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第144話 首都の冒険者組合にて①

「組合長。レーヴィアのヘッド組合長から手紙が届いています」


書類整理をしていた職員から手紙を手渡される。テッドだと?、あの筋肉達磨が俺に何の案件だ?。


「私は鏡餅体型より筋肉達磨の方が良いと思いますが?」

「誰が鏡餅だ!。最近運動してちょっとは減ってるんだぞ!」


まだ数キロなので見た目が変わらないだけでちゃんと減っているのだ。このペースで行けば数年後には超スリムな、ダンディ紳士になれる筈。

そうすれば愛しのチョコちゃんも俺の魅力に気づく筈。


「行方不明の人がどうやって痩せた事分かるんですか・・・。大体組合長が痩せたら不健康なおじいちゃんになるだけでしょ?」


この職員は相変わらず口が悪い。チョコちゃんとは大違いだ。

何処で育て方を間違ったのだろうか・・・。


「さぁ?。普通、親が娘より年下に熱を上げたら反抗くらいすると思いますが?。また母様に言っておきますね」

「やめろ。父を殺す気か!。母さんの鉄拳制裁はマジでヤバいんだぞ!!」

「そう思うならチョコちゃん諦めたらいいじゃないですか・・・。大体チョコちゃんはヘイゼルさんという許婚が居るじゃないですか」

「俺は認めていない!」


どちらの親でもないけど、それは認めん。

それにチョコちゃんはそれを嫌がって家を出たって噂だから破棄されるはずだ!。


1人頷く俺に対し、職員である娘がため息をつきつつ渡してきた手紙を開けた。

話が進まないからだろうけど、毎回渡してきた時点で封が開いているのはおかしくないか?。俺宛って書いてあるはずなんだけど・・・。


「渡しても大半は読まないでしょうに・・・。ほら、愛しのチョコちゃんについて書かれてますよ」

「何だと!!?」


再度渡された手紙を読む。そこには確かにチョコちゃんについて書かれていた。レーヴィアを出て首都に向かっていると。

自分に会いに来るわけではないのに思わずガッツポーズをとって喜ぶ。しかしこの手紙を読む限りチョコちゃんはずっとレーヴィアに居たようだ。ヘッドはチョコちゃんが首都(こっち)で行方不明となっていることは知っている筈だが・・・。


あの野郎、分かってて連絡しなかったな!!。

くそぉ!、俺がチョコちゃんを気に入ってるって知ってるくせに!!


「それは「チョコちゃんの意志を尊重した」って書かれてます。それより先を読んでください!。要件はそっちなので」

「先だと?」


確かにまだ先があるが・・・何!?、あのグレート級を単独で倒した奴が首都(こっち)に来るだと!!。

これはチャンスだ。戦争に参加するためで強い冒険者たちが軒並み国境街のガルバへ旅立ってしまった穴埋めが出来るかもしれん。

奴らが居なくなったせいで、最近危険な魔物が増えてきているからな。


「これが、その冒険者の情報です。手紙と一緒についてました」

「ふむ・・・。なぁこいつで合ってるのか?、変わった名前だし特異性も大したことないんだが、こいつが本当にグレート級を倒したのか?」

「手紙にはそう書いて・・・、あ、もう一つ資料が・・・、!?」


封筒から滑り落ちた資料を拾い上げて確認する職員。暫く固まった後、何も言わずこっちに渡してきた。

何だよ・・、合ってたのか?。


何も言わないので仕方なく自分で確認する。

どうやらこの冒険者の契約魔物リストのようだな。成程、リスト化するほど契約魔物が多いのか。確かにそれならグレート級を倒せるかもしれないな。


「で、契約魔物が・・・、ギガント・ランプリーにアダマンタイト・スライムにツチノコね」


成程、ギガント級が居るのか。

それならグレート級なんて大したことないに・・・決まってるだろが!!!。


はぁ!?、こいつギガント級と契約してやがるのか?。しかもアダマンタイト・スライムってなんだよ!?。


「アダマンタイト性のスライムって書いてあります・・・」

「言わんでも分かるわ!」


住んでいる場所の性質に代わるスライム種が居ると聞いたことがある。ある金脈に住んでいたそのスライムがゴールド・スライムに変化したと一時期大騒ぎになったからな。確かどっかのお偉いさんが買い取ったとか。

恐らく同種だと思われるが、それでもアダマンタイトはないだろ・・・。


オリハルコンに次ぐ硬さを誇る希少鉱石のスライムとかあり得ない。ギガント級といい何処で見つけてくるんだ?。


「組合長。それにこのスライムがいるということは、そこにはあだマンタイト鉱脈もある筈です」

「ああ、となるとレーヴィアの近くにアダマンタイト鉱脈があるのかもしれない」


こういうのは領主が調査してから報告されるのが普通だ。未だに連絡がないって事は、調査が終わっていないからだろう。契約魔物として登録されている以上、あのヘッドがアダマンタイト鉱脈について気付かない訳がないからな。


まぁまだ調査中なら仕方ない。大人しく調査結果を待とう。

それに本人に聞けば良いだけだ。場所を聞いて取りに行こう。報告される前なら勝手にとっても問題ない。


で、後がツチノコか。全く聞いた事ないな。


「新種か?。お前は聞いたことあるか?」


職員も知らないようだ、首を横に振っている。

他の2匹が異常だから、コイツも恐らく珍しい奴なんだろう。


で、コイツが来るから何なんだ?。


「手紙には、放っておいた方がいいと書いてあります。あと関わると疲れるだけだとも書いてありますね」

「ふん、知るか。今は少しでも戦力がいるんだ」


ギガント級の契約魔物が居るコイツは十分戦力になる筈だ。

人間性は知らないが冒険者なんだ。金を出せばやってくれるだろう。


「あ、追伸がありますね。えーっと・・・この人はチョコちゃんの夫って書いてありますね」


・・・・・よし!、殺そう。戦力とかもうどうでもいいわ。

俺のチョコちゃんに手を出した罪は重い。


それをたっぷりと教えてやる。

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