The Queen of Kabuki-cho (5)
もしかすると、あれは歓楽街の女王の部下かもしれないし、裏の顔を持たないキャバ嬢かもしれなかった。
しかしレイラには、その考えがなかった。なので本来なら早合点に終わるはずなのだが、今回だけは正しかった。実に僥倖である。
「歓楽街の女王」を、見つけた。
そう確信したレイラが他の何よりも優先すべき仕事は、もうない。マホから投げられていた、マホとともにカリンの救援に向かうという「仕事」を実行するだけだった。
マホがどこにいるかはわからない。なので、マホとの合流は諦めて戦線に向かった。歌舞伎町二丁目の、11階建てビルである。駆けて5分ほどであろうか。店からはほど近い場所にあった。ここからは、いつどこで弾が飛んできてもおかしくない。
すぐ近くで、銃声が聞こえた。低い場所である。建物の陰から様子を伺う。マホがいた。たった一人で戦っている。見たところ、多勢に無勢であった。
レイラはマホの反対側に回り込みに行った。マホを攻撃しているのは5人のようだ。不思議と恐怖はなかった。
意を決し、駆ける。マホと目が合った。手にする鋭器で、敵を背後から斬り上げる。敵は鋭器だけでなく銃も持っているが、銃は接近戦では弱い。使い方を簡単に教わっただけの鋭器を、レイラは一心不乱に走らせ続けた。思わぬ背後からの攻撃に、敵はすぐに崩れた。
一方、長いこと前線で任務をこなしているマホはなかなかの手練れである。敵が崩れかけた状況で、わずか5人を殲滅するのに時間はかからなかった。
「ありがとう、レイラ。歌舞伎町の勢力の手の者に待ち伏せされていた」
「私たちの店の、ユメという女。あれが歓楽街の女王に間違いない。どうやら私たちの会話が筒抜けだった」
「なるほど、そこから情報が流れたのね。それで、私の動きを捕捉された、と」
レイラはユメの姿を今一度思い返していた。歓楽街の女王という異名にふさわしい、恵まれた容姿である。そして、自分を見せない。常に何を考えているのかわからない不気味さがあった。
「確かに、ユメが歓楽街の女王だとしたら全てのことが矛盾なく説明できる」
マホが言った。まだ空は真っ暗で、街灯だけが煌々と光っている。
「見直した。これは大手柄かもね」
マホがレイラの肩を叩く。思ったより強い力に、レイラは一瞬よろけた。
「さて、どうする?あのビルの屋上にカリン様がいる。私は屋上に行くわ」
「じゃあ、私も」
「レイラ、この先はまだあなたにはまだ危険。地上で待機していて。代々木から増援が来るように手配したから、その部隊と合流して」
代々木は歌舞伎町とそれほど離れていないので、早く到着してくれるはずだ。レイラは頷いて、マホと別れた。ひとまず落ち着ける場所を見つけたいが、この街に安全と言える場所はない。ひとつ、誰も寄り付かなさそうなビルが頭に浮かんだので、そこに向かうことにした。
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