第32話 お休み
「もう大丈夫ですか?」
ナギに聞かれ、「大丈夫」返す。
怪我はフウに治してもらいすぐ完治したのだが、どうも病原菌が入り込んだらしく。数日寝込む羽目になった。
アンダルシアの“解毒”で病原菌は消え去ったらしいが、熱は直ぐに引かなく苦労したよ。
でもナギに甲斐甲斐しく看病して貰ってなんか嬉しかったな。今までずっと一人だったし。
ナギには今度お礼をしておかないと。
『あ、旦那起きて大丈夫なのか?』
「ああ、シアもありがとな。“解毒”のお陰で助かったよ」
まさか病原菌が毒扱いだとは思わなかったけど・・・
アンダルシアにも今度人参を大量に渡しておこう。
「あ、おじちゃん起きてるー」
そう言ってタックルするフウ。相変わらず元気だな。
「ねぇ?ずっと寝てたみたいだけど、そんなに眠たかったの?」
「ん?いやいや、しんどくて起きられなかったんだ。寝たかった訳じゃないぞ」
どうやらフウは勘違いしているようだ。いくら眠たくても数日も寝られないぞ。
と、思ったらナギが理由を説明してくれた。
「この子は病気とか言うと心配になって部屋に入ろうとするので、あえて言わなかったんです」
そうなのか?
でも数日もずっと寝てて、言わない方が心配にならないか?
あ、眠たいと言っといたら起こさないようにするからか。
『ス、ススムゥ~・・起きたんか~・・・』
セリの奴なんか弱々しいな、お前も病気になったのか?
記憶ではピンピンしてたはずだが。
『お菓子、お菓子をウチにぃ~・・・』
・・・・・
お菓子て、まだ朝だぞ。
なんか禁断症状みたいになってるがどうしたんだ?
「セリさんには罰として、ススムさんが良くなるまでおやつ抜きにしました」
ナギさんやり過ぎでは?
「それは分かったが、よくセリが了承したな。駄々こねると思うのだが。」
「その辺りはセリさんも自分のせいだと理解しているので」
にこっと笑うナギ、なんか笑顔の意味が怖いんだが?
なるほど、セリもこの笑顔に負けたのか。
『なぁ・・お菓子~』
セリの弱々しい声が聞こえるが、ナギが笑顔で「ダメですよ」と言っている。
「セリ、おやつの時間なったらやるから」
『ふぁぁ!?』
あ、死んだ・・・
揺すってみるが動かない。
すまんセリ、俺もナギの笑顔には勝てないんだ。
だが、セリがこの状態では今日も旅はできそうにないな・・・
「病み上がりなんですから、外に出てはダメですよ!」
「え~!? いやもう治ってるし大丈夫だろ」
熱出て無かったら会社行ってたぞ。人によっては熱出てても来る人居るのに。
「ダ・メ・で・す!!」
「・・・あ、はい。すみません」
強めに言われた。逆えずに謝る。
主導権は完全に向こう側だし勝てる気がしない。
フウはとばっちりを受けないよう、すでにナギが用意した朝ごはんを食べるために席に座っていた。
関わりたくないようだ、こちらを見ることすらせず、大人しく座っている。
・・・・・
俺も朝ごはんを食べるか・・・。それから何するか決よう。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ご飯を食べ、軽く朝風呂に入って一服する。
今日は外に出てはいけないので、家の中でできることをしようと思うが急に言われると何をしていいか分からない。
元の世界では、ネットサーフィンなどして時間を潰していたのだが、こちらではネットが見れないので諦める。
テレビも無理だしなぁ。
こんな時、家の中で出来る趣味の一つでもあればいいのだが、そのような物はない。
せっかくだしフウとでも遊ぼうかな。
こっちの世界の遊びって何してるんだろう。
と、思いつつフウを探そうかと立ち上がるとナギに呼び止められる。
まさか・・・また怒られるのか?
