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第107話 パルチ山の洞窟②

攻撃音と鳴き声がこだまする洞窟内部でのんびりと寛ぐ。


蝙蝠の数が思っていた以上に多く、中々殲滅には至らない。洞窟内に反響した音に反応した蝙蝠たちが奥から出てくるため一向に数が減らないのだ。


気を利かせたリンが障壁に防音をつけてくれているので、障壁内部はそれほどうるさくない。

とはいえ視界は変わらないので結界の外の惨状は丸見えだ。なので見ないように全員後ろを向いている。


ただ待ってても暇なのでお菓子を用意してみんなで食べる。

今日はおはぎを持ってきた。


『それもくれないかい?、もう無くなってしまったよ・・』

「食べるの早いな・・・」


リンもセリと同じでお菓子をかなり気に入った。甘味とは無縁の生活をしていたから新鮮なんだと本人は言っているが、単純に甘党なだけだろう。料理なども新鮮だろうにそっちとは態度が違う。

今もセリに初めてお菓子をあげた時みたいな速さで食べ終える。同じタイミングで用意した俺とチョコの分はまだ半分も減っていない。

コレは本来途中休憩の時にちょこっと食べるためのものなので1人の量は少ない。残念だが食べ終わったらそこで終了だ。


『もしかして・・・僕の分はもう無いのかい?』

「ああ、そんなに用意してないからな。セリのならあるけど?」

「やめなさい。セリが怒るでしょ!。ほらこれあげるから」


チョコが自分の残りをリンにあげた。

いいのか?


「いいわよ。最近ちょっと太り気味だから・・・」

『本当かい?、なら遠慮なく頂くよ』


恥ずかしそうにしているが、見た目では太ったようには見えないな。

俺の顔を見て疑問を感じ取ったのかチョコが説明してくれる。


「実際測ったわけではないのだけど、最近冒険者として活動していないのに、ご飯の量は増えてるからね、太っていてもおかしくないのよ・・・。お菓子だって食べてるし」


この世界では体重計なるものは高価らしく、安価なものもあるにはあるがアバウトすぎて使えないらしい。なんでも秤に乗って片側に石を何個積んだら水平又は傾くかで測定するそうだ。その後、その石の大きさと数で数値を割り出すらしい。


測定方法上、場所が外に限られ、その上石の数で周囲の人に大体の重さがバレるので女性陣からは不評らしく、チョコも殆ど使わないそうだ。なので普段の運動量と食事量で太ってきたとかを計算しているようだ。


あれ?、でも家に体重計あったよな?

重力場の重力を調べるのに使ったはずだが無くなったのか?


「ううん。でもあれはほら・・ね、正確だから・・・」


・・・・・

正確すぎるから測りたくないと。

この世界の体重計だとまだ変わらないと言える範囲でも、家のは100g間隔で結果が分かるからちょっと太ってもすぐに分かる。

チョコは太った結果を見たくないようで、最近測っていないらしい。


『体重なんて気にしなくてもいいんじゃないかい?、さして困らないだろう?』

「・・いや、重くなると動きにくくなるし、見た目も丸くなるからな。女性は結構気にするんだ」

「あとおやつが無くなる・・・」


チョコが辛そうな顔をしている。

どうやらそっちのほうが嫌なようだ。


『そうなのか・・、人も大変だね。僕は特異性で飛べるから気にしないけど』

「言っておくけど、リンも太ったらおやつ抜くからな?」


セリだって我慢しているんだ、リンも例外ではない。

渡されたおはぎにかぶりついていたリンはそのまま固まる。


『冗談・・・だよね?』

『違うで・・・、ススムはやる奴や、鬼や』


心外なことを言いつつセリが障壁の中に入ってきた。自身を障壁で守っていたのか蝙蝠たちの返り血は無いようで、綺麗なままだ。


『当然や、お菓子食うのに血だらけになれるかいな』

「そうかい・・、ほらセリの分だぞ」


『はよ、よこせ』と言いたげな顔で見てくるのでセリの分を渡す。セリはおはぎをほおばりつつリンに釘を刺す。


『ウチが昔太った時は痩せるまで貰えへんかったで。あれは悪夢やったわ・・・』

「あれはお前が食いすぎたせいだろうが!」


あれだけ真ん丸になっておいてよく言うよ。


「でもセリって家でも結構食べてるわよね。その割には太ってないみたいだけど」


チョコの意見が意見する。

セリは3食俺たちの倍は食べているからな。その上移動中や家では殆ど動かない。

戦闘しているからある程度の運動はしているけど。


『それに毎日体操したりストレッチしたりしてるんやで。ウチはお菓子のためやったら頑張れる雌やからな』

「そんなことしてるの!?」

『当たり前やろ、戦闘だけで足りるかいな。特異性使ってるし殆ど体動かさへん、戦闘ではカロリー消費しきれへんねや』


その分を自室で隠れて消費していたようだ。

別に隠れてやる必要はないと思うけど・・・。


『じゃあストレッチしてるウチを見たらどうする?。ススムのことやしお菓子の量減らすやろ?』

「減らさないよ!。減らしたら怒るだろ」


とはいえ、減らすかどうかは聞くだろうな。

勝手に減らしたら激怒するし、女性陣からもブーイングでるからやらない。


「ただ誰かのお菓子をやめるときは全員やめるけどな」

『『「は?」』』

「だってセリがおやつ抜きにされてた時、俺達が食べていたら奪ってきただろ?」

『あ・・・あれは・・・ほら。か、体が勝手に、な?』

「という事例があるので全員禁止」


連帯責任というやつだ。

自分の誰かを巻き込むと思うとちゃんとするだろ?、だからもしリンが太ったら俺を含めた全員おやつ抜きにするつもりだ。


ちなみにナギの許可は取っているから、ナギに言っても無駄だぞ。


「な!・・・」

『なんやてぇぇえ!!』


うるさ!。

叫ぶのなら障壁の外で頼むよ・・。


大体、全員が守ればいいだけだろ?。

それに数Kg太った位では禁止にしたりしないから。


・・・多分。


『鬼め!!』


心外だ。

言っとくけどこれはみんなの、特にお前の健康のためだからな!。


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