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31 心境(ロイ)

姉のマリーがよくわからない経緯で、公爵に無茶を言われて公爵邸に通い始めた。

最初はどうなることかと思ったし、もしマリーが嫌な思いをするようならケチをつけて即行やめさせるつもりでいたけど、マリーは思いのほか毎日楽しそうにしている。


夕食を一緒に食べる時にその日なにをして過ごしたみたいなことを報告してくるが、占いをしたとか、花畑でエルディに冠を作ったとか、一緒に菓子を作ったとか、毎日ふざけ合って午前中を過ごしているらしい。

主語がなければ、どこの女の子と遊んできたの? ってくらい健全だ。あの怖そうな人がマリーと一緒にそんなことをしているのは全くもって想像がつかないが。


「それでね、ロイ君。今日サイラス様と一緒に落書きみたいな絵を描いてたんだけど、サイラス様の描いたエルディがすごくかわいくて」


今日も今日でそんな一日だったらしい。

最初の距離の詰め方が激しかったから正直結構心配していたんだが、どうも今はマリーに合わせてくれているみたいでありがたい。

と、思っていたが、端から見ていてもあまりにも進展のない関係に「公爵はこれでいいんだろうか?」とも思う。

初日に手を握られたとかで真っ赤になって帰ってきたマリーだが、それ以降全くそういうことがない。マリーはそういうのを隠したりできないだろうから本当に何もないんだろう。姉の恋愛事情とか詳しく知りたくないし、何かがあってほしい訳ではないが、聞かされるのは毎日犬と公爵と一緒に遊んだ話。ちょっと何もなさ過ぎて進む方向を間違えてないか心配になる。加減の難しい感情だ。


「心が入ってるっていうか、味があるっていうか、すごく良い感じだったの。私も横にポピーちゃんを描いたんだけどね。小さいカードに描いてた絵だから今度から仕事の資料のしおりに使うって」


「マリーの絵も味があるから味付けの濃いしおりになったね」


マリーがグリフォンの絵を描いてくれた時、特徴はとらえてたが全体的にいびつでクセが強かったのを思い出す。あれも味があって良い感じではあったけど。


しかし、こう毎日毒のない公爵との話を聞かされていると、本人とは一度しか会ったことがないが変な親近感を感じる。悪評はともかく、マリーから聞く限り悪い人ではなさそうだし、マリーも楽しそうにしているし、金持ちで生活苦とかとも無縁そうだ。ちょっとマリーには身分が高すぎる気がしないでもないけど、あの人自身がビジネス以外の付き合いを全然しない変わり者で有名だし、難しい付き合いもなさそうなのでその辺は大丈夫だろう。


ひょっとするとマリーにはすごく良い相手かもしれないとすら思う。なので最近は密かに応援しているのだが、肝心のマリーがこんな感じだからなぁ。


エレノア姉さんは百人いれば百人が美人判定するような容貌だけど、マリーは顔は整っていてかわいいとは思うけど圧倒的に地味で微妙に垢抜けないというか、好き嫌いの分かれる容姿をしている。

実はマリーあてに婚約の打診もそれなりの数来ているのだが、話が一度進むとマリーは性格的に断りづらそうなので、父さんが厳選していてそこで止まっている。マリーは知らないだろうから自分は全然人気ないとか思っていそうだ。エレノア姉さんみたいなわかりやすいモテ方をする人間が身近にいた分、自分がモテないみたいな思い込みが強くて、マリー本人も自分と恋愛的なものがうまく結びつかないのかもしれない。


「どんな絵が完成したのか気になるところだけど。まあ、今日も楽しそうで良かったね」


「うん! でも、この調子だと私あと一ヶ月半後にはもしかしたら、サイラス様の親友になってるかもしれないわ」


それ公爵は絶対に望んでない着地点だと思うけど。


最初あんなに急な求婚をしてきた理由が未だにわからないけど、もしかするとある種の判断が異常に早いだけでただ単にマリーのことが気に入ったのかもしれない。 

それに聞いてる感じだと妙に犬好きな人らしい(なんで本人は飼ってないのか知らないけど)、マリーとはお似合いなんじゃないだろうか。マリー本人もなんとなく犬っぽいし。



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