「ススムさんちょっといいでしょうか?」
「あ、はいどうぞ」
「あの・・・そんなに畏まらなくても・・・」
どうもさっきまでの影響か、ナギに対して緊張してしまう。
どうやらいつものナギのようだ。少しホッとする。
「えっと、もしかして寝てる間になんかあったか?」
「あ、いえ、違います。ちょっと相談と言いますか、お願いと言いますか・・」
?、何だろう。
てっきり寝込んでる間に、消耗品が切れたとかそんなことかと思ったが違うようだ。
「ちょっとついてきて貰ってもいいですか?」
そう言われて案内されたのは裏庭だった。裏庭には畑が出来る様に区切られている箇所がある。
俺がそうしたんじゃなくて最初からそうなってた。庭の大きい家って家庭菜園してるよねっていう俺のイメージから用意されてたっぽい。完全な偏見だが・・・。
用意されてたからといって、俺は植物を育てることはしない(できない)し放置してたのだ。
「これは畑ですよね?何か作られていたのですか?」
「いや“旅の宿”に用意されてただけだ。まだ何もしていない。こういった事はした事がなくてな」
野菜作りとかテレビでちょこっと見たことあるけど、めんどくさそうでやろうと思わなかった。昔から世話が苦手なのでこういった事には向いてないのだ。
「そうなのですか? あの、もしよろしければ私が使ってもいいですか?」
「いいけど。何か育てたい物でもあるのか?」
「村で育てていた野菜の種があるのですがそれをどうかと思いまして・・」
どうやら、村で育てていた野菜や花をここでも育てたいらしい。
別に構わないのでOKしておく。好きに使ってくれて構わないが無理だけはしないように伝えておいた。
最近、料理や掃除までしてくれるからな、あまり無理はしないで欲しい。
「あはは、大丈夫ですよ。それに植物を育てるのは好きですから」
そう言うのであれば、とやかく言うのはやめておこう。
「じゃあ、用具はここに入ってるから好きに使ったら良いよ。使い方は分かるか?」
まぁ俺もよく知らない物もあるけど。
「ありがとうございます。見た目は私達が使っていたのと似ていますので問題ないと思います」
なら良かった。
あとは任せても大丈夫そうだったので俺はそのまま家に戻る。
見るとセリはまだ息を吹き返していない。お気に入りのソファに埋葬されている。
これはフウの仕業だな・・・、あとでナギに怒られても知らんぞ。
しかし毎度のことだがショック受け過ぎだろう。数日我慢してたのはがんばったと思うけど・・・
なんとか出来ないもんかな・・・、
甘い物食べさせまくったら逆に嫌になるかな?
・・・・・
無理か・・・太るだけだな。こいつ甘い物なら無限に食うからな。
あきらめよう・・・
どうせ毎回おやつの時間になったら復活するし放っといても問題ないか。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ススムさん? 何されてるのですか?」
ナギに声をかけられる。
ちょっと集中しすぎてたみたいだ、声をかけられるまで気付かなかった。
今、拾った魔石を分けている最中だった。大量に拾ったのは良いがごちゃ混ぜになっていて気になってたのだ。今後売ったりするにしても分けないといけないので今のうちにしておこうと思ったわけだ。
「ああ、今までに拾った魔石を分けてたんだ。暇だしちょうど良いかと思ってな」
「いっぱいありますね・・。私もみても良いですか?」
「いいよ」と返すとナギはそのまま俺の隣に座る。対面のソファにはセリがいるので無理だからだ。
「これは・・・魔物ごとに分けてるのですか?」
「そのつもりだが・・・正直どれがどの魔物の魔石か分からないから色で分けてる。ナギさんは分かるのか?」
「少しは。魔石は確かに分かりにくいですが、慣れれば細かい違いで分かるようになります」
そういうものか。
車やバイクだって種類を知らない場合みんな似た形に見える。これも同じようなものだろう。
「すまないが、どれがどの魔物のか教えてくれないか? 流石に数が多すぎて分からないんだ」
「分かりました。ですが全て分かるかどうか・・・」
「いや知ってるのだけで良いからさ。分からないのはそのままで分けるだけにしておこう」
「はい」
そして二人して黙々と作業する。
俺もそうだが、ナギも作業中は無言になるので会話がない。
作業はお腹を空かしたフウが来るまで続いた。
なんか長くなってしまったので分割しました。




