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26 占い

「サイラス様。よかったらこれ読んでみます?」


今日はマリーが分厚い本を私に差し出してきた。マリーがこんな辞書みたいにごつい本を読むのは少し意外だな。


「私も風邪を引いて暇だった時に友達からもらったんですけど、療養中の良い読み物だったなって思い出して」


『誕生日占い大全』


前言撤回しよう。意外でもなんでもなく、むしろイメージ通りだった。


「あ、でも男の人ってあんまりこういうの興味ありませんかね? 私の周りではかなりの人気だったんですけど」


「いえ、全然見たことがない分野なので逆にすごく興味があります」


マリーに今日見せてもらわなかったら永遠に無関係で終わっただろうが、何が書いてあるんだろう。おそらく誰にでも当てはまる無難なことしか書いてないんだろうが。


「マリーの誕生日は?」


「ひ、秘密です」


「えっと、『あなたは春の光のようにー」


「うわっ、なんでわかったんですか!?」


強く開いた形跡のあるページを読んでみただけだが当たりだったらしい。



『あなたは春の光のように朗らかで、周囲の人間を和ませる星の下に生まれています。あなた自身は特に気にしていなくてもあなたの言動や行動が困っている人を助けていることがあるかもしれません』


なかなか当たっているな。


『しかし、あなたの博愛精神はあなたを求める人たちの間で時として争いを引き起こしかねません。人間関係に関してはあまり八方美人にならずに早い段階で特別な存在を定めておくことが平穏の鍵とも言えます』


「素敵なことが書いてありますね。すごくマリーらしいというか」


「その後半部分友達にすごくからかわれたんですよ、私のために争わないでーとか言って。争いが起こるような人気はかけらもなかったんですがねっ」


マリーが恥ずかしさをごまかすように言い捨てている。


「サイラス様のページはなんて書いてあるんですか?」


さて、なんて書いてあるのやら。マリーが気になっているようなので自分の誕生日のページを探す。


「ああ、あった」


『あなたは非常に優秀で頭が良く、何をやらせてもパーフェクトにこなせる逸材です。何手も先を読んで行動することができる実業家向きのあなたには努力家な一面もあり、才能と相まって他人がうらやむような成功を手にすることができるかもしれません』


まぁ外れてはいないな。


『その一方で偏執的、偏愛的な傾向が強く、プライベートでは人間関係に苦労することが多いかも。他人と壁を作りがちなあなたは相性の良い人間を探し出すのにも大変な思いをするでしょうが、そんなあなたを受け入れてくれる人を見つけたら大切にしましょう。それがあなたの幸せにもつながります』


後半はそこまで当たってないか。人間関係に苦労したことなどない、トラブルがあった時は常に勝利しているからな。


「サイラス様のページ、すごくとがったこと書いてあって格好良いですね」


マリーが感心してくれた。上げてから落とす感じの占いではあったが良しとしよう。


「これがはやってた時もすごく当たる人もいれば、全然当たってない人もいたんですけど、読んでると結構面白くて」


「たしかになかなか楽しいですね」


まあ、占いなんてそんなもんだろうが、それなりに面白かったと思う。


「巻末に相性占いとかもあったんですけど、みんな婚約者の人とやってみて結果が悪かったりするとキャーって感じで。私もエルディとしてみたかったんですけど誕生日不詳なんですよね」


エルディの誕生日を教えてあげたくなったが、そんな訳にもいかないな。

しかし、相性占い? 相性占いか。


マリーが置いていった本は部屋の本棚にある。何度か手に取って開こうかと思ったが、遊びとは言え、万が一結果が悪かったら気分が悪いな。


運命は自分で切り開くものだ。このままこの本は封印しよう。

丸一日迷っていたがそう結論づけて棚に戻した。


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