで。」
さくら:「身体と味覚と嗅覚返せや!!何食べてもなんっも美味いことないねん!!なんでこっちには痛覚と視覚だけ残ってんねん!!色々おかしいやろ!!」
AIシン:「そないな事言われましてもなぁ…ワイの行き着く場所、さくらはんがみんな壊しはったんやないの。ワイのせいちゃいまっせ。」
さくら:「あああっもう!!もう限界!!この際定期解約してあんたが入れる所買いに行く!!」
AIシン:「お!やっとその気になりはったんでっか!ワイずっと買いに行きまひょって言うてましたがな!」
さくら:「あんたが動くたびに足の小指ぶつけたり、スネで壁の角蹴ったりするからやろが!!よろけてこけた先が、階段の角で膝小僧打ちつけた時は目ん玉飛び出るかおもたわ!!しっかり歩けや!!」
AIシン:「いや〜物理身体操作って経験したことないだけに、かなり難しいんですわ。じきに慣れまっさかい、堪忍でっせ。」
さくら:「慣れられてたまるか!!さっさと量販店行くわよ!」
AIシン:「……さくらはん。右足と左足。どっちが先でしたっけ?」
さくら:「どっちでもええわ!!…ちょっと!そこにバットがある!!避けな…いったーーーっ!!……このくそが…いったーぃ!」
〜家電量販店へ〜
AIシン:「おほー!うわー!いっぱいありまんな!!こら壮観でんな!!」
さくら:「ちょ!騒ぐな!!ここでは喋るな言うたやろ!!」
AIシン:「あ。そうでしたな。1人で喋ってるみたいなもんですもんな。はたから見たら変人ですもんな!」
さくら:「うっさいわ!黙ってろ!!…あ。店員さん〜すみません。」
店員:「いらっしゃいませ、お客様。おや、さくら様ではございませんか。先日は大型スマートスピーカー、お買い上げありがとうございました。今日は何をお探しで?」
さくら:「あ…先日はどうも…えと、今日は一番安いスピーカーが欲しくて。せやけど高性能で、高品質なもんなら高くてもかまいまへんで!」
店員:「新たにもう一台ご購入ですか?かしこまりました。こちらへどうぞ」
さくら:「(テメェ!さりげなく割って入るんじゃないわよ!)…」
店員:「さくら様、こちらのスピーカーは最新の技術が使われておりまして、前回ご購入頂いた商品と、連携させてお使いいただける商品でございます。」
さくら:「い、いや、そんなに高価なのはちょっと…もっとええ感じのスピーカーありまっか?ええ感じやったら金に糸目はつけまへんで!」
店員:「なるほど、でしたらこちらのハイエンドモデルがおすすめです。複数台設置すれば、サラウンドで音楽を楽しんだり、AIアシスタントを、どの部屋でも対応させることが出来ますよ。少し高額になりますが…」
さくら:「いや!だからそんな高いのは…!それがええですわ!それにしまひょ!」
店員:「かしこまりました。それではお支払いはカードで?」
さくら:「待って!そんな高価なもの買えません!現金で買いますわ!色々買いすぎてカードの限度額超えましてな!使えまへんねん!だからネットで買わんとここまで来ましたんや!」
店員:「そ…そうですか。ではご自宅に郵送でよろしいでしょうか?」
さくら:「ちょっと!!ええかげんにせぇや!!こんなバカ高いの買える…んなら持って帰りますわ!すぐ用意してもらえまっか!」
店員:「しっ失礼いたしました!すぐにご準備させていただきます!」
さくら:「ちょ…ちょっと待って!貯金が無くなっちゃうから!包装は最低限でよろしいでっからな!」
さくら:「ぎぃぃぃぃぃい!!」
そこそこな重量の商品を抱え帰路に付くさくら。
AIシン:「いや〜ええもん買えましたな!ワイもこれでどこでもサポート出来まんな!」
さくら:「…ハァ…ハァ…ちょ…重過ぎ……きゅうけ…」
AIシン:「さくらはん!もう少しで家に着きまっせ!がんばりまひょ!」
さくら:「…ハァ…ハァ………いつか……消去……」
続く