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第197話 タイムアタックスタート

遅くなってすみません

くくく、久しぶりにウチの出番やで。


どっから湧いたのかよう分からん大きな牛を見てにやりと自然に笑みがこぼれる。最近戦闘も無く手応えのない魔物ばかりで退屈やったからな。

シュルトゲートの森で力を回収したのにそれ以降力を発揮できる強敵が地上では全くおらんかったけど、やはりダンジョン、潜って少し降りただけでそれなりの奴が居る。


コイツならこの姿で本気出しても申し分無いはずや。“顕現”は使わへん。使ったら目立つし、下手したらダンジョン崩れるかもしれんしな。


それにこの姿でギガント級を倒せると証明したい気もある。カイマンもヤツメも結局“顕現”を使わんと勝てんかった。そろそろ今のままで何とかしたい。


『くくく、悪いけどウチの力試しの相手になってもらうで?』

「モ゛ォォオオオオ!!!」


ギガント・ブーバルスは大きな鳴き声を上げた後、目の前に近付くウチに角で突き刺すように頭を下げて突撃する。軽く上に跳んで、下を通り過ぎるギガント・ブーバルスを“心眼”で確認。



種族 :ギガント・ブーバルス


特異性 :身体強化 怪力 巨大化 豪震 泥生成 統率 角撃



特異性は普通やな。泥を生み出すだけの“泥生成”と周囲の魔物をまとめて使役する“統率”以外は身体強化と攻撃技しかない。とりま“豪新”と“角撃”に気を付けといたらええやろ。


どう攻めようかと考えてると、ススムが念話を飛ばしてきた。


『そっちどう?』

『何や、ウチの心配か? そんなん要らんで』


ウチに戦闘での心配は一切無用や。何てったって最強やからな!


『お前にそんな心配はしてないよ。状況確認だけだ』


分かっとるやん! と思う前に何かイラッとする。しかしススムがわざわざ念話してくるってことはなんかあったんかな?


『信頼されてんのはええけど、それはそれでイラッとすんなぁ。まぁええ、こっちは今ギガント・ブーバルスの前に着いたとこやし、これから戦うとこやで。で、どしたん?』


実際は既に攻撃されてるけど、ウチはまだ攻撃してへんしな。


『どしたんって何が?』

『心配しとらんのに聞いてくるって事はそっちでなんかあったんやろ?』

『ああまぁな。カイマン目当てで手助けしてって言われてる。どうも逃げ遅れたやつがその辺にいるらしい』


その念話を聞いて周囲を見渡す。

すると色んなところに横たわったり、逃げている最中だったり、怪我でもしとんのか体を引きずりながらギガント・バーブルスから逃げようとしている奴が居る。

手助けってことはそいつらに何かある前に倒せばええんか。


『・・・あいつらやな。じゃあそいつらに被害がでんようにコイツ倒せばええんやな?』

『話が早くて助かる。悪いな』

『どら焼き10個やで!』


ススムは最近お願いを聞いたり、頑張るとお菓子をくれる。ウチは面倒やから普段あんまり動かんけど、リンはそれで結構お菓子を貰っているらしい。


正直冒険者なんてどうでもええけど、どうせコイツは倒すんや。

ついでにちょっとその辺の冒険者を守ってやるだけでお菓子を貰えるやったら当然要求させてもらう。

まぁあかん! って言われるだけやろうけどな。


『20個出そう』


が、予想と違ってススムは更に倍の量を提示してきた。一瞬何か裏がありそうな気がしたけど疑うだけ無駄やし乗っかる。

というか20個とか嬉しすぎてテンション爆上がりだ。


『!? よっしゃぁ!! 任せときいぃぃい!!!』


そう送ってからギガント・バーブルスに意識を戻す。再度角で突進攻撃するらしく、こっちを睨んで次の攻撃をするタイミングを探っている。元から死んで貰う予定やったけど、どら焼きが20個も貰えるんや・・・


『確実に死んで貰うで!!』

「ブモォォオオ!!」


倒す為に突撃したウチを返り討ちにする為にギガント・バーブルスも突撃してくる。


『先手必勝や!!』

「ブモォ!」


先制攻撃で鎌風を数発放つが、角に全て弾かれる。思ったよりもあの角硬いやん。


「ならこれならどや!!」


今度は顔を狙って雷の矢を複数飛ばす。これは普段からちょこちょこイメージトレーニングしてきた技だ。いつものように落とす方が、楽で威力も高いしええんやけど、相手が黒こげになってまうから価値が減るとチョコが言ってたので、黒焦げにならん程度の威力で相手を倒すために考えてみた。


「ブモモォ!」


こっちの雷の矢に、ギガント・バーブルスは“泥生成”で対処してきた。空中に泥の塊を展開して雷の矢の盾にしたのだ。

視界の端で泥に防がれるウチの雷の矢を見つつギガント・バーブルスに体当たりする。勿論“鋼質化”、“身体強化”、“加速”、“怪力”のフルセットでだ。

でも相手も“身体強化”や“怪力”は使うとったのか、体当たりで相手を倒すことは出来なかった。


『やるやん!』

「ブモォ!」


「お前もな!」と言われたような感じがした。

牛だからただ突っ込んでくるしか能のない馬鹿な魔物だと思っとったけど、こっちの技に対応してきたりするところを見ると思ったよりも頭がええのかもしれん。


面倒やけどちょっと作戦練らんとあかんかな・・・。おやつの時間が迫ってるし、早よなあかんのに。

しゃあない。チョコの為に素材を残してやろうかと思っとったけど止めやな。


『ススム! おやつの時間まであと何分や!?』

『・・・あと14分。冒険者達から離れないといけないことを考えると多分もう無理だぞ』


ちぃぃ! ウチの体内時計と一緒やった!

そやった。冒険者達撒かんと門がバレるし帰れへんねやった。14分か・・・倒すのに4分、ススム達と合流すんのに1分、そっから撒くのに5分、汚れた体を洗うのに3分・・・


『1分余る! 行けるで!!』

『何で1分余るか知らんが無理だろ絶対』

『無理ちゃう!! ススムはこっち来て帰る準整えとき!! その間にウチはこいつ倒しとくさかい!』


ウチが倒している間にススムが合流したらさらに1分短縮できる。よっしゃ! 間に合うで。


『はいはい・・。分かったよ』


ススムは間に合わないと確信してるのか呆れた感じの念話が返ってくる。

けど動き出したようで、カイマンの位置が近付いてくるのが“気配察知”で分かる。

あとはウチが早めに倒せばええだけやな。


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