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第126話 セリ再起動

「おはようございます」

「おはよう」


ナギとデートしてから数日。関係が変わっても、生活は特に変わらなかった。元々一緒に暮らしていたからな。

変化があったとすればナギが甘えてくる事が多くなった。2人きりになるとくっついてきたりするようになり、頭を撫でて欲しがったりしてくる。

俺としても甘えてこられるのは嬉しいので、ナギのお願いは拒まない。


一度チョコに見つかった時には、「イチャつくなら見えない所でやりなさい」と注意されたが・・・。

止めるつもりはない。


「セリさんはまだあのままですか?」

「まだダメだな。動くことすらしない」


「少し言い過ぎたでしょうか・・・」とナギは言うが、無期限とは行っても1種間位で罰は止めるつもりだからたまにはいいんじゃないか?。

取り返しのつかない事ではなかったから元からそんなに長くするつもりはないし。


ただ一食抜かれただけでも嫌がるセリは、その日以降部屋から出てこない。おやつだけで無く食事にすら出てこなくなった。魔物なので食べなくてもいいとはいえ流石に気になるので毎日様子を見るのだが、部屋でオブジェのようのに固まっている。話しかけても反応しないし、数日同じポーズなので死んでるのかとも思ったが、目の前におやつを置いたら後で見た時に無くなっていたので問題なさそうだ。


問題があるとすれば・・・


「もう1週間経ってるんだよな・・・」


そろそろ、インフェルティ・オリジンが何処かへ行ったと思うし旅を再開したい所なんだけど、あのままセリを連れていってもダメだろう。本当の意味で荷物にしかならない。


『なら僕がついて行こうか?』

「リン。いいのか?」


いつから居たのか、リンが同行を申し出る。あ、外でプルも行きたがっているのかプルプルしてるな。


「いいのか?」

『いいよ。最近する事ないし。まぁセリほど強くは無いから油断はしないでよ?』


チョコは、アダマンタイトの精錬をやった後、自分のハンマーを修理を始めた。ドワーフだからか職人だからか分からないけど、やり始めると1人で黙々と作業をしている。こっちが話しても反応がないくらい集中しているので、リンも相手してもらえず暇らしい。


「ありがとな。頼むよ」


じゃあ朝ごはん食べたら行こうか。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



『ふむ・・・、見える範囲には居なさそうだね・・・』

「だな。インフェルティ・ヒュームは居るけど・・・」


門から顔だけ出して周囲を確認する。

溶岩が固まって動かなくなったインフェルティヒュームが門を取り囲むように居るのでビクッとしたが、どうやら動く様子はない。


『こいつらはオリジンの遠隔操作がないと動かないからね。まぁ完全に溶岩が冷えて固まってるから遠隔操作があっても直ぐには動かないだろうね』

「それで・・・、インフェルティ・オリジンは近くに居るのか?」

『ちょっと待ってね・・・・うん、居るね』


居るんかい!

1週間では移動しなかったか・・・。


『うーん・・・、前はどこに居たか知らないから分からないけど今は結構近くに居るね。・・・ん?、あらら、バレたみたいだね』


リンがそう言った直後、周囲から溶岩が噴出する。

前回よりも量が多い。


『この距離なら僕が行って倒してこれそうだけど・・・どうする?』

「いややめとこう。リンのことだし大丈夫だと思うけど、何かあったらチョコに悪い。それに・・・」


目の前に大量のインフェルティ・ヒュームが生み出される。固まって動かなかった奴も、噴き出した溶岩を被る事で復活している。

その為数が前回の倍近くに増えていた。


今ならまだ距離があので、急いで門の中に戻る。

入ると見送ったナギがまだ玄関に居た。


「あれ?、どうかしたんですか?」

「まだそこに居たわ・・・」


それでナギは察したようだ。

それ以上は聞かず、「お茶用意しますね」と言って家に入っていった。

俺たちも後について家に入る。


『しかし勿体無いね。あれだけ近くなら倒せる距離なんだけど・・・』

「そうなのか?」

『ああ、まだ地中深い所に居るけどあそこの位置ならなんとか出来ると思うよ。セリなら余裕じゃないかな』


うーむ・・。セリだと余裕なのか。

なら今のうちにに倒しておきたいな。そうすればゆっくり探索できるのに。

でもあいつは今いっても動かないし・・・。


『なら僕に案があるよ。多分セリならかなりやる気出るはずさ』



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「おーい、セリ。今インフェルティ・オリジンが近くに居るらしいんだけど、倒してくれないか?」


