第7話 旅の始まり
いつもより短め。
今回から、進の一人称を自分→俺に変更しました。
昼食を食べ、取説を読み続けること数十分。
俺は特異性:旅の宿について理解した。・・・半分くらいだけど。
やれる事は大体分かったが、試してみないと分からない部分も多かった。
旅の宿の能力はだいたいこんな感じだった。
・異空間に家を持つことが出来る。
・門以外から異空間に入ることはできない。門は使用者の意思で出したり消したりすることが可能。
・一度に入れる人数には制限がある。
・家が壊れても、使用者の意思で修復できる。
・消耗品も、使用者の意思で補充できる。
はっきり言って、すごく性能がいい。
結局あのリストも回数制限でなく、人数制限だと分かったし、食料なども使い放題。
うん、素晴らしい。
そして取説があってよかった。意思でどうこう出来る所は気付きにくいから。
『しかし、気味悪いくらいスゴイ性能やなぁ。こんなん今まで見たことないし、ススムしか持ってへんのちゃうか』
「そうかな?まぁ持ってても隠すだろうけど」
『その方が利口やと思うで。ええように利用されるんが目に見えとる』
どの世界でも、自分に都合のいいものは利用しようと考える人はいるだろう。気をつけなければ。
「じゃあ、飯も食ったし行くか」
『なんや、今から行くんかいな。今日はもう、行かんでええやん』
「そういうなよ。とりあえず行ってみようさ」
旅の宿があれば、準備もいらないんだしさ。
『しゃあないなぁ、ほないこかー』
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「なあ?これおかしくないか?」
門を出て、あの洞窟に戻ってきた。雨は止み、いい天気になっていた。
そして本当に太陽が二つあったよ。これを見ると異世界だと今更ながら実感する。
ちなみに、おかしいのはそれではない。
俺のリュックに入っているツチノコもどきのことだ。スカイサーペントらしいけどツチノコにしか見えないのでそう呼ぶことにした。
ツチノコもどきは登山用のリュックにスッポリ入り、首から上だけ覗かせている。こいつ、歩きたくないからって・・・
『ちゃんと戦闘の時はやるさかい、ええやん』
「よくないよ、重いんだよ!」
『また重いってゆうたな!』
洞窟の入口でギャーギャー騒いでいても、埒があかないのでとりあえずこちらが折れた。
セリが言うには歩く、というより移動があんまり得意でないらしく、俺のペースに合わせるのがシンドイらしい。
言い訳にしか聞こえないが、旅をする主な理由はこちらにあるので仕方ないが背負って歩く。
本当に行きたくない場合は家にいればいいのだが、魔物の件もあるし、いてくれるだけで頼もしいので、言わないが。
「さてと、行きますか。洞窟の奥に忘れ物とか大丈夫か?ずっと住んでたんだろ」
『大丈夫や。必要なもんは収納空間にいれてるしな』
なるほど、便利だな収納。自分も手に入れられないだろうか。家があるからそこまで困らないけど。必要な時にすぐ取り出せないんだよな。
特異性を付与する石で付与したりできないかな。
「そっか、なら問題ないな。じゃあ昨日言った通り川沿いを下って行くよ」
『あまり川に近づかんようにな。川の中にも魔物はよう居るしな』
まじか、昨日全然気にせず歩いてたよ。危なかった。
でもどんな魔物だろうか、少し気になる。
会えたらいいが戦闘は嫌なので、うーん・・悩ましいところだ。
そう思いながら、ただ下流に向かって歩き続けた。
ようやく出発。某ゲームでいうと、御三家を貰った所です。