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16 明日から

応接室で待っていた皆の所に合流すると、すっきりした顔の私を見てロイ君が


「収まる所に収まったみたいで良かったね、マリー。閣下も、うちの姉がお騒がせいたしました」


と、胸をなで下ろしていた。


「マリー、嫌なら嫌って言うのが優しさの時もあるのよ。本当にいいの?」


「姉さん、混ぜっ返さないでよ。マリー帰りの馬車の中で『もう他の人の所へお嫁に行くのも嫌だから修道女になる』って騒いでたんだから。そうならなくて良かっただろ」


「いいじゃない! マリーが修道院に行くなら私も行くわ! 美人姉妹シスターとして信者をガンガン増やして教会のトップを狙いましょう」


エレノアお姉様はその発想がもう修道女向きじゃない気がする。


「おい、マリエラふざけるなよ! エレノアを巻き込むな!」


アラン王子が私にキレてるけど、これ私が悪いの?


「大丈夫ですよ殿下。そんな予定はもう消え失せてますから」


ね? マリー。と言ってサイラス様が手をつないできた。

私についてきていたエルディが私たちのつないだ手の下をくぐり抜けてから満足そうにこちらを見た。


エルディにとっても新旧の飼い主、どちらも揃っていれば最高に幸せだろう。私は自分の幸せと一緒にエルディの幸せも見つけることができたみたいだ。



お姉様とアラン様は思いがけずの外出だったのでさすがに帰ることになった。

ロイ君も明日の通学のために別邸に戻った。


しばらくしてお父様とお母様が帰ってきたので、サイラス様が改めてご挨拶をして、

まあ、なんというか、その、私とサイラス様は正式に婚約することになった。



しかし昨日の朝、たしかに私はサイラス様に自分の想いを告白しようとは思っていたのだが、こんなに状況が激変するとは予想もしていなかったので自分が一番驚いているかもしれない


私を好きでいてくれて、エルディを愛してくれている素敵なサイラス様が私の婚約者……。

そういえば、婚約者ということは私は今自動的にサイラス様の恋人になったってことなんだろうか? 結婚するまでは友達のままとかないよね? 今更ながら人生初の恋人の誕生に衝撃を受ける。


こっちが人知れず恋人気分に浸っていたものの、サイラス様からは明日にでも結婚したいと申し出があった。最初出会った時もそうだが、サイラス様はたまに尋常じゃないくらいせっかちになる。


ただうちは長年婚約しているお姉様とアラン王子がいる。第三王子が王太子より先に結婚するのはどうなのかってことで、お姉様との結婚は延ばし延ばしになっていたのだ。

来春にようやく王太子も隣国の王女とご成婚なさるそうで、夏にはお姉様達も式を挙げられるらしい。私とサイラス様はその少し後の秋頃はどうだろうってことで話がついた。

サイラス様はその日程に不満げではあったが多分納得してくれたと思う。多分。


私としてもいきなり結婚となると心の準備ができていないので、サイラス様と距離をもっと縮めていくのにちょうど良い期間かと思う。と言ったら、何か心境の変化があったのか、案外同意してくれた。


また公爵邸に通う日々が始まりそうだ。



午前中からのドタバタに加え両親と話し込んだりして、今日はもう遅くなりそうなのでうちの邸に泊まってもらうことになった。夕食後にサイラス様を客室に案内して、二人で今日の騒動を振り返っていた。

サイラス様が何度かロイ君を褒めていたが、自慢の弟なのでロイ君の良さがわかってもらえて嬉しい。

今日の感じだと相性があまりよくなさそうだが、そのうちにお姉様の良さもわかってもらえると思う。


ふと向かいにいるサイラス様を見つめる。

自分では冷たい色の恐ろしい目だと言っているし、出会ったばかりの時は昏い目をしていることもあったが、綺麗なライトグレーの瞳が今は信じられないくらいにあたたかい。


「マリー」


「はい?」


じろじろ見過ぎただろうか?


「あの、……キスしてもいいですか?」


「え!?」


いや、嫌って訳ではないのだが、昨日まで友達で、私にとってはファーストキスだし、ここは実家だしなんか両親が近くにいると思うとそういうのは恥ずかしい。ちょっとまだ友達気分に片足突っ込んでるせいか余計に恥ずかしい。


「きょ、今日はちょっと心の準備がまだなので!」


エルディを持ち上げて顔を隠す。いきなり立ち上がらせちゃってごめん。


「じゃあ、また明日。心の準備ができてそうな時に」


「は、はい! おやすみなさい!」


笑って流してくれるサイラス様。これはおやすみってことなの? 明日キスしようってことなの? いや、別に嫌ではないよ。全然嫌ではないのだけども。突然恋人モードに精神を切り替えるには私は恋愛初心者過ぎる気がする。これから心臓大丈夫だろうか?



こうしてサイラス様の療養の三ヶ月は私の心臓を乱高下させながら幕を閉じた。


明日からの新しい日々がサイラス様にとっても、私とエルディにとっても幸せでありますように! と願いながら三ヶ月ぶりに自分の部屋のベッドで眠りについた。



次の更新からしばらくサイラスの視点に切り替わります。直前の話からのハッピーライフ詐欺みたいで申し訳ないのですが、序盤数話が少し暗いです。タイトルに※を付けておきますので苦手な方は飛ばしてください。サイラス視点からだと本人の人格にもかなり難がありますのでご注意ください。


直接的な強い暴力表現などはありませんが、やや胸糞かもしれませんので一応『残酷な描写』注意を入れました。


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