48 好みは人それぞれ
マリーの邸に一泊して、昨日王都に帰ってきた。
マリーと私の関係がありえないほどの進展を見せて、これからはずっと一緒にいられると浮かれていたら、マリーは女学校時代の友達が王都に来ているとかでそちらへ行ってしまった。
マリーに友達がいるのは素晴らしいことだ。マリーの人生に楽しいことは多ければ多いほど良いだろう。お茶会が終わったら私の所へも来てくれると言っていたし。今までマリーと会ってた時間に会えないからと言ってウダウダするのは男らしくない。うん。
仕事だ、仕事をしよう。それが一番時間の経過が早い。
もう基本的にマリーがいない時は常に働こう。私の本分だし、マリーがいる時も普通に働くが。仕事が滞ってたりすると思いっきり楽しめないだろうからな、今後起こりうるであろうデートとかを。
会議、報告会、面談の設定。領内や仕事絡みの陳述や要望の確認と対策、市場調査の統計に、各事業の開発研究室の進捗確認もしてこないと。邸の中にも外にもやることが山ほどあってありがたい限りだ。
現場の細かい調査や指示を出すような作業は重要ではあるが、マリーを連れてきたいような楽しい仕事ではないし、今のうちに片付けられることは片付けよう。
しばらくして邸に戻るとポールが困ったように報告してきた。
「旦那様、また見合いの申し込みやら釣書が届きました」
「返却してくれ。昨日マリーとの婚約は城にも報告して正式に受理されている」
しばらく前にもう全て断ると公表しているのにも関わらずこれだ。
「またあのご令嬢からも届いておりますよ」
「あれに関してはそろそろ抗議を入れる」
中でも何度も断っているのに妙にしつこいのが数人いて困る。万が一マリーに近づかれても困るしこちらから注意しておいたほうが良いだろう。
しかし私に見合いの申し込みをしてきたような女性は、揃いも揃って自分にえらく自信を持っていた。美人と評判だとか、多少学があるとかでとにかく売り込んできていたが、私から見ると正直「そうか?」という感じだ。
「マリーのように清楚で可憐で、控えめかつ元気で、優しさと愛にあふれている女性を私がパートナーとして連れて歩いていたのに今更そんな物を送ってくるなんて。一体どういう神経をしているんだ」
「その項目だと、旦那様の評価は対外的に伝わりづらそうですが」
「マリーは姿かたちもかわいいが、表情に性格がよく表れているとでもいうのか、とにかく無害で優しい穏やかな顔をしている。見ているだけであたたかい気持ちになるような。他の要素とも相まってとにかく素敵だ」
「なんと言いますか、きっと針の穴を通すような需要と供給だったんでしょうね。とにかく旦那様がマリエラ様にお会いできて良かったと思います」
外から馬車の音が聞こえてきたな。私の婚約者がお茶会を終わらせて到着したみたいだ。




