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35 急ぎの注文

このまま日常をマリーと過ごしていっても私が沼にはまっていくだけで、関係性に大きな進展はなさそうだということをこの二ヶ月弱で学んだ。もう少し早く気がつくべきだったが。


非日常を演出するイベントが必要だが、ちょうどこの期間の終わりに建国祭がある。今まで一人で行っていたが今年はマリーを誘おう。

パーティで一緒にダンスを踊って、二人きりになった時に再度告白しよう。最初の時とは違ってそれなりに打ち解けた関係にはなっているはずだから勝算はあるはずだ。そもそも一緒に参加してくれればだが。


となると、一刻も早くドレスを用意しなくては。誘う以上は準備くらいしておくのが礼儀だろう。それに夜会に誘うのにドレスを贈るのはごく普通のことだから、いつぞやのプレゼントの時のように受け取り拒否はされないはず。


最高のものを用意しないと。ここに全てがかかっていると言ってもいい。

服の細かいサイズはマリーの実家に頼んで、こちらの指定する仕立て屋まで送ってもらった。


まず決めるのは、色と形か。自分の髪とか目の色を贈るのが良いんだったか? 


……第一段階でつまずいた。私の髪色の黒はマリーに似合うだろうが、パーティに参加したことのない若い女性に贈るには落ち着きすぎだろう。目のブルーグレーは悪くないが、私の目に合わせると色が薄すぎる。かといって水色はなにか違うな。


濃いめのブルーグレーをベースにしてどこかに白を入れて調整するとかどうだろう、その方が私の衣装とも合わせやすそうだし。良い思いつきな気がするが、その辺はデザイナーと相談して落とし込んでもらうか。


マリーの髪と目の色に合わせた物も揃いでどこかに取り入れたいが、そっちはアクセサリーにアンバーを使おう。完全に同じ色ではないが系統としてはかなり近いはずだ。


各所に話がついた後、早速店に行った。仮病の後ろめたさもあって外出はできるだけ控えていたが、もうこれは仕方がない。


「公爵様、いつもありがとうございます。あの、お邸からお話をいただいておりましたように、このたびお求めなのはドレスでお間違いないでしょうか?」


「ああ、急ぎで作ってほしい。私の衣装と揃いで作りたいが、まずドレスのデザイン案が見たい。採寸のデータは既に届いているか?」


「はい、つい昨日こちらにいただきました。こちらが最近の型をまとめたデザイン画になりますので、どうぞご覧ください」


デザイン画がテーブルに綺麗に並んで広げられている。基本となる重要な決定だが、おおまかな型が決まらないことには何も進まない。素早く、細心の注意を払って決めなくては。


これ以上ないくらい真剣な目でテーブルの上の資料に目を通す。

まず、ウエストから裾にかけて膨らむか、タイトな感じか。

膨らむ感じのはかわいく飾り立てるのが主流らしいが、マリーは少女趣味ってわけではないのであまりかわいらしすぎるのは駄目だな。かといって普段の服装を考えると、あまりタイトだと動きづらいだろう。


上半身はすっきりとしたシルエット、腰から裾にかけては後ろに流れて広がるような形のこれだな。上品で少し大人びた感じだが華やかさがある。

ただ胸元辺りまで露出されているのはまずい。野暮ったくならない程度になんとかしてもらおう。


型は決まった。引き続き、色の提案と一緒にデザイナーと打ち合わせに入った。

デコルテを隠すのに白いレースの生地を使って、ドレス部分に白から薄い水色の糸を使って刺繍を入れて全体の色をイメージカラーに近づける。広がる裾でうまい具合にグラデーションをかけてエレガントな印象にしよう。と話はついた。


デザインを固める前に一度ドレスを着るお嬢様ご本人にお目にかかりたいと言われたので、明日邸にくるように伝えた。


次の日、偶然いつもの仕立屋が来たことにしてマリーに会わせたが


「完璧にイメージできました! 仕上がりをお見せするのが楽しみです」


と言って帰って行った。ありがたい。

彼らには是非頑張って、マリーが私のことを好きになって一緒に建国祭に参加して一緒にダンスを踊りたい気分になるような素晴らしいドレスを作ってほしい。



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