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すすき
「どう?可愛い?」
すすきが所狭しと並び立つ原っぱで、彼女は両手を広げてくるりと回った。
白いワンピース、大きな麦わら帽子。無邪気な笑みが夕焼けに照らされて、なんだかこの世のものじゃないような、神秘的な風景だった。
「うん、可愛い」
僕は素直にそう答えた。努めていつも通りの僕の声。笑顔だってこの時のためにちゃんと練習したんだ、きっとうまく笑えているはず。
彼女はそれを聞いて、満足そうに笑みを深めて。それから僕に向かって手を伸ばした。少し染まった頬、照れ臭そうに強張る唇。
「また来ようね。絶対だよ」
「うん、約束。絶対また来よう」
この原っぱに来る前から、誓いのように繰り返してきた問答。言葉じゃ足りないと言いたげな手のひらを捕まえて、強く頷いて見せる。
「ふふ、痛いよ」
茶化して笑う彼女の目元。小さなしずくがキラリと光る。
すすきの花言葉「悔いのない青春」から連想