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第185話 その頃家では・・・

首都を出て3日。ダンジョンはまだ先のようで、まだ見えない。

チョコによると、ダンジョンの周りには露店などで賑わうから半分村みたいになっているそうなんだけど、目の前に広がるのはだだっ広い平原だけだ。

見晴らしは良いんだけど、何も無いのでただ歩くだけで他にする事がない。セリとの会話もずっとしてるわけでもないし、ながら歩行するには道が悪い。

その上魔物すら出てこないし誰かとすれ違うこともない。


何が言いたいかというと暇なのだ!!


『なら帰ったらええやん。今日はもうやめてさ』

「昨日もそれで帰ったじゃん・・・」


流石に今日は歩かないと。


『あのくるまとか言うの使うたらええやん』

「いやあれは他の人に見られるとまずいから」


車は速いけど、この世界で使った日にゃ目立ってしょうがない。


『じゃあカイマンに乗ったらええやん』

「いやあれも他の人に見られるとまずいから」


カイマンも速いけど、周囲が怖がるしダメだ。


『じゃあ、シアはどないや?』

「いや、アイツ男は乗せないし・・・」


何でか知らないけど。


『じゃあ地道に歩くしかないな』

「だよなぁ・・・」


やっぱりそうだよな・・・



◇ ◇ ◇ ◇ ◇


~ススム移動中~


「出てな! モアネーチャン!! 今日こそは私が勝つんだから!」

「あらあら・・、なら私の十問を破れるかしら?」

「望むところ! 昨日いっぱいよしゅーした今の私は無敵だもん」

「やるじゃない。でも無敵かどうかは全部解いてからよ!」


・・・楽しそうね。

リビングで行われているフウとモア姉様のやり取りを見てそう思う。

モア姉様はフウの勉強意欲を上げるために、フウの性格に合わせた勉強法を用意した。それが今やっている勝ち上がり式勉強法だ。難しさに応じた勉強レベルを設定し、それを一定量クリアする事でご褒美を貰うというシステムにしてあり、フウのやる気を出させている。ちなみに今のやりとりは2人のアドリブで、あれをする事でフウのやる気が大分変わるらしい。


「ふふふ、残念! この答えは54よ!!」

「ああ〜!! 間違えたぁあ!」

「ふふふ。これで貴方の残機は残り3・・・。このままだと今日も私の勝ちかしら?」

「むむむむぅ~。まだ負けてないもん!」


そして1日に間違えれる回数を決めたことにより、グダグダ勉強する時間を減らした。1日5回間違えるとその日の勉強は終わりで、問題十問への挑戦は出来なくなる。挑戦出来ないということはクリア出来ないという事で、勉強レベルのアップもしない。当然ご褒美も貰えない。


問題への挑戦を出来なくする=勉強時間が減るという事なので、最初はこの方法どうなのって思ったけど、フウは負けず嫌いな性格の為かクリア出来ないと悔しがって逆に勉強をする様になった。

最初はフウでも簡単に解ける問題で調子付かせたからか答えられない時は半分拗ねてたわね。


ちなみに新しいことや、間違えた場合は都度教えたり解説したりしている。


「でもフウがあそこまで勉強するなんて思いませんでした」

「モア姉様の作戦が上手くいったようね」

「上手くいったのはいいけど、勉強で夜更かしするようになったしこっちは寝れないよ・・・」


チェルシーが不満を漏らす。フウは自主勉強を夜にしているので寝れないのだそうだ。


「ねぇ~・・私もナギと一緒の部屋で寝ていい~?」

「ダメ!」

「ええ~・・・」

「即答すぎるでしょ・・・」


しょぼん・・と肩を落とすチェルシー。

今は大丈夫そうだが、このままだとチェルシーが寝不足で良くないしススムに言っておかないと。

しかしナギはススムとの部屋に私達を絶対入れようとしないわね。入れたくない理由は分からなくも無いけど、そこまで否定されると気になる。


「ねぇ、貴方たちの部屋って中どうなってるの? そこまで否定されると気になるんだけど」

「そう言われましても散らかってて恥ずかしいので・・・」


恥ずかしそうに目を逸らしてナギが答える。ナギはいつもそう言ってはぐらかすのだ。

それは分からなくも無いけど・・・、ナギのことだから絶対散らかしてるなんてありえない。

となると、あの部屋には何かが隠されてるはず・・・


「気になるわね・・・」

「え?」

「チョコ!」

「! 了解、行くわよ!」

「ええ?」


チェルシーも気になってたのか、私の名を呼ぶ。意図を読んだ私は勢いよく立ち上がるとチェルシーと同時にリビングを飛び出した。しかも急に動きだした私達に対し、ナギは対応できていない。この勢いのまま階段を駆け上がり2人の部屋へと突撃する。


「ナギは来てる!?」

「来てないわ! 今ならいけるよ!」

「よし!!」


チェルシーに後ろの様子も見てもらい、私は部屋のドアに手をかける。このドアには鍵穴がない、つまり鍵がかかってることはない。中を暴いてやると意気揚々にドアノブを回しーー


ガッ!


「あれ?」


もう一回回す。


ガッ! ガッ!!


「あれ~・・?」

「どうしたの?」

「開かない・・・」


何度やってもドアが開かない。「ダメ」という私に代わりチェルシーがドアノブを回す。しかしチェルシーも開けられない。

困っていると後ろから声が聞こえてきた。


「その扉は指紋認証って機能で鍵がかかってます。開けれるのは私とススムさんだけなので諦めて下さい」

「何その機能!?」


何指紋って!?

何でこの部屋だけそんな機能使ってるの? ちょっとズルくない!?


「ズルくありません。今のようにチョコさん達のような人からプライバシーを守る為です」


仕組みはナギもよく知らないらしいけど、どうやらナギとススムがドアノブを回す場合は普通に開くらしいが、それ以外の人は誰一人として開けられない仕様になっているそうだ。


「通りでナギがすぐ来なかった訳ね・・・」

「ええ。ところで・・・分かっていますよね?」

「「・・・・・」」


私とチェルシーは顔を見合わせる。そして頷き合い、スッとその場に座る。


「「すみませんでした」」

「許しません」


許して貰えなかった・・・

まぁそうよね。

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