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50 お出かけ

「そういえばサイラス様、今度ちょっと出かけてくるので一日か二日来れなくなりそうなんですけど」


カリナの領地は一日あれば行って帰って来れるだろうけど、半日では多分無理だろうから出かける日はちょっとサイラス様に会えなそうだ。


「それは大丈夫なんですが、どこへ行く予定なのか聞いても?」


「以前お話しした羊をたくさん飼っているお友達、カリナって言うんですけどその子に呼ばれたのでウィンコットにある彼女のお邸に行こうと思ってるんです」


「ウィンコット? ウィンコット侯爵の所ですか?」


「はい、そこのお嬢さんに会いに行きたくて」


「なんて奇遇なんだ! 私もちょうど近いうちにウィンコットへ行くつもりだったんです」


「ええっ!? すごい偶然ですね。サイラス様も何かご用事があったんですか?」


まさかそんな予定があったなんて、すごいタイミングだ。お仕事だろうか?


「仕事とは関係ないんですが、マリーのお友達のお兄さんにあたる人かな、彼に会いに行こうと思ってたんです。良い機会だから一緒に行きましょう」


カリナのお兄さん、ヘンリーさんだったっけ?


「カリナのお兄様なら私も先日お会いしました。サイラス様と寮の部屋が隣だったって」


「ええ、そうなんです。彼に少し話があって」


ヘンリーさんはサイラス様は自分のことを友達だと思ってないみたいなことを言っていたが、実はやっぱり仲が良いのかもしれない。サイラス様もお仕事関係なくお友達に会いに行くことがあるんだと思うと微笑ましい。


「でもサイラス様と一緒にお出かけだと思うとワクワクします。二人で行くことをカリナに伝えておきますね」


「マリー、ちょっと相手を驚かせたいので私の同行は秘密にしてもらってもいいですか? ……逃げられても困るし」


サイラス様はたまに言葉の後半が聞き取りづらいというか、妙に小声になることがある気がする。でもサプライズでお友達に会いに行くなんて楽しそうで良い思いつきだと思う。


「楽しみですね!」


「ええ、本当に」


カリナは私の親友だし、サイラス様もヘンリーさんと仲良しなのはなんとなく良い巡り合わせだと思う。

カリナに手紙を出してうまい具合に日程も決まり、お出かけする日になった。


「そういえばウィンコットにはポピーちゃんもいるんですよ。黒くてツヤツヤなんです」


「噂の牧羊犬ポピーちゃんですね。会うのが楽しみです」


ポピーちゃんはエルディより少し体が大きい、垂れ耳で優雅な感じの美人さんだ。賢くてかわいい子なのでサイラス様ともきっと仲良くなれると思う。


「そろそろ着きますね」


邸に到着するとカリナが出迎えてくれた。


「よく来たわね」


「マリエラさんいらっしゃい!」


おあつらえ向きにヘンリーさんがいた! サイラス様のサプライズは成功するだろうか。


「こんにちは、お二人とも! あのね、カリナ。秘密にしておいてって言われたから黙ってたんだけど実はね」


じゃーん! とでも言いたい気分で奥の席にいたサイラス様を連れて来る。


「サイラス様も一緒に来てるの」


「やあ、ヘンリー。久しぶりだな」


「ぎゃあぁ!」


あれ? サプライズは成功した気はするが、驚きが過ぎるような。ものすごい勢いでヘンリーさんが走り去ってしまった。


「はは、じゃあ私はちょっとヘンリーと話をして来ます。マリー、あとでポピーちゃんを紹介してくださいね」


サイラス様もヘンリーさんを追いかけて歩いて行った。



「カリナ、私黙ってサイラス様を連れてきたのってまずかったかしら?」


こちらとしては驚かせたかったみたいないたずら心があったが、ヘンリーさんは旧友に会うのに心の準備が必要なナイーブな方だったのかもしれない。


「別に大丈夫よ。それよりこっちにどうぞ」


カリナが案内してくれる、何を見せてくれるんだろう。



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