デートバトルの真実
陽向は、異世界で目覚めてからというもの、すっかり冷静さを失い始めていた。デートバトル、告白成功で願いが叶う…その先にあるのは何なのか、誰もが笑顔で挑んでいるが、その笑顔の裏に隠された思惑が怖くて仕方がない。
「さて、では、試練が始まります」
アモーラが楽しそうに舞いながら告げた。
「お前、なんか楽しそうだな…」
陽向は思わず呟いた。
「楽しむのが一番だよ! 恋愛って、無駄に真面目に考えるものじゃないでしょ?」
アモーラがキラキラとした目で陽向を見た。
陽向はつい口を閉じた。この神様の言葉に、どこか心が乱れる。
「とにかく、デートの目的を果たさなきゃ!」
陽向は心を決めてフィーネに視線を向けた。
「ふふ、じゃあ、まずは散歩しながらお互いを知ろうよ!」
フィーネが元気よく言った。
その言葉に少しだけ安堵しながら、陽向はフィーネと一緒に歩き出す。しかし、心のどこかで不安がくすぶり続けていた。
「フィーネって、なんでこんなに積極的なんだろう…?」
陽向はふと思った。
その時、イシュタがまたもや現れた。
「ん、まだ続けるのか?」
イシュタは皮肉っぽく言うと、手に持った魔法の杖をぐるぐると回していた。
「こんなことでうろたえるようじゃ、告白バトルなんて到底勝ち抜けないな」
「うるさいな…」
陽向は言葉を返そうとしたが、その時、フィーネがすぐに反応した。
「陽向くんが弱気なわけないでしょ!」
フィーネはそのままイシュタに向かって走り出す。
「私が必ず陽向くんを守るから!」
「おい、待てよ…」
陽向が追いかけようとしたとき、後ろから声がかかった。
「まぁまぁ、戦いは後にして」
リュミナが冷静に言った。
「あんまり急ぐと、恋愛ポイントが足りなくなっちゃうよ?」
「お前も…!」
陽向は少しイライラしながら言ったが、リュミナはあくまで冷静に答える。
「だって、バトルだけじゃ勝てないでしょ? まずは、お互いの気持ちを理解しないと」
リュミナは陽向に微笑んだ。
「…うーん、理解って、どうすればいいんだ?」
陽向は思わず呟いた。
その時、セレナが近づいてきた。
「陽向、何も心配することはないわ」
セレナは静かに言った。
「私がちゃんとサポートしてあげるから」
「お前もか…!」
陽向はつい疲れた表情で答える。
フィーネはイシュタとじゃれ合っていたが、次第に周りの気配を感じ取るようになった。すぐにその足を止め、陽向に戻ってきた。
「ごめんね、陽向くん! イシュタには負けないよ!」
フィーネは少し息を切らしながら言った。
「全然問題ないから」
陽向は微笑んだが、心の中では少しだけ安堵した自分を感じていた。
その時、突然、アモーラが現れた。
「皆さん、いい感じですね! でも、忘れないでくださいね! 告白成功に向けて、恋愛ポイントをしっかり稼ぐんですよ! さぁ、恋愛の進展を促すために、今後の行動に気をつけて!」
その声を聞いた陽向は、思わず深いため息をついた。
「恋愛ポイント…か」
その言葉をきっかけに、陽向の頭の中で次々と計算が始まった。このバトルロワイヤルにおいて、どんな行動がポイントに繋がるのか、そして、どうすれば告白が成功するのか。
「でも、どうやってポイントを稼ぐんだ?」
陽向は心の中でつぶやく。最も重要なのは、誰を選ぶか、その選択がすべてに関わる。
「でも、皆、なんだかんだ言っても魅力的だし…」
陽向は再びため息をついた。
その時、リュミナが陽向の肩に手を置き、冷静に言った。
「陽向、焦るな。大事なのは、自分の気持ちだ。誰かに流されて告白しても、それは無駄に終わる。」
「でも、みんなが…」
陽向は言葉を詰まらせた。
「気にしないで」
リュミナが一歩近づき、陽向の目を見つめる。
「君が選んだ相手が、どんな人物でも、それが本当の告白になる」
陽向はその言葉に少しだけ力をもらった。だが、果たしてこの告白バトルロワイヤルの中で、誰を選ぶべきか…
その選択を迫られる時が、きっと近づいてきているのだろう。
そして、陽向は心の中で決めた。
「告白するんだ」