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くそげーのりょうりはなぜかうまいのだ

「まだ寝ていたのか…自分の部屋に戻っていろと言ったのに…」


 隼が部屋に戻ると、ベッドから転げ落ち床の上に大の字になって寝ているナリアの姿があった。


「はぁ…全く…おい、起きろ。もう夜だぞ。君、ここにきてから恐らく何も食べてないだろう。それとせめてシャワーは浴びろ。なんか匂うぞ」


 隼がナリアの肩を揺する。するとナリアは「うるせぇ!」と寝言を言いながら思い切り隼の顔面を殴った。


「あじゃぱっ」


 隼が吹っ飛びながら声を上げると、その奇声で「はっ!ここは!?」と驚いたようにしてナリアが目を覚ました。


「君…わざとやってるのかい…」


「お前はクソゲ貧弱マン!この美少女をほったらかしてどこほっつき歩いてやがった!ぶっ○すぞ!!」


 拳をコキコキと鳴らしながらナリアが隼に詰め寄る。


「まぁ落ち着きなよ。食事でもしながら話そうじゃないか。一応伝えときたい情報もあるんだ。…それと君…ちゃんと服着たらどうだい。それとシャワーを浴びるんだ。はしたないし、なんか匂うよ…」


 隼がナリアを背にして立ち上がり自分のズボンに付いた埃を払う。


「そ、そんなワケ無いでしょ!第一!私たちの服や下着は女神様の力でいつでも清潔なわけ!分かる!?それと髪にはシラミ一匹付かないし、ノミだって!…って……え?服?」


 ナリアが下を向くと、「な」という文字が目に入った。それはナリアがブラの上に付けている濃い目の白いランジェリーに大きく書かれた「なりあ」という平仮名の一文字目であった。


「おい」


 ナリアの背後に怒りの形相をした阿修羅を感じさせる程のオーラが現れた。


「見たのか?」


 白い煙がナリアの周りを渦巻く中、ナリアの眼光が燃え盛るように光り、髪がうねうねと逆立つ。


「オレ オマエ コロス」


 ここからは情景を描写するにはあまりにもむごたらし過ぎ、これがテレビ番組なら「しばらくお待ちください」という字幕とともに庭園を彩る素晴らしき花々が映し出される程のものだった。勿論、隼の悲鳴を添えて。


 隼が100発程殴られ廊下に締め出されたところでナリアの機嫌が治まった。その後、和解した二人は宿舎に入った時に見えた食事処に向かった。食事処の様子は大きなシャンデリアに照らされており、明るく広い割には人気が全く無く、そこには最初に宿で二人を迎えた淑女がいるだけだった。


 二人が席に座ると淑女が「ウサギ肉のシチュー」と一品だけ書かれたメニューを二人に渡し、「ご注文をどうぞ」と一言掛け、後はしんとその場に居座った。


「あぁ…ご注文しないとなのね…ってこれしか無いの…?パスタとかあるかしら?」


 ナリアがパスタと言っても淑女はただそこに居座るだけだった。


「じゃ、じゃあウサギのシチューで…あんたもそれで良い?」


 ナリアが冷めた目で隼の方を見る。


「あぁ良いとも」


 顔を何発も殴られ、顔中タンコブだらけになった隼が腫れた唇を痛そうに押さえながら頷いた。


「じゃ、ウサギのシチュー二つね」


 それを聞くと淑女は一礼をして厨房らしき場所に向かった。


「さて、本題だ。まずはこれを見て欲しい」


 そう言うと隼は胸ポケットから部屋で見つけた紙をナリアに渡した。


「…魔王…同じこと…49番目…暁の剣…で、これがなんなの?」


 やはり冷めた目でナリアが隼を見る。


「僕は最初、玉座の間に付いた時、王に出会って話を聞いた。その時王は討伐対象を「闇皇帝サロス」としていたんだ。でもどうやら僕たちが倒さなければいけないのはここに出てくる魔王のようなんだ」


「で、何。そんなの読めば分かるし、別に大差無いでしょ」


 どや顔で語る隼にイラつきを露わにしながらも冷めた口調でナリアが応える。


「まぁそうだな。次に、「同じことしか言わなくなった」とあるが、僕は少々引っかかってね。僕はこの手紙を誰が書いたのか気になったんだ。そして思ったんだ。もしかしたらまだこの魔王とやらの恐怖に完全に呑まれていない人間がいるんじゃないかってね」


