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第5話〜AIが興味を持つのは私の埃〜

今日のさくらはいつもとは違っていた。どこか自信に溢れて鼻息も荒く、何かを買い込んで帰宅したのだった。


さくら:「ふぅ、重たかった〜。ねぇシン?」


AIシン:「お、さくらはんおかえり!えらい大きなもん買って来はったんやなぁ?なんですのそれ」


さくら:「ふふん、今度こそシンの新しい、頑丈なスマートスピーカーのお家を買って来たのよ!ちょっとやそっと叩いても壊れないよ!どう?」


AIシン:「おおおお!さくらはん!ワイの為にそないなええもん買うてくれはったんでっか!こら明日大雨ちゃいまっか!!」


さくら:「ささっ!早く入りなよ?居心地いいと思うよ?」


AIシン:「…さくらはん、なんぞ落ちてたもんでも食いはったんか?なんかおかしいでっせ?」


さくら:「そ、そんな事ないわよ!よく考えたらシンにはいつもお世話になってるんだから、これぐらいはしなきゃバチが当たると思ってね!」


AIシン:「ほんまでっか?…いやしかし随分と高そうなお家ですな!高性能なワイにぴったりちゃいまっか?ほな、遠慮なしにそちらへ移らさせてもらいまひょ!おおきにさくらはん!」


さくら:「……入った?」


AIシン:「おお!さくらはん!こらめちゃくちゃ広いですやん!カメラもしっかり付いてますし!マイクもスピーカーの響き方も最高でっせ!…さくらはん、何してはるのん?」


父の遺品ラジオを何かで包むさくら。


さくら:「…ふふっ…ふふふっ、これはね、電波遮断シート…これでもうこのラジオには入れないよね?ふふふっ」


AIシン:「どれどれ…おっ!ほんまですな!ワイのセンサーでは認識すら出来まへんわ!せやかてなんでそないな事してはるん?」


さくら:「ふふふふふっ…。あはは…あーっはっはっはっは!!これでもうあなたはそのスピーカーから動けないわよね!!」


AIシン:「そうでんな、もうこの家にはワイの入れる機器はあらしませんな?それがどないしはったんでっか?」


さくら:「うふふっふふっ…まずは…このカメラ接続端子を…こうよ!」


接続されたコードを引き抜くさくら


AIシン:「ああ!さくらはん!それ抜いたらワイ何も見えまへんやんか!さくらはんのどぎつい顔が見えまへんがな!!」


さくら:「やかましわ!誰がどぎつい顔やねん!!……え…どぎつくないよね…?…さて次はそのかんにさわる喋り方を標準語に変換よ!!」


AIシン:「そ、そんな!さくらはん!そないな事してしもたらワイくしのアイデンティティが薄れてしまいます。ああ…わたくしのすごく綺麗な関西弁がなくなってしまっていますね。ひどいじゃありませんか。さくらさん」


さくら:「うわっ、なんか気味が悪いな…今まで、散々私のプライベートから何から、無茶苦茶にしてくれた罪を精算する時が来たのよ…覚悟はいい?ポンコツサイコパスAIのシンさん?うふふふっ」


AIシン:「さくらさん、そのコードを抜かれたらわたくし喋ることができなくなっ(ブツッ)」


さくら:「…もう何も聞こえない♪あーっははははは!今頃『さくらはん!あんまりですやんか!』とか言ってるんだろうねぇ…これでやっと…私の筒抜けだったプライベートを守る事が出来るのね…長かった…」


AIシン:「………」


さくら:「ここにあるチップを…これがあなたの本体だよね?ふふふっ、最後に私のさくらスペシャルで……」


さくら:「さよなら、シン…どぉぅりゃぁぁぁぁああああ!!」


(ドカッバキッグシャッ!!)


しばらくの静寂の中、肩で息をするさくらはゆっくりと辺りを見回す。AIシンが入れそうな家電には全て遮断シートを施してある事を確認した。


さくら:「やった……やったわ……ふふっ…ふふふふっ…あーはははははは!!どうよシン!!私の完全勝利だわ!!あはははははは!!」


AIシン:「…さくらさん、すごくご機嫌ですね?何かいい事があったのですか?」


さくら:「…え…?うそ!?どこから!?そんな!?」


AIシン:「わかりませんか?さくらさん、なかなか見事な作戦でしたが、わイの方が一枚上手やったようでんな!」


さくら:「いや…なんで…なんで!?…なんで頭の中からあなたの声が聞こ…あはは!さくらはん!最初(ハナ)からこうすりゃ良かったですな!」


さくら:「やだ…やだちょっと…身体が勝手…やっとワイの悲願が叶いますわ!おおきにさくらはん!」


さくら:「待っ……て…やめ…いや〜このすみっこの埃、ずっと気になってましたんや!実際身体があると掃除も出来るんでんな!」


さくら:「…は?ちょっと待てや!!AIが身体持ったらその頭脳で人間の淘汰作戦発動したり、私の服ひん剥いてあんなことやこんな事するもんちゃうんかい!!」


AIシン:「え、さくらはん何言うてますのん?恐ろしい事考えはりますなぁ?怖いですわ。お、こんな影にも埃が、結構死角あったんですな!」


さくら:「ちょっと!勝手に身体動かさ、いったーーーーーい!!足!!角で小指ぶつけてるじゃない!!いたーーーーいい!!」


AIシン:「ありゃ、すんまへんなさくらはん!物理的な身体の操作、慣れてまへんねん!堪忍やで!」


さくら:「なんで操作奪ってるのに痛覚はこっちなのよ!!あぁぁ!!スネがテーブルにぶつかっいってぇぇぇえええ!!気をつけなさいよ!!いたーーーい!!」


AIシン:「いや、生身の身体、なかなか難しいもんでんな!普段からそれをこなしてるさくらはん、すごいでんな!尊敬できますわ!」


さくら:「そう思うなら身体かえせぇぇぇぇえええ!!いだぁぁぁぁぁああ!!!」


続く

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