第16話 チャロアイト
魔物の群れが飛び出してきた。
セリはどうする?
攻撃する。
防御する。
→様子を見る。
逃げる。
セリは言うことを聞かない。
セリの攻撃。
魔物の群れは全滅した。
魔物達は魔石を落とした。
セリは経験値を貰えなかった。
・・・・
一連の流れを某ゲーム風に例えるとこんな感じだ。
魔物道?に入って少ししてから、魔物がどんどん出てくるようになった。
アーススパイダーだけでなく、ハチなどの昆虫や、狸などの動物の魔物が出てくる。
名称がわからないのは、セリによって瞬殺されているからだ。
せめて名前くらい確認しようよ。
なので現状、魔物出現→セリが撃破→魔石落とす→俺回収→魔物出現、以下ループを繰り返している。
そろそろリュックに魔石が入らないんだが・・・
って、また出た。
『弱い、弱すぎるでぇ!』
またもセリによって瞬殺。
しかしよく出るな。
この前までの遭遇率の低さは何だったのか?
やっぱりマッドロブスターが原因か?
『それもあるやろうけど、これは別に原因があんで』
「別?何か分かったのか?」
『分かったというか、分かる。この感じはアレがある。そのせいや』
アレ?
『チャロアイト、特異性を付与する石や。アレがこの近くにある』
「アレか!近くにあるって、そんな事分かるのか?」
『アレはな、魔物を引き寄せんねん。自分を守るために魔物を引き寄せて使役してるって話もあるくらいや。ウチのような意思の強い魔物やと大丈夫なんやけど、違和感は感じる。だから分かるんや』
魔物を引き寄せて使役する? そんなヤバい物だったとは。
特異性を付与するだけだと思ってた。
『そういえば、ちゃんと説明してへんかったな。チャロアイトはどっちかって言うと災害や。本来は魔物を集めて勝手に特異性を付与しよんねん。』
勝手に付与?
それも自分を守るためか?
『そう言われとる。本来、チャロアイトが付与すんのは使役している魔物のみなんやけど。石自体に特異性を付与する力があるから、使役されてなくても触れたら付与されるんや』
「つまり、使役した魔物にはチャロアイトの意思で特異性を付与するが、使役されなくても触れさえすれば付与されると。そういう認識でいいのか?」
『そう言う事や。ちなみに付与される特異性は数種類の中からランダムで一つやし、変なんついても諦めるしかないで』
ランダムか・・・。
欲しい特異性あるんだがなぁ・・・。
増えるだけマシか。
「その数種類は事前に分かったりするものなのか?」
『基本的に使役した魔物に付与したんと同じや。だから心眼持ってたら分かる。今んとこ念話はあるなぁ』
念話か・・なにに使うんだろうか?
多分要らないな、他のに期待しよう。
『後は分からん。まだ付与されてる奴が少ないからなぁ』
思わぬ所で、チャロアイトに出くわした。
せっかくなので特異性増やしておこう。
「セリ。特異性増やしとこうと思うがどう思う?」
『ええと思うで、ウチも欲しいし取っとこか』
よし、チャロアイトを探そう。
場所は・・・
『場所は大体分かるで。ウチに任せとき』
頼もしい。
朝の引きこもりとは別蛇だな。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「セリ、一旦休憩にしないか?」
ある程度進んだ所で、広い場所に出たため提案する。
最初に比べると、大分魔物の数が減ってきた。
『そうか?チャロアイトまでもう少しやで?先行った方がええんとちゃう?』
「でも疲れてないか?ずっと戦ってばっかだし」
『大丈夫や。ほとんど鎌風で十分やし』
「そうか?頑張ってたしどら焼きでもと思っーー」
『休憩や!!すごい疲れたで!』
・・・・
どら焼き効果絶大。
「ほい、お疲れさん」
そう言って、どら焼きを渡す。
『これや!これ~』
ほんと美味そうに食うよな。
もっとあげたくなってしまう。ダメだが。
あげすぎた結果が朝の悲劇を生むんだ、注意しなければ。
『ススム、もっと頂戴や』
「今はあと一個だけな、食べ過ぎたら禁止しないといけないからな」
うぬぬ、とセリは唸る。
もっと欲しいけど、禁止されるのはいや。
だから我慢しようとしているようだ。
「ほら、味わって食え・・よ?」
疑問形になったのは、セリの後ろに現れた人影に気付いたからだ。
俺たちが来た道の反対から二人の女性が走ってきた。
一人は背が小さいし顔も幼い、子供か。
俺の視線に気付き、セリも後ろを向く。
そして向こうもこっちに気付いた。
『「人?」』
「「人間!!」」
三人と一匹が同時に言いあった。
そして速攻で警戒された。
女性は小刀?の様な刃物を俺に突きつけてるし、少女は女性の後ろに隠れて震えている。
ちょっと辛い。
俺・・・変質者に見えるのかな?