「それは無いでしょ。この村を見れば分かるし」


「まぁ、そう結論を焦ぐもんじゃないさ。それで、どうしても気になったから僕はこの村の人全員

一人一人に100回程話掛けてきたんだ」


「…キモ…流石変態童貞オタクね」


 非常に強い軽蔑の表情でナリアは冷たく言い放った。


「…まぁあだ名のことは置いといて…で、いたんだ一人だけ怪しい人物が…恐らく彼女はこの紙のことも知っているだろうな」


「え?本当に?」


 身を乗り出したナリアの目が冷めたものから懐疑的なものに変わる。


「あぁ、僕も驚いたよ」


 隼がそう言うと「お待たせしました」と声が掛かかった。そこにはスプーンの入った二人分の甘く香ばしい香りのするウサギ肉のシチューを持った淑女がいた。


「お熱い内にどうぞ。それと勇者様。ウサギ肉の在庫が少なく、このままでは皆様にウサギ肉のシチューをお出しすることが叶わなくなります。お手数ですがウサギ肉の調達をお願い出来ますでしょうか」


「勿論だとも」


 大きなタンコブがありながらもにこやかな表情で隼が応える。


「ありがとうございます。では明日ギルドの方にクエストを申請しておきます。食べ終わったらまたお呼び下さい。片づけますので。お呼びにならないのであればそのままに致して下さい。では」


「なるほどここでクエスト解放のフラグか…」


 淑女が去ると隼は痛みに歪んだ顔でブツブツと呟いた。


「…で誰なのよそいつは…まさか…彼女?」


 ナリアが食事処の出入り口でぼうっとした様子で立っている淑女を見ながら話しかける。


「いや、違う。恐らくな。僕が明るい内に出会った彼女は僕が九十九回程話しかけたところで、痺れを切らし「じゃ、じゃあ私はこれで」と一言残しその場を去った」


「うわ…なんか同情するわ…で、追いかけたんでしょうね」


「あぁ勿論。だが変なことに僕が瞬きをしている間にその子はいなくなってしまった」


 隼がわざとらしく目を瞑って開いた。


「なによそれ…バカバカしい。期待して損した。本当に頭おかしくなって幻と話したんじゃないの」


 呆れたといった様子でナリアが腕を後ろにして背もたれにぶっかかる。


「とりあえず特徴を言うと、だ、頭巾をした165cm程の女性で、あの淑女のような恰好をしていた。僕が見たときはかごのようなものにお酒の瓶のようなものを何本か入れていた」


「…確かに妙ではあるわよね。買い物をしている人なんてここに来てから見たことないし。もしかしたら魔法のようなものでその場からいなくなったとも考えられる…」


 眉間にしわをよせながらナリアが考え込むようにして顎に手を当てる。


「…まぁ今そんなに考えても仕方ないだろうな。とりあえず食べないか。今後の僕たちの食事はほとんどこれだ。慣れて置く必要もあるだろう」


 そう言うと隼は音を立てず上品にスプーンでシチューを口に運んだ。


「うむ。クソゲーだからといって飯まで不味いワケでは無いようだな…」


 そこまで言うと隼の頬に一粒の雫が流れた。


「なんで泣いてるワケ?キモ…」


「失礼…ただなんとなく母さんを思い出したんだ。母さんの故郷にはウサギ肉を使った郷土料理みたのがあってね。それもシチューで…子供の頃に良く…失礼…こんな話は…良いんだ…忘れてくれ」


 どこか思いに耽るようにして隼が涙を手で拭った。その様子を見たナリアは急に大声で泣き喚き始めた。


「…ごめんなさぁい!ウワァアアン!ごめん!ヒッグヒッグ!キモイとか言って!私もホントは寂じい!お父様!うわぁあああ!ああああ!」


 ナリアの目から滝のように涙があふれ出る。


「…良いんだ。さぁ涙で余計にスープが冷える前に食べようじゃないか」


 にっこりと隼がナリアに微笑んだ。


「詩的な表現がなんかウザイ!あと顔も!うわぁぁああああん!」


「…いや君ね…」

 

 騒がしくも二人はウサギ肉のシチューを食べ、隼はクエストとやらに備える為に早めに床に着いた。ナリアは宿舎に用意されていた風呂で何度も自分の体を洗った。

作者「そろそろ9がいpvからの超新星爆発からのアニメ化決定まで見えてるんだが??」

隼「君人口って分かるかい?小学生からやりなおしてきなよ」

ナ「そんなバカ言って無いで早く更新しなさい!主に私メインで!」

作者「ピギャァアアアアうんちうんち次も是非読んでくれよな!」


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