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28 完全一致する

この生活が始まって半月程度、毎日マリーと会っていると、好きな茶菓子の傾向がわかってくる。

本人が柔らかい雰囲気なので甘ったるい物が好きかと思いきや、あまり甘過ぎない物の方が好みみたいだ。フルーツ系の酸味とか、ビターなチョコレートとかがアクセントに入ってる菓子を食べてる時すごく笑顔になる。


食事の好みも是非知りたいが、今のところ一緒に食事をとる機会があまりないな。その辺りはもう少し仲良くなってからか。


そんなことを考えている時にふと思った。人間的な好き嫌いは食べ物と同じで人によって嗜好が違うだろうが、マリーはどんな人が好きで、どんな人が苦手なんだろうか?


自分がマリーの好みかどうかはわからないが、せめて苦手なタイプの人間でなければいいんだが。


一度気にし始めるとどうも気になるな。

聞けるものなら聞いてみたいが、そんな質問は露骨だろうか。いや、でも友人同士の会話としては王道か? 私は誰ともそんな話はしたことはないが。


嫌な顔をされたら話を切り替えればいいだけの話だ。思い切って聞いてみよう。


「マリーはどんな人が好きとか嫌いとかあるんですか?」


よし、かなり自然な感じで聞けた気がする。


「うーん、あんまり深く考えたことがなくて」


奇遇だな。私も恋愛経験とかないから深く考えたことなかったけど、確実に君のことは好きだ。


「でも優しい人が好きかなぁ。とは思います」


ヘラッと笑いながら答えてくれるマリー。

優しい人……まあ、私はマリーには優しいからあてはまるな。かなりあてはまる。


「逆に嫌いって言うか苦手な人は、怒りっぽい人とか怖い人とかですかね」


怒りっぽいか、私はマリーに怒ったり危害を加えたりもしないからこれも大丈夫だな。怖くもない、はずだ。


ふう、自分に当てはまっていたらどうしようかと思ったが。これなら私はマリーの苦手な人物でもなければ、どちらかと言えば好みのタイプなくらいだろう。


「あ、もう一つありました。好きな人」


なんだ? 話が落ち着きそうな今、あえて出してきたところを見ると重要な条件なのかもしれない。

『あたたかい家庭で育った人』とかそんなんでないことを祈るが。


「エルディをかわいがってくれる犬好きな人が」


「!!!?」


思わず目を見開く。

この世界で私以上に『エルディを愛する犬好きでマリーに優しい人』がいるか? ここまでの完全一致が他にあるだろうか。


「サイラス様はどんな人が好みの女性なんですか?」


「私も犬好きな優しい女性が好きです!」


目の前のマリーを思い浮かべて食い気味に答えてしまったが、私の想いが伝わっただろうか。

しかし、マリーのいつも通りの笑顔からはときめきのようなものは特に感じられない。


「ああ、サイラス様はそんな感じしますよね。犬への愛が基準になってそうな」


なんだろう。伝わっているはずなのに、微妙にニュアンスが違う気がするな。


しかしマリーの好みのタイプが完全に私と一致することが判明して一安心だ。


気分を良くしたまま、一緒にレモンタルトを食べたが私もこれは好きな気がする。


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