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水の森
それは、誰もが夢を見る浄土にも似た風景だ。木の代わりに水柱が立ち上り、土の代わりに水が流れ、光を浴びるとそれらは透き通って向こうの景色を見せる。それはそれは幻想的で、話を聞いた誰もがその姿を想像しては、いつか見ることを夢に見る。
ただ、その森は自然の摂理をそのまんま体現している。
その水は、一滴で草木を蘇らせ、コップ一杯もあれば村が一つ蘇る。
ただ、それが表れた村は、飲み込まれて森の一部となる。
さながらダム建設のために潰される土地のように。生きる力を与え、生きた過去を喰らう。
そうして、水の森は今日も静かに、静かにただ在る。