夢と魔法の時間
薄茜色の空の向こう側
浮かぶようにそびえ立つ山の影
三十階建て、四十階建ての
硝子の木々を従えて
空に刻まれた陽炎の線の上
ゆらりゆらりと船を漕ぐ
光星が地平に口づけ
また明日、と眠りにつくまでの僅かな時間
周りがみんな
夢を分け合うことのできる時間
光星に代わって
闇星が空に浮かぶと
紫紺色の空の向こう側
溶けていくように薄れていく山の影
一つぽつり、また一つぽつりと
硝子の木々に明かりは灯り
空に引かれた灯火の線の下
季節外れの蛍たちが川の上を流れてく
闇星が地平に口づけ
良い夢を、と眠りに誘うまでの僅かな時間
夢のような時間を惜しみながら
それぞれの夢の世界へ帰る時間
光星に代わって
闇星が空に瞬いている