47 久々のお茶会
王都に戻って来た次の日、建国祭参加のために王都に来ていた女学校時代の友人がまだ何人か滞在していたので、良い機会ってことでお茶会を開いて集まることになった。
参加者は私含め四人で、会場は友人の一人エリサのお邸である。
ここしばらくサイラス様の所に通い詰めてたので、他のお邸に遊びに来るのは久しぶりだ。
「それで! この間のパーティ、なんでマリーがデュラン公爵と一緒に参加してたのよ?」
開口一番で突っ込まれてしまった。
「血塗れ公爵とのんきなマリーなんて一番接点なさそうなのに!」
「三日前に会った時はお付き合いはまだってことだったけど、結局どんな関係なのよ?」
これはカリナだ。
「いやぁ、実は一昨日婚約することになって」
「えー!!」
「嘘!?」
「とにかく詳しく! 早く聞かせてよ!」
私もまだ驚きさめやらないくらいだから、皆が驚くのも当然だが。
「まずどうやって出会ったの? あの人女に興味なくて有名じゃない。エレノア様ならわかるけど、普通よりのマリーの容姿でどうやってそこまで持っていったの?」
「わかる、マリーはかわいいけど普通のかわいさよね。間違っても絶世の美女とかじゃないマリーがどうやってあんないい男捕まえたの?」
褒められてるのか貶められているのか微妙な線だと思う。
「サイラス様がお仕事でうちのお邸に来た時にね」
「既に熱い展開じゃない!」
そうだろうか?
「今私の足下で寝てるエルディがいるでしょ? この子がサイラス様に飛びかかっちゃって」
「なんか思ってたのと違う感じになってきたわ」
「それが原因でサイラス様を骨折させちゃったんだけど」
「やばいじゃない! よくあんた殺されなかったわね」
「それで私に結婚を申し込まれたの」
「どんだけ端折ったのよ。その情報だけだと高位貴族に体当たりして骨折させるテロリスト令嬢が続出しそうだから、そこにいたるまでの話をしなさいよ」
わりと時系列に沿ったつもりではあったんだけど、当時の私にも意味不明だったからなぁ。
「えっと、怪我が治るまでの間お見舞いに行くことになって、仲良くなったみたいな」
「何それ、うらやましい! 私もそんなおいしい話が欲しい! 言ってくれれば見舞いについていったのにぃ」
「アイシャはもう婚約者いるじゃない」
「あんな美形の金持ちとお近づきになれるなら即日で乗り換えるわ」
「いっそ清々しいわね」
「でもマリーと公爵、見るからに全てが正反対っぽいけど話なんて合うの?」
「私も最初心配してたんだけど、噂と違ってとても良い人で優しいの。あとサイラス様すごく犬好きで。仲良くなれたのほとんどそれが理由だったかも」
「ああ、それはあんたのアドバンテージ強いわね」
「マリーもこんな所にまで犬連れて来てるくらいの犬狂いだし、マリー本人も犬系だもんね」
「でも犬好きってだけで、あんなどんな美女でも選び放題の人がよくマリーに決めたわね」
「私もそう思ったんだけど、どうもサイラス様ってちょっと普通の人と見え方が違ってるみたいで」
「どう違うの?」
「私に向かってけっこう真剣に『マリーって本当に人間ですよね?』って確認してくるの。私もよく犬っぽいとか犬に似てるとか言われるけど、人間であることまで疑われたのは初めてだったわ」
「え?」
「サイラス様には私が二足歩行でしゃべる犬かなにかに見えてるんじゃないか心配になるけど、それがサイラス様的には良かったのかも」
「……や、やっぱり身分が高すぎたり、お金がありすぎたりする方って普通とどこか違うのかしら」
「う、うん、なんかマリーとすごくお似合いな気がしてきたわ」
「ちょっと特殊な関係な気はするけど、むしろそれならマリー以外いないわね」
その後も皆の近況とかを報告し合いながらわいわい話をしてたが、迎えの馬車が来たので私は帰ることになった。馬車に乗ろうと思ったら、カリナが私を追いかけて来た。何か用事だろうか?
「そういえば、夜会の時もこれを言いたかったのに忘れてたわ」
「どうしたの?」
「ちょっと近いうちに私の邸に来れない? 領地の方のよ。見せたいものがあるの」
「え、何? 気になる」
「フフ、教えない。来れそうな日を連絡してよね」
「うん、わかった。楽しみにしてるね!」
なんだろう? カリナの領地はうちより遠いが、ギリギリ日帰りが可能なくらいだからすぐ行けるだろうけど。
「ジェムさん、お待たせしました」
お茶に次ぐお茶になってしまうが、この後サイラス様にも呼ばれていたので、カリナに手を振って出発した。
「しっかし、まさかマリーがねぇ」
「でもカリナの所のお兄さんもマリーのこと好きなんじゃなかったっけ?」
「うだつの上がらないうちの兄の所へ、のんきの極みみたいなマリーに嫁いで来られたら家が傾くわ。あれには尻を蹴ってくれそうな鬼嫁が必要なの。それにマリーには公爵みたいな仕事のできる人間の方がお似合いよ」
「まぁ、それはそれでわかるけど。お兄さんかわいそうね」