セリの部屋を開けて頼んでみる。

セリは相変わらずベッドの上でシャチホコみたいに反り返っている。何故そのポーズをチョイスしたのか知らないが辛くないのか?。

そして俺のお願いには全くの無反応だ。こっちすら見ない。


「うーむ、やっぱりダメか・・・」

『どうだいススム。セリはやってくれそうかい?、って相変わらず変なポーズだね』


部屋を覗きながらリンが聞いてくる。


「見てわかるがいつも通りだよ。返事すらしない。こりゃダメだな」

『そうかい・・・。なら僕がやろう』

「リンがか?」

『ああ、余裕ではないけどなんとかなると思うしね。でも危険もあるからタダでは嫌だけどさ』


ほう?、

つまり報酬が欲しいと?。

構わないけど無理なお願いは無理だからな。


『そんな事は言わないよ。そうだね・・・お菓子を1週間分くらいくれると嬉しいな』


ピクッとセリがお菓子というワードに反応する。


「何だ?、そんな事でいいなら良いぞ。お菓子1週間分くらいでインフェルティ・オリジンが居なくなるなら。よし今すぐ倒してくれると言うのなら今日のおやつを2週間分にしようじゃないか!」


お菓子でインフェルティ・オリジンが居なくなるなら安いもんだ。またどこか行くまで1週間以上待機するのは嫌だしな、追加ボーナスだ。


ピクピクとセリの体が震える。

それを見たリンと2人でニヤリと笑う。


『ほ、本当かい!?』

「ああ、ナギには俺から言っとくよ」

『ははは、言ってみるもんだね。じゃあ今すぐ行くよ、今なら倒せる範囲にいるしね』


2週間分と聞いて俄然やる気を出した(フリ)リン。ちょっと目がマジだがフリだよな?。


「じゃあ頼ーー」

『待ちぃ!!』


軽く跳躍してベッドから降りたセリが俺とリンの間に割って入る。


「何?」

『その役目、ウチがやろうやないか!!』


さっきまで反応無かったのに何だよ・・。


「いやリンにやってもらうから、もういいよ」

『いや、ウチがやる、ウチがやるで!。だからウチにお菓子を下さい!!!』

「『・・・・・』」


凄いやる気だな・・・。目の中に炎が見えるようだ。

何か断っても勝手に行きそうな気がする。


「リン、どうする?」

『うーん・・・』

『リン、頼む。ウチにやらせてんか!?』

『・・・はぁ・・、分かったよ。ススム、今回はセリに任せるよ。ここで断ると何かちょっと怖いし』

「そ、そうか・・・。分かった。じゃあセリ頼むわ」

『よっしゃぁあ!!、リンおおきにな!。じゃあ今すぐ行ってくるで!!、お菓子の件頼むで!!』

「はいはい。分かったよ・・」


いつもの3倍の速さで動くセリを追って門を開けた。

隙間から周囲にインフェルティ・ヒュームが見える。まぁまだいるよな。


「とりあえず終わったら念話で連絡してくれ。そしたらここに門を出すから」

『分かったで!。お菓子用意しておいてや!!』

「はいはい・・」


それだけ言ってセリは飛び出していった。同時に門の向こう側から戦闘音が響いてくる。

俺は家にインフェルティ・ヒュームが入ってこないようそっと門を閉じる。


『ほら上手くいったね』

「だな」


リンが寄ってきた。

相変わらずお菓子に弱いな、流石に2週間はやり過ぎたかな?。

あの調子だと1週間でも良かったかもしれない。


「あの調子だと大丈夫だな」


負ける事は無いだろうし心配は無い。無いが・・・


『やり過ぎるんじゃないかい?』

「だよなぁ・・・」


セリが暴れた所為で洞窟が崩れるかもしれない。次門開けたら瓦礫の山とかやめてくれよ?。

後でセリに念を押しておかないと。


それはそうと・・・


「お菓子だったな。何がいい?」

「じゃあ羊羹がいいね。大きいのを頼むよ」

「分かったよ」


リンには一芝居打って貰ったお礼として、好きなお菓子をあげる約束をしていた。

すぐ食べたいとの事なので家に戻って用意を始めた。

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