現状どう見ても、ツチノコに餌(どら焼き)やってるおじさんにしか見えない筈なんだが。
『有角族か』
「有角族?」
確かに二人の額に角がある。
角がある人種だから有角族と。
セリの言葉を復唱したら、二人がビクッって震え後ずさりを始めた。
なんでさ?
『有角族は亜人の一種や、亜人は人間からよく思われとらん』
セリが補足してくれる。
助かるが、森で暮らしてたのに本当に何でも知ってるな。
つまり、俺が人間だから警戒してると・・・
納得。
「何故、人間がここに居るのです!?」
「知らん。気付いたらこの森にいた」
「ふざけてるのですか?」
大真面目ですが!?
まぁ普通に考えたらおかしいけど。
「信じなくてもいいけど本当だ。気付いたらこの森にいたんだ。今この森を出るために旅をしている最中だ」
「なら、なぜここにいるのですか?森を出たければ川沿いを下ればいいのでは?」
くっ! 確かにそうだ。
真面目に答えると怒るかな?
「なんか道見つけたし寄り道しようかなって」
「寄り道?森を出たいのに寄り道してるんですか!?」
「だって面白そうだし・・」
「ふざけないで下さい!!」
やっぱり怒られた。
「ふざけてはいない。どう言う理由でも、寄り道するのは俺の勝手だ。違うか?」
「・・・いえ、確かにそうです。ですがこの先には私たちの村があります。ですので人間はこれ以上入らないで頂けますか?」
あっ、この先村があるのね。
だからこの道は整地されてたのか。
しかし、村か・・・。
入るなって言われるとなぁ・・・
『アンタ、行こうとしてへんやろな?』
「ダメか?」
「ダメです!」
セリに聞いたつもりだったが、女性から強く否定された。
ダメかぁ・・・凄く行ってみたいんだが。
「あのさ、俺はよく知らないから聞くけど。俺が人間だからダメなんだよな?そんなに人間が嫌なのか?」
軽い気持ちで聞いたのが間違いだった。
女性は目に見えてに不機嫌になる。
「貴方達人間が、私たち亜人にしてきた事はご存知の筈です。よくもまぁそんな事が聞けますね」
・・・・どうやらかなり怒らせてしまったみたいだ。
言葉は丁寧だが、言外にふざけんなと聞こえる。
しかし、異世界から来た俺はこの世界の事情をよく知らない。
だが怒らせてしまったのは確かなので、謝っといた方がいいだろう。
「すまなかった。まだこっちに来て日が浅くてな、気分を害したなら謝る」
そう言って頭を下げる。
その言動に女性は少し戸惑ったようだが、直ぐに立ち直る。
「別に構いません。とにかくこれ以上こちらに来ないでください」
そう言って小刀をこちらに突きつける。
これ以上刺激したら切られそうだ。
戻った方が良さそうだ。
けど、チャロアイトを見つけないといけないからなぁ。
そう思いつつ立ち上がりセリに聞く。
『セリ、チャロアイトはどっちにあるんだ?』
『あっちやな。そんな遠ないで。』
蛇に喋るのもアレなので、久しぶりの念話を使う。
セリが向いたのはちょうど女性達が来た方角だ。
やっぱりそっちにあるのか・・・。
理由を説明したら通してくれないかな?
そう思い二人を見る。
女性は突きつけた小刀を下ろそうとしないし、少女は女性に隠れつつこちらを見ている。
その手が震えているので、怯えているのが分かる。
無理そうだな。
ならこの道を外れて、迂回した方が良さそうだ。
『セリ、ちょっと迂回して行こうと思うが大丈夫か?』
『構わへん。右寄りにあるしそっちから行こか』
右か・・・
草木がちょっと邪魔だが、通れなくはない。
そうしよう。
「なにしてるのですか? 戻って下さいと言ったはずです」
草木をかき分けて進もうとする俺たちに女性が聞いてくる。
「悪いな。村に行くつもりは無いんだが、あっちの方向に行く用事があるんだ」
そう言ってセリが示した方角を指差す。
こっちに村がないといいんだけど。
「用事?・・そちらには何も無いはずですが?なんの用事ですか?」
どうやら村は無いようだ。
だが何もないから逆に不審がられる。
『ちゃんと理由言ったほうがええんとちゃうか?』
そうかなぁ?
嫌な予感するんだが・・・
でもセリがそう言うなら
「この先にあるチャロアイトに用があるんだ」
「チャロアイト?それは一体・・・」
「特異性を付与する石だ。あと魔物を呼び寄せて使役するらしい」
「!!?」
説明したら女性の目つきが変わった。
主に後半部分で。
こりゃなんかあったかな。
『恐らくやけど、この二人の村はチャロアイトの使役魔物に襲われたんとちゃうか?』
セリが推測する。
確かにそう言われると納得できる事がある。
そう言うことか。
ちょっと変更するかも知れません




