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第2話 チートスキルねーのかよっ!?

 弦人はその場に座り込んだ。


「さー、どーしよー、これ……」


 弦人は頭の中で状況を整理した。


 これ、やっぱりアレだよな……

 異世界転生……

 いや、生まれ変わったわけじゃないから、異世界転移のほうか……


 て、ことは、異世界転移といえば、もれなくすごい能力が!?


 弦人は期待で胸を膨らませた。


 だいたいアレだよな、ステータスとか開いたら、いきなりレベル99だったり、すごいスキルが備わってたりするよな……


 えーと、だいたい、こんな感じの動きをすると、ステータスバーが……


 弦人は空中で画面をスワイプするような動きをしてみる。

 が、何も起きない。


 他にもいくつか、それっぽい動きをしてみるが、出てこない。


「いや、でねーのかよ!!」


 弦人は誰に対してかわからないが、そうつっこんだ。


 音声入力かもしれないと思い、「ステータス」や「コマンド」など、思いつく単語を発してみたが、何も起こらない。


 だめか……

 とりあえず、魔法かなんか使えねーかな……


 弦人は立ち上がって、右手をかざし、力を込める。

 そして、炎をイメージする。


 が、何も起こらない。


「いや、せめて、魔法くらいでろよ!!」


 またも、一人でつっこむ。


 やはり、呪文が必要なのかもしれないと思い、「ファイアー」や「炎よ」など、それらしい言葉を発してみるが、やはり何も起きない。


 くそ、じゃ、せめて、身体能力がすげーパワーアップしてるとか……


 弦人は周りを見回す。


 少し離れたところに、大きい岩を見つける。

 長径1メートル以上ある。


 弦人はその岩を両手でかかえ、持ち上げようとする。


「ふんぬっ!!」


 全力で持ち上げようとするが、びくともしない。


 だめか……

 なら……


 弦人は右手で拳をつくり、全力でその岩に叩きつけた。


「痛い……」


 ただ痛いだけだった。


 くそ、なら、スピードは!?


 弦人は一直線に100メートルほど走った。


「去年より、タイム落ちてるな。やっぱり受験でだいぶ体力落ちたか……って、そういう話じゃねーよ!!」


 全く普通だった。


 うーん、あと思いつくことは……

 異世界モノで、あんまりないけど、物を超高速で投げれるとか……


 弦人は近くに落ちていた野球ボールほどの石を拾う。


 そして、野球のピッチングのフォームで投げてみた。


 石は普通のスピードで飛んでいき、近くの茂みに消えていった。


 だめか……

 なんか一個くらいねーのかよ、すごい能力……


 と、そこで、石が消えていった茂みががさごそと動いた。


 ん?


 そして、茂みから、一匹の生き物が出てきた。


 緑色の肌、尖った耳と鼻。

 猫背だが直立で立っている。

 大きさは人間の大人の半分くらいだ。


 あー、やっぱり、最初にでてくるのはゴブリンなのね……


 弦人はそこであることに気付いた。


 そのゴブリンは頭にコブができており、左手には、先程弦人が投げた石を持っていた。


 まさか……


 ゴブリンの表情は、怒りに満ちていた。

 そして、


 ぐあぁぁぁぁぁっ!!


 と、大きな声で叫んだ。


 すると、茂みからさらに何匹ものゴブリンがぞろぞろとて出てきた。


「あー、えーと、これは事故なんですー。私、今、この世界に来たばかりで、右も左もわからないもので……」


 弦人は、通じるかわからないのに、日本語で言い訳をしながら、後退る。


 ぐあぁぁぁぁぁっ!!


 その咆哮で、ゴブリンたちはいっせいに飛び出した。


「あーっ!!やっぱり、だめかーっ!!」


 弦人はゴブリンたちに背を向け全力で走りだした。


 ゴブリンたちも全力で弦人を追う。


「あーっ!!くそーっ!!何なんだ、この世界はーっ!!」


 弦人は不満を絶叫しながら、全力で逃げた。




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