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くそげーのぷろろーぐはながい

「所詮、この世界もこの程度。実につまらぬ…」


 とある異世界、とある国。平和に暮らしていたこの国に当然破壊が舞い降りた。


「我は今までいくつもの世界を滅ぼしてきた…真の破壊…真の屈服…そして神…!我はそれを常に望んでおる」


 赤い眼光を鋭く射している巨大な黒い影。名はディアブロ。数々の世界を砕き、屈服させ、支配してきた。全ての宇宙、星、世界の「敵」である。


「正しくこれら全ては我の為にあり、これが我の生きる意味だ」


 ディアブロの表情が大きく歪み笑む。


「…なら何故私を殺さない。見せしめにしない。何故、生かすのだ。」


 この強大な威圧の前で普通の人間なら恐怖に苛まれ、意見をするどころか言葉を発することも出来ないだろう。しかし、この男は違った。衛兵も親衛隊もこの国を幾度と無く救った勇者すらこの恐ろしき怪物に殺されてしまった。それでもこの国の王、サロス=アンドレラ国王の目は名前の通り勇気に満ちた青き眼光を放っていた…ッ!!


「…ふうむ…っくっくっく!あーっはっはっは!気に入ったぞお前!この私に恐れを取らぬその態度!全てを無くしたとて、尚その目は死んではいない!実に面白い!っくっくっく…いや失礼。なぁ…国王よ……この我とゲームをしないか?」


「ゲームだと…?」


「あぁ!そうだとも!実はな…少し我は飽きていたのだ。同じ破壊、同じ殺し、同じ破壊…。我はもっと楽しみたいのだよ。そう…スリルだ…!我はスリルが欲しくなったのだ!」


 ディアブロの影が更に強く濃い闇を纏う。


「…どうしろというのだ…」


「なぁに、ルールは簡単だ。今からこの世界を我が完全に支配する」


「くっ…」


 サロスの顔が怒りと憎しみに歪む。


「まぁそんな怖い顔をするな。国王よ貴殿にはまず、この星々、この全ての異世界を司るという女神達とある契約を結んでもらう」


「女神…暁の七神……」


「そうだ。直にここにも現れることだろうな。我に対抗しうる唯一の希望とも言われる者達。だが、その内の5神は我が既に封印したのだ。」


「ば、バカな…あり得ぬ!女神に対抗しうる存在等、この世にいるわけが…!」


 サロス国王の前に強大な影が勢いよく迫る。


「我を誰だと思っているんだ?我はディアブロ。この世の真の神となろう者だぞ」


 国王の前で赤い目が大きく笑う。


「まぁ、そんなことはどうでもいいのだ。ある契約とは異世界勇者召喚の契約…そう…この世界に別世界から新たな勇者を導き、育て、我と戦わせる!これが大まかなこのゲームのルールだ。この星々に女神を二人残しておいたのはそういうことだ」


「ならば…」


 国王の碧き眼光がゆらりと大きく光立つ


「……おかしいでは無いか…ならこの世界の人間を自ら育て勇者にし、己と戦わせれば良いでは無いか!この国の人間に臆しておるのか!確かにこの国の英雄は死んだ!だが誰も心までは死んでおらん!未だ外で貴様の軍と戦っている我々を見よ!この国、世界の誰一人として死んではおらん!」

 

 国王が玉座から勢いよく立ち上がる。瞬時、腰に下げていた鞘より刀身が青き炎に包まれた剣を抜き振り下ろす。が、最早そこに黒き影の姿は無い。それと同時に後ろからの強い殺気に見舞われ咄嗟に身を後ろに回し、受けの体勢を取る。しかしまたしてもそこに影の姿は無い。


「なっ…」


 口からの流血と体中の骨が何本も折れていることに気付いた頃にはその場に膝を付いていた。


「まぁ落ち着け。本当に殺す意思は無いんでな」


 何事も無かったかのように黒い影が国王に語り掛ける。


「暁の剣か。ふん。こんなもので我に勝てるとでも思ったか」


 そう言うとディアブロは倒れている国王の手から剣を奪い、真っ二つにへし折りそのまま遠くに投げ捨てた。


「まぁ話は最後まで聞け。とにかく、これで分かっただろう。貴様らみたいな塵にもならぬ有象無象の力では勝てぬということが。…だが、他の世界から来た勇者は違うのだよ…我がこの世界に来る一つ前の世界。奴は違った。三神の力により召喚された勇者は…!」


 影の表情が痛みに歪む。


「まだ痛むのだ…!奴に負わされた傷が…!それ程までに奴は強かったのだ…!まぁ最後は宇宙の藻屑となったが…まぁ良い…だが…我は凄く楽しかったのだ!奴との闘いが!またあれをしたいのだ!我は!」


 苦痛に歪んでいた影の表情が喜喜とした表情を取り戻す。


「ハァハァ…その享楽に我々が手を貸せと言うのか…!ゴホッ!」


「…まぁ良いゲームの話に戻ろうか。大まかなルールはさっき話した通りだ。簡単だろう。だが、もしその勇者が我を倒せなかった場合、我は真の破壊者として全てを破壊し…真の…神となる!」


 一瞬、強大な影が国王のいる王室の隅々、いや…この世界全てを飲み込んだ。


「しかし…だ…その勇者を我があっさり倒しても面白くは無いのだ…よって100人まで認めようでは無いか。」


「100人だと…?」


「そうだ…100人の内誰か1人でも我に勝てたら認めよう我の負けを。その時は潔く死んでやっても良い。…というよりは我を必ず殺させる…まぁそんなことは万が一にもあり得ぬがな!あーっはっはっは!まぁただの享楽よ!本当にただの享楽!はーっはっはっは!」


「そのゲーム…受けて立とうでは無いか…」


 光の消えていた国王の眼に息を吹き返したかのように希望の碧い光が灯る。


「フッフッフ…」


 勝利を確信したかのように静かに笑いながらゆらりと国王が立った。


「フッ…自ら死を望んだことを後悔するんだな…哀れな神の成り損ないめ…ゴホッゴホッゴホッ!この世界は…この星は…」


 最後の気力と言うべきか最後の輝きとも言うべきか碧い炎が国王の全身を包んだ。


「ワシらは必ず勝つ!貴様に!この世界も全ても何も!壊すことなど断じて出来ぬ!勇気の…!碧き…炎の…閃光がぁ!!ハァハァ…必ず…必ず貴様を!………グッ…倒す!!!」


 この言葉を最後に国王は完全にその場に倒れ塞ぎ込んだ。


「…死んではいないのか…ククク…見事だサルス国王とやら。ハーッハッハッ!見せてみろ!我に!その輝きを!ハーッハッハッ!」


 闇夜にディアブロの恐怖が響く。この笑い声を皮切りにその絶望(クソゲー)が始まった。


 

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