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42/55

41 宴の前

ついにこの日が来た。

私が無茶を言って始まったこの三ヶ月も今日で終わりを迎える。正直途中から怪我人設定を私自身忘れそうになるくらいだったが、よくマリーも付き合ってくれたと思う。


最初は軽い恋心だったが、もう私の人生にはマリーが不可欠だ。なんとしてでも今日マリーへの告白を成功させたい。


衣装は問題ないだろう。髪も普段とはセットを変えたし特別感がある気がする。首元に留めるアンバーのブローチを見つめる。ブラウンの輝きに角度をつけると黄色やオレンジも見えて、あたたかくて綺麗な色でマリーの目を思い出す。同じ石でマリーのイヤリングも作ったが気に入ってくれるといいな。


しかし例年義務とは言え参加が面倒で仕方がなかった建国祭がこんなに楽しみになる日がくるとは思いもよらなかった。私が女性をエスコートして行くのは初めてだから周囲にも私とマリーが懇意にしていることが伝わるだろうし、マリーに近づく輩を減らす良い機会でもある。


夕方が近づきマリーを迎えに行く。

出迎えてくれたマリーがあまりにもかわいらしくて崩れ落ちそうになった。ドレスも髪型も最高に似合っている。今日は少し化粧もしていて衣装と相まってすごく洗練された感じがする。他の参加者に見せるのがもったいないくらいきれいだ。


「お迎えに来ていただいてありがとうございます。サイラス様も今日は一段と凜々しいです」


私もマリーに高評価をもらったようでありがたい。

アンバーのイヤリングを渡すときれいと言って角度を変えて見ていた。ここに来る前の私と同じことをしていて微笑ましい。

耳につけてあげるとマリーが真っ赤になって目をそらしてしまった。なんだろう、ここにきて雰囲気がとても甘くなっている気がする。もうこれは私たちは両思いと言っても過言ではないのでは?


マリーが私に今日の衣装の礼を言ってくれたが、礼を言いたいのはこちらの方だ。一緒に行ってくれてありがとう。


「サイラス様からご用意していただいたドレスがあんまり素敵だったから、今日の思い出にエルディもお揃いにしたんです。エルディ、こっちにおいで」


ふわふわしたエルディが私の前に座った。首輪を見ると私がマリーに贈ったドレスとデザインが似ているな。皮革工房に寄ったと聞いてはいたが、これか。エルディもかわいいが、マリーもやることがかわいいな!


新しい首輪をつけたエルディを撫でたり頬を伸ばしているとマリーがにこにこしていた。ちょっとしたサプライズが成功したような気分なのかもしれない。


「しかし、贈ったドレスを気に入っていただけたようで良かったです。今度今日の衣装で二人並んで絵でも描いてもらいましょう。エルディも一緒に」


マリーは嬉しいと言ってくれた! これはもう告白の了承に近い気がする。気のない男と一緒に肖像画を描いて欲しい女性はいないだろう。

もううちのエントランスに私とマリーとエルディの絵が飾られる日も近いな。アオバネオオワライカワセミの絵ともお別れだ。……しかし最近はあれもなかなか気に入ってはいるから別の部屋にでも飾るか。


気持ちは完全に浮かれているがここからが本番だ。

告白の場所はどこが良いだろう? バルコニーとか中庭とかはロケーションは良いが、人が多いから完全に二人きりというのは厳しいかもしれない。個室に連れ込んだりするわけにはいかないし、馬車の中もちょっとな。王宮が騒がしければ一旦邸に帰ってくるか? 場所としては一番落ち着くだろうし。マリーを送り届けた庭の星空の下とかいいんじゃないだろうか? まあ、臨機応変に行こう。見逃さなければどこかで機会はあるはずだ。


ここで過ごす時間も楽しいがそろそろ行かなくてはいけないな。

マリーの手を引いて馬車に乗る。この三ヶ月の集大成だと思うと感慨深い。きっと最高の夜になる、そんな気がする。


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