表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
184/204

第180話 決闘③

「ぬぅ!?」


走り出した俺の速さに気付いたクソジジイは攻撃するのを止めて、すぐさま回避に移る。こっちも予想以上の速さに少し攻撃が遅れた。

結果、クソジジイの肩に軽く掠る程度のダメージだけに留まる。


うーむ、流石に速すぎるな。

動体視力が自分の速さについていけない。


「何だ。その速さは? 特異性か? いや、奴の特異性に速くなれる特異性など・・・」


驚愕の表情のまま、クソジジイが何かぶつぶつ言っている。どうやらこっちの特異性はバレているみたいだが、何処から漏れたのだろうか、可能性としてはヘイゼルかな。

そうだとすると、“光生成”は確実にバレてるとして・・・あと何がバレて・・・というか俺の特異性って名に持ってたっけ? 最近使う事殆ど無いから忘れそうになるな。


「どうでもいいけど次行くぞ?」


ぶつぶつ言っているので、空いている左手からレーザーで攻撃する。先に言ったのでクソジジイは右に跳んで躱すが、レーザーは囮だ。着地地点を推測しすぐさま走り出す。狙いは避けることが出来ない着地のタイミングだ。


「ちぃい!!」

「な!?」


が、こっちが剣を振る前に、クソジジイが空中で剣を振ってきた。向こうとしては牽制で振ってきただけのようなので、当たらなかったが攻撃が出来なかった。相手は着地してすぐ近付いた俺に大剣を振り下ろす。今度は牽制じゃない殺意のある一撃が俺の頭めがけて落ちてきた。


咄嗟に左手で剣を掴む。燃えているがダメージは無い。流石溶岩すら無傷のセリ、燃えている程度なら当然のようにノーダメージか。


「な、なぜ炎が効かない!? しかもワシの攻撃を片手でだと!? 何だお前は!?」


クソジジイが大剣を戻し問うてくるが、答えるまでも無いので無視する。

まぁ大したことはしていない、単純にセリの攻撃力、防御力、スピードを借りただけだ。昔セリがペアになることで色々共有できると言っていたので出来るか聞いたところ、出来るということなので借りた。代わりに今セリの強さは元の俺レベルまで下がっているけど、結界で守られているので問題ない。


これでさっきクソジジイの攻撃を受け止めれたことで分かるように、相手の“怪力”と同等の力まで自身の身体能力が上がった。防御力もセリ並みなのでもう負けることはない。

後はアイツをぶん殴って終わりだ。


「さて、さっさと終わらせるか」

「くっ・・・」


光の剣を出したままクソジジイに近付く。こっちが一歩歩く毎に、クソジジイが一歩下がる。さっきまでの余裕の顔が消え、難しい顔で何かを考えている。恐らく俺相手だと“怪力”で押し通せるとでも思っていたのだろうな。


「くそっ! 貴様何をした!? 貴様の特異性に身体能力を上げるものなど無かったはずだ!」

「誰情報か知らないが、その情報を鵜呑みにするとか馬鹿だろ。特異性は切り札だぞ、全部教える訳無いだろ」


実際無いんだけどさ。

さて、さっさと終わらせようか



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「どうなってるの?」


何か急にススムが強くなった。最初はモア姉様も物扱いしてることに怒って本気を出したのかと思ったけど、あのクソジジイの力を受け止めれるとは思えない。もしかしたら私たちに教えてないだけでススムにも“怪力”があるのなら納得できるけど・・・。

それならナギが驚くのも変だし多分違うわよね。ススムがナギに隠し事なんて無いだろうから。


『セリ。もしかして共有でもしてるのかい?』

『やっぱ分かるか? まぁ半分くらいや。ススムは全部借りてると思ってるみたいやけど、あれ以上渡してもススムには扱いきれんやろ。何事も程々がええんやで』

「何ですかそれ?」


リンが何やらセリに聞いている。何共有って? ナギも知らないみたいで2匹に聞いている。


『ペアによる能力の共有だよ。ススムが急に強くなったのはセリの力、速さ、体の強さをススムに分けてるからだね』

『共有やから分けた分ウチが弱体化するけどな』

「そんなこと出来るんですか?」

「全く知らなかったわ」

『そやで。まぁ普段使う機会無いし知らんかってもしゃーない。ウチもススムに言われるまで忘れてたくらいやし』


セリが言うにはそもそもススムの身体能力を上げる場面が無いから今まで使わなかったらしい。そして今のススムはセリの半分近くの強さになっているとのことなので負けることはまず無いそうだ。


『プルがススムが守っとるけど、多分今のススムはあの剣で斬られても傷一つつかんのちゃうか?』

「じゃあススムさんが死ぬことは・・・」

『絶対無い。そんなことウチがさせん。お菓子のためにもススムには死んでもらったら困るからな』

「そうですか・・・よかった」


ナギは安堵の表情を浮かべている。ずっと静かにみていたようだが内心はずっと心配だったようだ。


「じゃあもうススムが負けることは無い?」

『無い。だからモアもあの家出てく準備した方がええで』

「え? ええと・・:」


急に振られてモア姉様が驚く。

どうやら話を聞いていなかったのか、「何の話ですか?」と言わんばかりに周りをキョロキョロしている。

モア姉様が話を聞いていないなんて・・・何か考え事でもあるのかしら?

そんなモア姉様にナギが問いかけ・・・


「モアさんどうかされました?」

「あ、いえ。どうしてススム様は急に私を欲しがったのか気になってしまって。もしかしてススム様は私のような小さな人が好みなのでしょうか?」

「・・・・・」


動きが止まった。

そういえばススムに説明しとけと言われてたんだった。すぐ言おうとしたのだけどススムの変化が気になって忘れてた。早く言わないとナギの機嫌が!


「えっとナーー」

「あの~・・・ナギ様?」

「流石に私も分かりません。後でススムさんに問い詰めるので待ってて貰えますか?」

「え? あ、はい」


手遅れだった。言おうとしたらナギから怒ってますオーラが出始める。

私は開けた口を閉じて言うのをやめた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