第22話 チャロアイト発見
俺はそっと門を開ける。そして、周囲を確認する。
どうやら周りに魔物は居ないようだ。
俺は後の二人と一匹に伝える
「魔物はいないみたいだし、行こうか」
門を出ると二人と出合った場所に出た。特に変わった様子はないし、荒れているわけでもないので、ここで魔物が暴れたということはないようだ。
「セリ、チャロアイトの場所はあっちだったな?」
『いや、もう少し左やな。この数日で移動したみたいや』
俺は前聞いた方向を指したが背中のセリによると場所を変えたらしい。チャロアイトって石だよな? 動くのか?
『動く・・・かは知らんけど、ほっといたらちょこちょこ居場所がかわんねや。動いてるとこ見たことないし、移動方法は知らんけどな』
どうやらセリでも知らないらしいが移動するのは確かなようだ。実物を見ていないので、チャロアイトがどのようなものか知らないが、魔物を使役する以上、魔物に運んでもらったりしてるのだろうか?
しかし方向が左にずれたとなるとナギたちの村の方角にならないか?
「どうやらチャロアイトはあっちに移動したみたいなんだけど、二人の村って同じ方向だよな?」
俺は、後から付いてきている二人に聞いてみた。
本当は危険なので付いて来てほしくないが、聞いたら行くと言ったので付いてくることになった。
ただ和服で森の中は歩き辛いので、ハイキング用の服に着替えてもらっている。
二人とも最初は戸惑ってたが、今は慣れてきたみたいだ。寧ろフウは動きやすいからかテンションが高い。
しかし、二人は俺の話を聞いてるのだろうか? さっきからずっと背中を凝視されてるんだが・・・
「あの~・・・ 少しよろしいですか? そのセリさんは何故そこに?」
・・・・・
まぁなんとなく分かってたけど・・・指摘されると俺も何故だと思ってしまう。
『ウチは歩くん遅いから、ススムにおぶってもらってるんやで!』
あ~・・・最初、そんなこと言ってましたね。
セリ、背中で踏ん反り返っても二人には聞こえてないし、後そんなに堂々と言うことでもないぞ。
ほら、二人が余計に困惑しただろ。
「あ~セリの態度はほっといてくれ・・・こいつの歩くのが遅いからリュックに入ってるだけだ」
無駄に体力を使うのでセリには降りてもらいたいが、そうなると移動速度がものすごく下がる。ダイエット中、こいつで言う走ってるスピードがこっちの早歩き程度なのだ。
「それで、チャロアイトの位置があっちにあるそうなんだが、村の方向と同じだと思うんだ。村に行くつもりはないがこっちから進んでもいいか? あった時行くなと言われたしやっぱりダメか?」
ナギ達と初めて会った時に通せんぼされたので、そのまま進まず一応聞いてみた。
「え?、あ、はい。構いません。あの時はまだ魔物がいると思ってましたので行かないようにしていただけです。すみません」
やっぱりそうか。ナギのことだしそんなことではないかと思ってた。有角族なのでナギも人間が嫌いみたいだが、喋ってるとそんなに嫌悪感を感じられなかったので、そんなに悪く思われてないのではと思っていた。
でも「魔物がいるからダメ」なら、そうと普通に言って欲しかった。
「すみません。村の決まりで人間を来させないように決まってましたので・・・」
しゅん・・とするナギ、別に責めてるわけじゃないので気にしないで欲しい。
しかし、決まりか・・・このまま村に入ったらナギたちが怒られるのか? なにか言われたら「非常事態です」乗り切れないかな・・・無理か。
『多分誰も居らんで、居ても魔物やろなぁ』
・・・そうかもしれないけどさ、二人の前では言うなよ。
「そういえば、魔物で思い出したけど、今日は出てこないな」
『確かにそやな。位置的に前より近なってるはずなんやけど・・・』
「出てこないに越したことはないけど・・・セリ、ちょっと用心だけしといてくれ、あと守るときはナギさん達を優先でな」
セリの了解を確認して歩を進める。一応整地されてるが、言ってしまえばただ踏み固められたような道なので思ったより歩き辛い。それに若干坂道になっている。
けど、後の二人にとっては歩きなれた道のためか対して堪えてないようだ。
『ススム!前に魔物居るで!』
「! あれか!」
セリが見つけた魔物に向かって指先からレーザーを照射した。
一直線に飛んだレーザーは蜘蛛型の魔物の額に穴を空ける。魔物はそのまま倒れた。
『あの距離でもこの威力か・・この距離やと鎌風は途中で威力下がるし、距離しだいではそっちのほうがええなぁ』
「だな、前に話したとおり距離で互いにカバーしたほうがよさそうだ」
セリとは、先日戦闘について話し合っていた。特異性よるが近接戦闘は圧倒的にセリが強いのでセリが担当になっている。俺はさっきのレーザーで遠くにいる魔物を倒す専門だ。理由はレーザーの速度が速いのと、貫通力があるため、大抵の魔物であれば対応できないとセリが判断したためだ。
実際、さっきの蜘蛛魔物は回避もせずに昇天した。
『こいつは・・・ツリータランチュラやな。前見たことあるわ。木に擬態して襲ってくる奴やけど、使役されとるし擬態せず行動しとったみたいやな』
ツリータランチュラね、前進が木の表面にそっくりだな。
とりあえず写真とっとこ。あ、魔石は回収ね。
「よし、先進むか」
そう言って、一時間程歩いた所で開けた所に出た。周囲に荒らされているが畑があり、奥に家も見えるな。
どうやら、村が見えてきたらしい。
あの後、道中はそれなりだが魔物に遭遇した。セリと二人掛かりで大した事なかったが、チャロアイトに近づいているのは確実だった。セリによると全て使役されていたらしい。
「・・・ニードルビーにアースラット、ああアーススパイダーまで・・・」
道中ナギが呆然としていたが、何か問題でもあるのだろうか? 後で聞こう。
フウは、一生懸命魔石集めを手伝ってくれていた。ありがとな。
「ナギさん、あれが有角族の村であってる?」
念のため、ナギに確認してみる。
「はい、そうです・・・」
少し、声が震えてるが仕方ないよな。家は破壊され、中には倒壊してるものまである。
場所によっては煙が上がってるので燃えた家もあるのだろう。
ただ、幸か不幸か人の死体が見当たらない。
『魔物が襲ったんや、その後に人の死体なんて残らへんで』
セリが理由を説明してくれた。理由は分かったが聞きたくはなかったな。
そういえば、魔物は食人種だったな。
ナギとフウはその辺り理解しているのか、ただ無言で村を見回していた。
今までずっと生活していた村だ。親や仲のいい知り合いだっていた筈だ。
今の二人にかける言葉は俺には分からない。
だから俺は、俺にできることをしよう・・・
『ススム!見つけたで!』
俺は、セリのむいている方向を見る。
そこに俺の身長の倍くらいある紫と白の混ざった石が地面に突き刺さっていた。
そして、
「ぐぎゃああぁああ」
その石の上に、薄緑色のドラゴンが居座っていた。




