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第177話 何故こうなった

「ふん・・・来たか」

「そりゃくるだろ。面倒だけどさ」


庭の修復が進む中、俺を目の前にチョコの親父が鼻を鳴らす。相変わらず態度がでかいおっさんだな、切り飛ばした足は既に医師によって元通りに戻っている。特異性なのは分かるが、日本では考えられない回復スピードだ。親父の後ろにはチョコの兄弟たちがこちらも同じようにでかい態度でこちらを見ていた。


今日チョコの親父に会いに来たのは、チョコの親父と決闘する羽目になったからだ。帰るリースレットにチョコを娶る云々の伝言を頼んだら、何故か決闘することが決まっていた。


リースレットによると、チョコの親父は「欲しいなら、ワシと決闘しろ」と言ったらしい。要はあっちはチョコを賭けるから、欲しいならこっちも何か賭けて勝負しろだそうだ。本当はそれをリースレットが俺達に伝えてどうするかを決める筈なのだが、チョコの親父の相変わらずの態度に苛ついたリースレットが勝手にセリを賭けて了承してしまった。


『何でウチやねん!?』

「向こうが欲しがったから。それにセリなら仮にススムが負けてもどうとでもなりそうだし」

『そやけどアイツのペットなんて嫌やて!』


その話を聞いた時からセリは嫌やとずっと駄々をこねている。

リースレットはもしそうなってもセリなら勝手に逃げ出すと思っているのだろう。100%逃げ出すだろうが、そうなったら多分あの家消し飛ぶな。下手したら街が消えるかも知れない。負ける気は無いが、負けたらセリに大人しく逃げてこいと言っておかないと。

まぁ、プルとかカイマンが居るし、負ける事はないだろう。


「さて・・・この後用事があるからお前と違って時間がないのだ。さっさと始めるぞ」

「無いなら棄権してもいいんだぞ? 勿論アンタの負けになるけどな。怪我するよりいいだろ?」

「ぬかせ! お前こそ死んでも知らんぞ? 決闘だ、契約魔物は使えんお前がワシに勝てるのか?」

「えっ、契約魔物ってダメなの?」


まさかの事に、見物に来ているナギたちに向かって聞く。決闘の内容を知っていたリースレット、モアさん、チョコが大きく頷いた。ちょっと! 知ってるなら言ってよ!!

え? 俺1人でこのおっさん倒せと?


「お前・・・決闘も知らんのか?」

「知らん 生憎そのような文化の国の生まれでな」

「チッ! 仕方ない・・・。おい!、コイツに決闘について教えてやれ!」


チョコの親父から哀れみの目を向けられた。そんな馬鹿を見るような目で見られても知らんものは知らん。だがどうやら教えてくれるそうなので、文句は言わずに我慢する。

チョコの親父が声をあげると老執事が寄ってきて、1から説明してくれる。


それによると、決闘は1対1の形式で、そこに契約魔物の参加は不可らしい。もし契約魔物を参加させる場合は自分が参加できないのだが、今回のように誰と誰の決闘か最初に決められている場合で、契約魔物を出すのはとんでもないクズ野郎のする事だそうだ。

クズ野郎の汚名を被ってもいいけど、最悪決闘を無効にされる場合もあるので我慢する。


そして決闘では武器の使用と特異性の使用が認められている。武器は決闘前に互いで確認しあった武器なら、何使ってもOKで、特異性も使ってはダメというのはない。


「ん? これさ、召喚系の特異性持ってる奴居たらどうなるんだ? 1対1なんだろ。沢山召喚したら1対多になるんじゃないのか?」

「召喚系・・・かなりレアな特異性ですので、殆どの方が使われないのでそのような事になる事は殆どありません。ですがもしそれを持つ方がいる場合、それは特異性の効果として許可されています」

「じゃああのおっさんが「決闘だー。1対1でやるぞー」とか言っておいて、実際決闘したら“召喚”で大量の魔物を出しても有りなの?」

「有りです。因みに旦那様はそのような事はしませんのでご安心下さい」

「あっ、そう・・・」


じゃあ俺はそうしよう。

最初からやるのはアレなので、もし負けそうならカイマンを呼び出して終わらせる事にした。


「最後に決闘の勝敗ですがこれは相手を戦闘不能にするか、降参させるかのどちらかです。戦闘不能とは死んだり意識不明になる事で、両手両足無くなっても戦闘不能とは言えませんのでご注意下さい」

「そうなった時点でもう死んでる!!」


両手両足無くなった時点で、出血多量で死ぬわ! というか決闘では相手殺してもいいのかよ・・・。これ速攻カイマン出して終わらせた方がいいかも知れない。


「以上ですが何かご質問は?」

「いやいい。どうも、助かった」


どうやらさっきので全てのようだ。

まとめると、1人での戦闘で武器あり特異性ありの死闘だということか・・・。


・・・・・

後でリースレットしばいてやる。ってもうナギに叩かれてるな。

ナギも死闘だと知らなかったし当然か。


「もういいか? ならさっさと始めるぞ」

「はいはい・・・分かったよ」

「ふん・・・、ならさっさとお前の武器を出せ。ワシはこれだ、これだけで十分だ」


そう言ってチョコの親父は背中に担いでいた大剣を俺との間に突き刺す。一撃で俺を真っ二つに出来そうな大剣を軽々振る時点でかなりヤバい。

というか出せって俺武器ないんだけど・・・。武器使って良いとか今知ったし。


「ススム! これ使いなさい」


後ろからチョコの声がして、俺の近くに金属特有のツルツルしたハンマーが降ってくる。そして落ちた衝撃で地面にヒビを入れた。

ちょっと待て、これ武器じゃねーだろ。


「おいチョコ! これプーー」

「どうせ無いんでしょ? その()()使って良いから勝ちなさい!」

『主、私を武器として参加させて下さい! 最初に武器として認められれば私も参加できます』


ああ、そういう事ね。

最初に武器として許可されれば魔物だろうが参加できるわけか。後でバレても。生きてる武器だと言えば済むと・・・。


ずるいなぁ・・・

でも使わせてもらおう。向こうの武器も何か細工してるかも知れないし。


「じゃあ俺はこれ使うわ」

「これは・・・アダマンタイトの塊か?」

「ああ、そうだけど。ダメか?」

「ふん・・・。お前のような冒険者には勿体ない武器だがいいだろう。どうせ扱いきれん」

「まぁないよりマシだし。あ、アンタのもそれで良いよ」


プルが許可された時点で、相手の武器なんてどうでもよくなった。チョコの親父は刺した大剣を抜き取ると俺から距離を取る。それに倣って俺もプルを持って距離を取る。


互いに距離を取ったところで立ち止まり。向き合う。


「始めるか」

「痛みもなく終わらせてやる。安心して死ね」


その言葉を最後に決闘が始まった。


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