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最終回

いきなり終わります。

「突然のご無礼を失礼します。警察ですがお話を宜しいでしょうか?」

サキョーは自分の非礼を侘びつつ目の前の男にそう言った。

ここは街の外れのビル。この街の治安最悪地帯だった。

 何故ならここは、マフィアの巣窟だからだ。

「断る、消えな。」

立ち塞がる男は言った。身長は180㎝はある、肩幅の広い、目付きの悪い顔がサキョーを睨む。

「すいませんね。こちらもほいそれと消える訳にはいかないのですよ。」

睨み付けに対し、東洋人特有のアルカイックスマイルで応えるサキョー。

「仕方無えな。なら力ずくでカタす。」

目付きの悪い男が振りかぶり、拳がサキョーの顔面に直撃した。

「中々良い拳です。が、素直過ぎて容易に対処が出来ます。」

間違えた、直撃したのは顔面ではない。手の平だ。拳を手で顔に当たる寸前で止めたのだ。

「テメェ」

怒りをたぎらせ、男はもう片方の手で銃を取り出す。

「私は銃は嫌いなんですがねぇ。」

そう言ってこちらも銃を取り出した。



「外が騒がしいな。」

発砲音を聞いた老人は呟いた。真っ白になった髪、曲がった腰の東洋人。年月は人間を変える。しかし、その眼には刀のような鋭い光が変らず在った。

 男の名はゴウゾウ。最も歴史あるマフィアグループ、「センジョウジカイ」の組長だった。

外で発砲音がした後、彼に目の前には自分と同じ東洋人がやって来た。覚えのある顔の警官だった。

 「何だ、手前か。」

 「お久しぶりです。センジョウジさんも相変わらずで。」

 「笑わせんな。相変わらずなもんか。相変わらずはお前だ。今日も薬売ったバカとっ捕まえたそうじゃねえか。」

 「ええ、まあ少し。力技で…。」

「で、ウチのもそれでやったと…。」

「すいませんでした。少し荒っぽかったもので…」

「いい。で、それより本題の方は?」

「…、話が早くて助かります。実は…。」










「いーじゃねーか。オレも入れてくれ!」

「駄目です。警察の方とは言え令状なしにこの会場には入ることは許しません。」

「そこを何とか…。」

オレは今、小難しい研究者達の立食パーチーに来ていた。

 別に勉強に目覚めた…。なんてこたーない。偶々屋根上の散歩者をやっていたらテロリスト見つけたんでしょっぴこうと思ったらここに入っていきやがった。

 オレも入ろうとしたんだが、受付のがダメと言ってきかない。どうやら頭の良いヤツしか入れたくないらしい。

 受付のが眼鏡をわざとらしくクイと上げ、鼻持ちならねえ顔してこう宣う。

「いーですか!今回のパーティーは選ばれた賢者のみに参加を許された!いわば、賢者の宴なのです。キミのようにどこの馬の骨とも知らぬ輩の入っていい場所では無いのです!もし!入りたいというのであれば輝かしい功績と論文を書いて持って来て下さい!まぁ!ム・リ・デ・ショ・ウ・ガ!」

 この野郎!公務執行妨害でしょっぴいてやろうか。

そんなことを思っていると、後ろから声が飛んできた。

「ジョーン・ジョンじゃぁないか!ジョーン!久々だなぁ!」

「あれぇ?教授?なーーんだ!生きてたんですか教授ぅ!」

再会に感動しちまう。我が大学時代の恩師。プロフェッサー・カルナノフが居た。

「オイ!私を簡単に殺すな!それよりお前だジョン!もしかして危険な調査中におっ死んじまわないか!私は心配なんだ。なんだってお前は警官の道に行ってしまったのだ!?お陰で学問の業界は大損害だ!クビになったらウチの研究室にまた来い!今の准教授を首にしてキミをすげ変えよう!」

「…。プロフェッサー・カルナノフ?こちらの方は?」

受け付けは困惑していた。目の前のインテリジェンスの欠片もなさそうな不良警官が、我が国最高学府において教鞭をとっている大天才。最高の頭脳たるカルナノフ氏と仲良く話している。しかも、准教授?

「おー、キミか。彼はコリー・ジョンソン。私の教え子の中で最高の頭脳を持つ、私の大学史上最高の首席だ!自慢の教え子だ!」

…………この男が?

「教授、実は今日は調査(・・)に来ているんです。中に入れて頂きたいのですが、私は入る資格は無いでしょうか?」

警官はわざとらしく教授に言う。この男…。

「ハッハハハハハハハハハハハ!何を言う?この会は賢者の宴!お前が来ちゃならん理由何ぞ何故ある?ホラ、行くぞ!私も君の調査に協力しよう!お前の調査は実に面白い!」

そう言って警官を連れて教授は会場に入っていった。


クソ!


