第17話 有角族の二人
ちょっと遅くなりました。
二人の服装は、所々破けていた。
二人は裸足だった。
二人は所々怪我をしていた。
何かあったのかとは思ってたが、先の問答で聞けていなかった。
そうか魔物に襲われたのか。そう考えると辻褄があう。
「もしかして魔物に襲われたのか?」
聞かなくてもそうだとわかるけど。
「・・・・はい。先ほど、村が大軍の魔物に襲われました」
女性は答えるのを躊躇ったが自身の身なりでバレていると判断したのだろう、素直に答えてくれた。
「それで逃げてきたって感じだが、村は大丈夫なのか?」
「・・・分かりません。逃げるのに必死だったので」
女性はそう言い少し俯いた。
確かにそのようだ。でなければ普通裸足で歩かないだろう。
『セリ、今からでも助けに行けるか?』
『あの二人次第やな、ただ今から行っても遅いかもしれん』
・・・そうか。
村への距離は分からないが、遠いと着くのに時間がかかる。
かといって近い場合、今なにも音が聞こえないので、すでに終わっているだろう。
『ダメそうだな・・・』
『そやな・・・』
来るなと言われた村だけど、潰されたと思うと少し辛いな。
周囲がどんよりとした空気になってくる。
「・・・それで話を戻しますが、その石をどうするのですか?」
どうするか、か。
『セリ、チャロアイトの魔物使役を止めるのはどうしたらいい?』
『石を壊せばええで。そうすれば石に溜まった魔力が抜けて活動しいひんようになるはずや』
『壊せばいいのか・・・。壊せるのか?』
壊すだけと思って行って、壊せませんは嫌だしな。
『大丈夫や、ウチに任しとき』
さすがセリ、その時は頼むぞ。
なら行動は決まった、女性にそれを伝える。
「石を壊す・・・それで魔物達は大人しくなるのですか?」
「そうらしい。俺もセリ・・・ああ、この蛇に聞いただけだが」
「蛇?・・・ これが?」と、女性はセリを見て少し困惑している。
・・・セリ、文句は後にしてくれ。
あと、俺にしか聞こえてないぞ。
・・・さて、
これからチャロアイトの所に向かおうと思ったが先にやる事が出来た。
有角族の二人を見る。
身なりがボロボロなので、このままほっとくわけにもいかない。
裸足のせいで足も傷だらけだし、歩くのも辛いのではないだろうか。
この状態で魔物から逃げ切れるとも思えないし。
家に招待するか。
「とりあえず二人とも俺の家に来い」
「・・・はい?」
女性の方が、意味が分からないと言った顔で俺を見る。
まぁ当然だわな。
後に「何言ってんのこいつ」と続けて言われそうだし、門を出して説明する。
「この門の先が俺の家だ。アンタ達怪我してるだろ?一旦中で手当てするから入れ」
二人は突然現れた門に呆然としてる。
驚くのは後にしてさっさと入ってくれないかな?
「先ほどから何を言ってるのか分からないんですが?・・この門の先に家があると? 」
門出したけど言われた。
・・・ちゃんと説明しよう。
「この門は俺の特異性で出現させてる。この門をくぐると別空間に家があるんだ」
「にわかには信じられませんが・・・後、何故私たちの怪我を手当てしようとするのです?」
「そのまま放って行く気になれないから、だけど?」
はぁ?みたいな顔しないで欲しいんだが。
「それが本当だとして、そうする意味が貴方にあるのですか?」
「無いよ。強いて言うなら気がかりが減る、かな」
「・・・気がかり?」
「そんな状態のままだといつ魔物に襲われるか分からない。会ったばかりの他人とはいえ、人死には嫌だから」
そう言いつつ門を開ける。
全開にしたので彼女達からの位置からでも中が見えてるだろう。
「まぁこれは俺のワガママだ。アンタ達が人間嫌いは分かるけど、ちょっと我慢して来てくれないか?」
そう言って頭を下げた。
これは俺のワガママなんだ、彼女達には迷惑な事をしようとしてるんだしこれ位はするべきだろう。
二人はどうやら悩んでいるようだ。
コソコソと何やら話している。
彼女とのやりとりで有角族の人間嫌いはかなりのもんだと思うし、やはりダメだろうか。
話が終わったのか女性がこちらを向いた。
「分かりました。 お邪魔させていただきます」
「ああ、聞いてくれてありがとう」
了解して貰えた。
まずは一安心だな。
『よかったんか?この特異性は隠しとくんとちゃうん?』
『そうなんだが・・・。それより二人のことが気になるからさ』
『ススムがええんならいいけど・・・』
?、何か問題あるかな?
『問題は無い、・・今んとこな。問題になった時は分かっとるな?』
セリは睨むような目で俺を見た。
有事の時は覚悟はしとけと言う事だろう。
セリの言いたいことも分かる。
彼女達とはさっき会ったばかりだ。
彼女達がこちらを信用出来ないのと同じで、こっちもあちらを信用は出来ない。
魔物に襲われたのだって嘘かもしれない。
全て、俺たちを騙す演技かもしれないのだ。
騙すメリットがないと思うからないと思うが・・・
もしかしたら急に襲ってくるかもしれない。
俺はそうならない事を願いつつ頷いた。
その間に彼女達は恐る恐る門をくぐる。
くぐって早々、中の景色に驚いていたけど。
全員が敷地に入ったのを確認して、俺は門を閉めた。
なかなか上手くストーリーを進められない。
他の方々みんなすごいですね。




