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味噌汁
「味噌汁飲む?」
「あー......貰う」
老人みたいにしわがれた声。二日酔いの真っ最中。
おまけに寝不足までついてくれば当たり前に頭が痛い。「とても」を二つ付けたっていいくらい。
仕事のストレス、貴重な休日。昨夜は飲むには絶好の日だった。
折角の晩酌だしと勇気を出して同僚を誘ってみて、上司の文句に花を咲かせればあっという間に針は進んだ。あわよくば——なんて思う間もなく、俺は情けなく潰れた。
カタコト、カタコト。同僚がキッチンで立てる音が心地よくて、ぼーっとその姿を眺めていたら、振り向いた拍子に目がバッチリと合ってしまった。
「......お前さ、良い女だな......」
「まだ酔ってんの?」
口をついて出たこっ恥ずかしいセリフは、余裕の笑みで流された。湯気の立つ味噌汁が二つ、テーブルに並べられる。
全く、敵わないな。
苦く笑って、両手を合わせた。