コリーが受付に向けてアカンべーをしたのを見て受付は毒づいた。


「成程、やはり、そういう事でしたか。」

「全く、ふざけた世になったモンだ。俺達真面目な極道が莫迦みたいだな。」

「警官にそんなことを言わないで下さい。はぁ、では私は行きます。」

「そうか。また荒れるな。」

「はい。 それが、私の仕事ですから。」

サキョーはそう言ってビルを出て行った。















「教授、有り難う御座いました。」

「イヤイヤ礼には及ばん。」

あの後、パーチーに入った後、瞬殺してテロリストは今、俺の前にふん縛られていた。

「それでは、私は少々逃走中の身ですので。さようなら。教授。」

「おー、じゃぁな。」

逃走を開始しようと思ったら、胸ポケットが振動した。

「ん?なんじゃこりゃ?」

身に覚えのないペンが有る。

「……もしもし、ジョンですか?」

ペンが喋った。

「オイオイオイ、サキョー!お前何だこりゃ?」

「緊急用の連絡機器です。君にペンを貸すついでに仕込ませて貰いました。」

プライバシー侵害も甚だしい。

「何の用だ?テロリスト捕まえてコッチは逃げるトコなんだが…」

「矢張り…、君、今日何が有りました?」

「え?逃走中に色々、淫行の他はカラーギャングに横領etcを告発。あと、自殺防いだっぽくて、テロリスト逮捕。」

「私もです。これ、どう考えたっておかしいですよね?」

「あー、中々ハードワークだなぁ。ボーナス出っかなぁ?」

「そうでは無くて…。」

「あー。やっぱそうか、気になる発言してたヤツいたしなー。」

「それで、どうしますか?」

「決まってんだろ?」

「…行きましょうか。」

「OK行こう。」
















管内で様々な事件が起きている。強盗、万引き、麻薬取引、暴行。

あぁ、計画通りだ。非常に、非常に予想通りだ。あぁ、良い。良い。

 この街の警察署署長にして模擬訓練の提案者にして訓練を機に犯罪の活性化を行っていた黒幕。ドールマンは笑っていた。

「署長チャーッス!」

「署長観念して下さい。」

 居る筈無い男たちの声が聞こえた。


「おぉ、君達、訓練はどうしたのかね?」

急に来た招かれざる客に対して署長の顔を貼り付け、それを向ける。

「逃げてきました。というより、署長。何故この場所に我々が居ることに対する疑問が無いのでしょうか?」

「アンタなんで署長室じゃなくてこんな廃ビルに居るんだよ?ここマフィアの巣窟だぞ?殺されたって文句は言えねー。」

……………そうだ。何故こいつ等、俺の場所を?

「答えは簡単でしょう。貴方が本日の犯罪の急増現象を引き起こしたから。彼らから金品を貰いに来たのでしょう。」

こいつら…。知ってたか…。

「ったく、正義の味方のお巡りさんのボスが何だってこんなことしてんだ?」

「ちなみに、しらばっくれるのは得策では無いですよ。とあるところからの確実な情報で、あなたが今日の模擬訓練中は警察の捜査が甘くなる。と言いふらしていたことを確認しています。」

チッ

「知ってたか…。じゃぁ、お前ら、次に何をすべきか分かるよな?」

「タイホ」

「貴方を逮捕します。」

「はぁ、残念だが違う。…お前らは二階級特進するんだ。死んでな…。」

ガシャ

廃ビルのあちこちからお揃いの黒いスーツを着たサングラスの男たちがわらわらと湧いてきた。

 手に銃を持って。だ。

「オイオイオイオイオイ、大丈夫かよ?」

「無駄なことはやめて頂きたい。銃は嫌いなんです。」

 目の前の二人は背中合わせになりながら口走る。

「何か言い残すことはあるか?」

殉職するヤツには優しくしてやらんとな。最期の言葉くらいは胸に秘めておいてやろう。

 「言い残すコト?言い残すことねぇ…」

「言い残すこと?ですか…」

男たちは逡巡すると、二人ともこう言った。

「そんなものありません。」

「やれ。」

黒スーツに合図をだすと、一斉にスーツが銃を構える。

四方からの一斉射撃。遮蔽物は無し。完全に決まった。


しかし、その中で二人は笑っていた。


「だから無いって言ってんだろ。」

「だから無いと言っているのです。」

サキョーが銃を取り出す。

コリーも銃を取り出す。

バラバラバラバラ、銃が火と鉛を吹く。それを躱すとサキョウーが先に撃つ。

バン、バキャン バン、バキャン バン、バキャン


発砲音を追うように響く爆裂音。銃口に弾丸を命中させることで人為的に暴発を引き起こす超高難度射撃術、サキョーを署内トップと言わしめる超絶技巧「キスショット」だ。

 「オレも忘れんなー!」

爆裂した銃に怯む黒スーツを相手にコリーがゴム弾を打ち込む、のではなく、誰もいない壁に撃ちこむ。

 しかし、


「が!」

「グぁ!」

「ウッ。」


黒スーツはバタバタ倒れていく。

天才的頭脳によって瞬時にゴム弾の跳弾軌道を計算し、後頭部への射撃を行う。



チェックメイト。詰み。王手。

二人の完全勝利だった。



「何故だ、何故貴様らのような奴らがこんなところで警官何ぞやっているんだ!」

 怒鳴り喚くように怒り狂う署長にオレ達はこの言葉を叩きつける。

「この国の最高学府を首席で出て、武術の達人」

「現警察の拳銃のトップ。」

「「そんな オレ/私 達だから警官やって るんだ/いるんです。」」


「警官ってのは」

「強くて」

「アタマが良くて」

「厳しくて」

「優しくて」

「「正義の味方だ。」」

「だから警官の未成年への淫行を罰するんだ。」

「マフィアの違法薬物売買を許しは致しません。」

「道を踏み外しそうな若者を叱る」

「強盗から市民を守ります。」

「自殺しそうな人を止めるし」

「殺人をさせません」

「「そして」」

「正義の味方気取った」「警察署の署長を」「許す訳にゃー」「いきません。」

「「ドールマン署長」」

「オマエを逮捕する。」

「貴方を逮捕します。」

ガシャ

数多の事件を引き起こした諸悪の根源が今、二人の警官によって逮捕された。


何だか最後尻切れトンボに成っちゃいましたが、いかがでしたか?

出来たら感想等を送って頂けると、いや、評価だけでもいいのでお願いします。

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