第167話 首都にて
次の日、朝一で買取代金を貰いに行く。
サラマンダーが高値(革が耐熱性に優れているため)で売れたので、かなりの額になる。トリック・モンキやトリック・カメレオンは新種扱いされたためレートが無く、レートが決まるまで待ってほしいと言われた。
サラマンダーで大分貰えたので、特にお金に困ることもないだろうし了承しておいた。
「よし、みんな揃ったな」
代金を受け取った後、一旦首都の家に戻る。
家にはナギを始め女性陣が外出の準備を整えていた。顔がバレたくないチョコと、バレるとまずいクリスティは帽子や眼鏡で変装していた。
変装は出来ているが、似合いすぎて逆に人目を集めそうだな。
「大丈夫よ。ススムよりは目立ってないわ」
「・・・・・」
ならいいけど、なんか納得できない。
ん?、リンは人化して行くのか?。
「ああ。この方がチョコも疲れないし、ご飯も食べやすい。それに注目を浴びることもないからね」
「でも見た目はかなり変えたんだな」
いつもはチョコをコピーして髪色を変えただけような姿で固定していたのに、今日は髪も短くしてボーイッシュな雰囲気だ。服装も男よりにしてるためか、ぱっと見だけでは男と言われても信じてしまいそうだな。
しかし何処かで見たような顔だな。誰を参考にしたんだろう?
「普段だと、チョコと間違われそうだからね。ここまですれば大丈夫だろう?」
「ああ、それなら大丈夫だと思うよ」
何処からどう見ても別人だし。
ところでセリはどうやって行くんだ?
『?、ウチはこのままやで』
「だよな」
リンみたいに『ウチも自分で歩くわ』とか言ってくれるかとちょっと期待したが、セリはセリだった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ちょっと休憩・・・」
「私も」
「私ももういいです・・・」
食べ歩いて数時間、近くにあった広場の椅子に腰かける。相変わらずチョコチョイスは肉オンパレードで胃が重い。前回同様にナギも限界で、予想通りクリスティもダウンした。フウはまだ大丈夫そうだったが、歩き疲れたのか寝てしまったためナギの膝の上で寝ている。
チョコは食べ足りないのかリンとセリを連れて次の店へと向かって行ったので、ここにはいない。
「2人とも大丈夫か?」
「まだちょっと・・・」
「私もです・・・」
「相変わらずチョコさんのチョイスは凄いですね」
「だよな。しかもあれでまだ食べ足りないらしいし。俺も結構食べる方なんだが・・・」
今日は抑えていたが、それでもシンドイ。ナギとクリスティも抑えてはいたが、3軒目以降はほぼ食べていなかった。
「はいこれ、2人ともそれ飲んで」
「これは?」
「食べ過ぎ用の薬だ。錠剤だから噛まずにそのまま飲み込むんだ。水で流し込むと楽だぞ」
2人に渡したのは消化酵素剤。食べ過ぎ用に効く薬だ。前回の経験からこうなるとは思っていたので、調べて準備しておいた。2人は言われた通り水で錠剤を飲み込む。これで少ししたらマシになるだろう。
予想通り10分程で効果が出て来たのか大分楽になり、2人の顔色からも大分楽になったのが分かる。後少しすれば家に帰れそうだ。
そうだよな?
俺は目の前にいるヘイゼルにそう聞いてみる。休憩してたら見つかった。どうやら今日もチョコ探しを命じられているらしい。ついでに俺も捜索対象になってた。
「いや、帰られると困る。旦那様が会いたいと仰っているからこのまま来てくれないか?」
「そう言われても困る。俺は会う気ないしな。大体会いたいのならそっちが来いよ」
「いやそれは・・・」
偉い人かどうか知らないが、会いたいならそっちから来ればいいだろう。来るのなら会ってやらんこともないぞ。
家には上げないがな!。
「ススム様、流石にそれは無理かと・・・。貴族などには立場というものがありまして」
「私はススムさんに賛成ですね。私たちは貴族云々とは関係のない人間ですし」
クリスティとナギがそれぞれ意見を言う。
貴族や議員の立場を知っているクリスティからすると、俺の言っていることは駄目らしい。どちらが会いたいかどうか関係なく、立場が下の者が上の者に会いに行くのが基本らしく、この場合は議員であるチョコパパに俺が会いに行くのが普通らしい。
ただナギの言う通り、俺達は貴族や議員たちとは関係のない人間なので、そういう決まりなんてどうでもいい。
「それに会いたいって言ったって、用件はチョコだろ?」
「まぁ、そうだ。ススムからチョコ様に帰るよう説得して欲しいとのことだ」
やっぱりな。まぁそんな所だろうと思ってたわ。あとはチョコを連れまわしたとか何とか言われて怒られるくらいか。どっちにしろ俺損なので関わりたくない。
「説得は面倒だからチョコの場所を言っておくよ。チョコなら今頃お気に入りの店で食べ歩きしてるから、心当たりを探せば見つかるぞ」
「何!?。本当か!?」
「本当だ。さっきまで一緒に居たし、あっちに歩いてった。けどどの店かは知らないからそれはそっちで探してくれ」
「分かった。となるとあそこか・・・。情報感謝する」
そう言ってヘイゼルは教えた方向にダッシュしていった。どうやら心当たりがあるようだ。
よし、これで帰れるな。後はチョコに任せよう。
このまま引き延ばしても意味がなし、さてチョコはどうするのだろうか。
「ススムさん・・・。チョコさんを売りましたね」
「・・・いやこれあいつの問題だから」
「それもそうですね。あ、でもチョコさん変装してますよね。見つけられるのでしょうか?」
「大丈夫だろ」
ヘイゼル変態だしな。




