第10話 暴君②
無いやん!封印どこにも無いやん!!
あの雌、嘘つきよったなぁ。まんまと騙されたわ。
捕まえて、文句言わなあかん!
何処におるかわからんけど、世界中探してでも見つけたるわぁ!
「ここにいますよ。蛇さんお早うございます」
・・・・・
おった・・・
一歩も動かんと見つかるとはウチも想定外や。
あかん、まさかの展開になに言おうか忘れてもうた。
「私に文句を言うのでは?」
そうや、そやった。
アンタ、よくもウチに嘘ついたなぁ。覚悟出来とんねやろな!
「嘘は言っていません。ちゃんと封印されていましたので」
ん?どういうことやねん。封印されとった?
「はい。先ほどその封印が解けました。ちなみに封印されてたのは貴方ですが。ふふふ」
ふふふ、や、あらへん。
ちょい待ち、ウチが封印されてた?なんの話や?
「そのまんまですよ。この洞窟ごと、貴方は封印されてました。実のところ、私は貴方と千年ぶりの再会になります」
意味わからん。
アンタさっき会ったやん。ボケたんか?
「ボケてはいません。ボケ担当ではありませんので。封印中は意識もありませんし、時間も停止していました。そう思われても仕方ありませんが、実際に千年経っています。嘘だと思うなら、洞窟の外に出てみれば宜しいかと」
また嘘ちゃうやろか。
しかし、この雌の服装が変わっとるな。早着替えでもしたんか?
それとも、本当に千年経っとんのか。
まぁええわ。
外に出ればええしな・・・って変わっとらへんやないか!
「そうですか?まぁ私も千年前の森の景色など把握しておりませんので、どこが変わったかと言われますと困りますが」
・・・・コイツ、どうしてくれようか。
「どうもしないで頂けますか?まぁ今のあなたにどうこう出来るとは思いませんが。ふふふ」
ふふふ、ちゃうわぁ!
「失礼しました。でしたらこうしましょう。私もあまり覚えておりませんが、この森はこの千年でかなり広くなりました。上空からお見せしますので、貴方の記憶と比べてみて下さい」
上空・・って、ちょい待ち!
首根っこ掴むなや。優しく抱っこせぇ。
「あら?それは失礼しました。ふふふ」
・・・・もうええわ。わざとやっとるやろ。
「あら残念、気づかれてしまいました。では行きますよ?」
聞くんやったら、返事待たんかい!
言うと同時に移動しよってからに。
ふむ・・・確かに森が広がっとるな。森の端が見えん。
ここに来た時は、端も見えたし、あっちに人間の街もあったはずや。
これは・・・認めるしかないなぁ。
1時間も立たんうちに、こうなるんはありえん。
「やっと分かっていただけましたか。では戻りますよ?」
だから聞くんやったら、返事待たんかい・・・
あと落とすんやない!ソッと降せや。
「ふふふ、いいですね」
なにがやねん・・・
「いえ、やはり貴方は面白いですね。封印を解いた意味がありました」
なんでアンタが封印を解くんや、封印した張本人やろ。
「アレは上司命令です、私の意思ではありません。なので、千年経ったら自動で解けるよう、設定しておいたのですよ。ふふふ、誰も気付かないんですよ。愚かな方たちですね」
・・・コイツ、どうしたらええんや。
ええんか?、上司にバレたら怒られんのとちゃうん。
「大丈夫です。上司の方々には合法的に退いていただきました。今、私に意見を言える人は居ません」
・・・・・ダメやコイツ、もうどうしようもできひん。
しかし、封印が解けたのはほんまみたいやし、これから能力取り戻しにいかな。
アンタ、封印場所知っとるんやろ?教えーや。
「構いませんが、お勧めはしません。せめてペアを組んでからのほうがよろしいと思いますが」
なんでや、ウチにペアなんていらんで。
1人で十分やさかいな。
「長い年月で、封印場所に街ができたりしています。あなたが行けば即殺処分です。せめて人間のペアで害が無いことをアピールするべきだと思いますが」
むむぅ、街か。
今までやったら問題やないけど、この状態で人間の相手はつらいしなぁ。
しゃーない、人間が来るのを待つしかないか。
「それがいいと思います。ではがんばってくださいね」
ありがとうな。で、結局アンタ誰何や?
「名乗るほどではありません。それでは」
・・・・消えよったか。
まあええ、とりあえずこの体にもなれなあかんし、慣らしながら人間を待てばええんやな?
そしてウチは待った。数えてないけど十年は待ったで。
そんなに待たんでも来るやろと思ったウチがあほやった。
あの雌、絶対こうなるって分かってて、提案しとったな。
今のウチ見て、ふふふって笑ってるのが見えるわ。
次ぎ会ったらしばく。問答無用でしばく、絶対や!
ふふふ「ふふふ、からかいがいがありすぎます」
???「どうかされましたか?」
ふふふ「いえ、別に」
???「?」




