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第140話 入ってみたものの

「何か入るのヤダなぁ・・・」


見た目が毒々しいため、今更だがちょっとびくびくしながら入る。ここ数日そのせいで行くのをやめていたのだが、流石にセリの痺れが切れたので今日から再開。


ナギは当初来ない表明をしていたのだが、何やら気になる事が出来たらしく今日もついて来た。ついでにリンも居る。


「フウちゃんの勉強はいいのか?」

「良くないですが、たまには遊ばせないとやる気が無くなりますので」


見てたけど、最初っからやる気無かったようにしか見えなかったぞ?。ナギが目を離したら速攻サボってたし。

やはりどの世界でも子供は勉強が嫌いなんだとしみじみ思ったな。


「へぇ?、そうなんですか?」

「あ、やば!」


ナギからヤバいオーラがで始めたのでこの話は終わりだ。

心の中で誤っておく。フウ、すまん。


「え・・・えーっと、それでナギさんは何か気になる事があるみたいだけど?」

「・・・あっはい。実はこの前入口で、何か声がした気がしたのですが・・・」

『それこの前も言ってたけど、僕は何も聞こえなかったよ?』

『ウチもや。まぁナギの説教が煩かったかも知れんーー』

「それはどういうーー」

『いや!、言い間違えたわ!。泥で耳塞がってたし聞こえんかったわ!』


それは言い間違いで済まされないぞ。

でもみんないつも通りだなぁ。こんな森の中でよく騒げるよ。

静かだけど、一応魔物居るんだぞ。


『何か今更やな・・・。ススム何処でも騒いでるやん』


心外だな。

リンも頷くんじゃない。


『まぁええわ。とりあえず今は何も出てこんやろ。魔物の気配せえへんし』

『やっぱりそうだよね。僕の“気配察知”にも引っかからないし』

「でも魔物出るってこれに書いてるけどなぁ。もっと奥かな?」

「あの、アレは魔物では無いのですか?」

『『「ん?」』』


ナギが森の上の方を指差す。そこにはヒョロヒョロの木の間から霧で若干変色した空が見えるだけだ。ナギが何を指差ているのか全く分からない。


「えっと・・・どれ?」

『ウチには見えんし、気配も無い』

『同じく』

「え?、アレですよアレ。小さいですが何か光るものが飛んでるじゃないですか!」


そう言われても光るものなど見えない。

セリとリンも同じようで、首を振っている。


「ええ~・・・、本当に見えません?」


悪いけど見えない。この薄暗い森の中で光っていれば目立つ筈なのに全く見えない。

これって・・・


『幻覚見えてんのちゃう?』

『うーん、その可能性は高いよね。僕らのように元から耐性があるわけでも無いし、ススムように変態でもないし』

「リン言葉がおかしいぞ?。その言い方だと俺が変態になるんだが?」


確かに“変態”()()の俺と違ってナギは無耐性だ。この中で1人だけ見えてるということはナギが幻覚をかけられていても不思議ではない。

ナギも流石に3対1だと自分がおかしいと思ったのだろう、「どうしましょう・・」と困り顔だ。

今みたいにいるはずのない魔物が見えるだけならまだ良いが、資料ではこの森で幻覚が見えると入口ルートへ誘導されるらしい。ナギのバッグにはリンが問題ないだろうけど気付いたら居なくなってたは困る。


「離れないように手を繋いどこうか?」

「え・・・?。あっ、はい!」


半分嬉しそうに差し出した手を掴んでくるのは可愛い。でも「幻覚もたまには良いですね」は共感できない。

平然を装ってるがこっちは結構恥ずかしいんだからな。


『くくく、リン見てみ。ススムの顔真っ赤やで!』

『ははは、そうだね。これは中々見れないよね』


装えて無かった・・・。

とりあえず今笑った魔物供のおやつは当分抜きだ!。


『『鬼!』』


知らん。

とにかく早く目的地へ行って戻らないとな。

多分森を出ないと幻覚も解けないだろうし。


それから若干早足で森を進んだのだが、やはりナギは幻覚の影響か、木がある方向を指して「こっちに道ありますよ」とか、「曲がるんですか?」など。、所々でおかしい事を言い出した。途中から「この道通りませんでした?」何て言い出すくらい幻覚を見ているようだ。

こっちは真っ直ぐの一本道を歩いているだけなんだけど・・・。


一応都度セリとリンに確認するが、皆俺と同じだったのでナギの言うことは無視して進む。ナギも自身が幻覚を見ていると思ってるので従ってくれた。


そして、道の先が開けてきて・・・


「・・・ここ森の入口ですよね?」

「うん・・・、これ目印だし」


もし幻覚で戻されたことを考え、入口の木に目印の紐を結んでおいた。出てきた場所にはその紐がしっかりと結んであり、ここが入った場所だと告げている。

けど俺はずっと真っ直ぐ進んでいた筈だ。途中でUターンもしてないし、曲がっても居ない・・・筈。


てことは・・・


「なあ?、俺真っ直ぐ進んでたよな?」

『い、いや・・・、途中から・・おかしかったで?』

『そうだよね。急に曲がったりしてどうしたんだろうと思ってたけどススムがこっちって言うから』


こいつら・・・。

自分達は違うと言いたいんだろうが、もう遅いからな!。


「じゃあ幻覚が見えてたのって・・・」

「ごめん、俺らだな・・・」


幻覚を見せられていたのは俺とこの嘘つき達だ。

ナギには申し訳ない事をしたな。


しかし何でナギだけ効かなかったんだ?

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