早速の試練!? 初めてのバトル、そして告白の意味
「……って、マジでどうすればいいんだよ!」
陽向は心の中で愚痴をこぼしながらも、目の前の景色に目を凝らしていた。突如として現れた「ラブアリーナ」と呼ばれるフィールドは、まるで舞台のセットのように華やかで、どう見ても戦場というよりは、恋愛シミュレーションゲームの世界のようだ。
「さぁ、君たち。これからの試練は『告白ポイント争奪戦』よ!」
アモーラの声が空間を包み込み、突如として無数の光が一斉に降り注いできた。それを見た陽向は思わず目を細める。だが、その瞬間、アモーラの言葉が続く。
「このアリーナに現れるモンスターを倒して、『恋愛ポイント』をゲットするのよ! ただし、注意してね。ポイントを奪い合う相手は君たちだけじゃないんだから!」
「え…!? モンスター!?」
陽向は愕然とした。モンスター? 恋愛ポイントって言ってたけど、モンスターってどういうことだよ…。普通、恋愛バトルロワイヤルって言ったら、戦う相手は異性じゃないのか?
その瞬間、フィールドの端からゴゴゴゴ…と地面が震える音が響き、巨大な影が現れた。
「モンスター来たー!!」
「ちょっと待って、これって本当にモンスターなんですか!?」
陽向が絶句する中、リュミナが冷静に剣を抜きながら言った。
「モンスターといっても、実はこれは戦いの演出に過ぎないわ。ポイントを得るためには、倒さなければならないけれど」
「倒す…?」
陽向は不安そうに周囲の美少女たちを見渡す。彼女たちは皆、すでに武器を持って準備を整えているが、陽向自身はただの一般高校生だ。戦いに参加するのは無理だろう…と思ったその瞬間。
「陽向くん、大丈夫?」
フィーネが陽向の腕にぴったりと寄り添いながら、心配そうに声をかけてきた。その表情は、陽向が困っているのが分かっているようだった。
「えっ、いや、大丈夫じゃないから! 俺、戦えないし!」
「えー、そんなことないよ! ほら、私がいるじゃない!」
フィーネはにっこりと微笑んで、陽向の手を引いて走り出す。
「待て待て、ちょっと…!」
そのまま引きずられるように走り出す陽向。その先には、巨大なモンスターが、目の前で足を踏み鳴らしながら進んできていた。その姿は、まるで巨大な獣のようだ。
「うわぁぁぁ! これどうするんだよ!!」
「心配しないで! 私がうまくやるから!」
フィーネは陽向の手を強く握りしめ、目の前に迫るモンスターに立ち向かっていく。その瞬間、彼女の背中にぴったりと小さな風のようなエフェクトが現れ、驚くべき速さでモンスターに接近していった。
「これが私の…速さの力だよ!」
瞬間、フィーネの動きが光のように速く、モンスターに跳びかかる。陽向はその動きに目を見開きながらも、その後ろでモンスターがフィーネの攻撃を受ける瞬間を見守っていた。
ガシャン! モンスターの体が大きく揺れる。
「え、ええええ!?」
「大丈夫よ、これで倒せるから!」
フィーネの動きがさらに加速し、モンスターに次々と攻撃を仕掛けていく。陽向はその光景に唖然としていた。あっという間にモンスターはフィーネの手のひらで倒され、地面に倒れこむ。
「す、すごい…!」
「ほらね、だから安心して!」
フィーネは陽向に向かってウィンクをした。陽向は目を見開いたまま、その場に立ちすくむ。
「って、待って、俺何もしてないんだけど!?」
「いいの、いいの! だって、私が君を守るから!」
「え、でも…!」
陽向が言おうとしたその時、リュミナが冷静に歩み寄ってきた。
「陽向、戦わなくても構わないわ。でも、次からは少しだけでも戦うことを考えた方がいい。恋愛ポイントは、あなたが何もせずに手に入れるものではないから」
「うーん…でも、正直、俺には無理だと思うんだけど」
「そう? それなら、しばらくはフィーネに頼るといいわ。だけど、最終的にあなた自身が告白する相手を選ばないといけないから、そのためには少しずつでも自分を変えていくべきよ」
リュミナの言葉は、陽向の心に少しずつ染み込んでいった。その言葉の裏には、他のヒロインたちがどんな試練を受けているのか、という不安も感じさせるものがあった。
「じゃあ、どうすればいいんだ?」
陽向は、少し不安そうに自分に言い聞かせるように呟いた。
「まずは、少しずつ他のヒロインたちともコミュニケーションを取っていくことが必要だわ」
リュミナが指摘すると、フィーネが横からぴょんと跳ねて言った。
「それじゃあ、まずは私といっしょに練習してみようか?」
「練習って、何を…?」
「もちろん、告白の練習だよ!」
陽向は頭を抱えた。ゲームは始まったばかりだというのに、既に告白の練習をしなければならないなんて…これが異世界の恋愛バトルロワイヤルの本当の意味なのだろうか。