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三国志  作者: 大田牛二
第一章 数多の戦旗

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劉郃

 中常侍・呂強りょきょうは清忠(清廉忠直)で公事を優先していた。


 霊帝れいていが衆例(他の宦官の例)に則って呂強を都郷侯に封じようとしたが、呂強は固く辞退して受け入れず、これを機に上書して政事について述べた。


「私が聞くに、高祖の重要な誓約では、功臣でなければ侯になれません。これは天爵(天子が与える爵位)を重んじて勧戒(奨励すべきことと戒めるべきこと)を明らかにするためです。中常侍・曹節そうせつらの宦官は祐(天の助け。福)が薄く、品格が低くて人も賎しいのに、讒諂(讒言と追従)によって主に媚び、佞邪によって寵を求め、趙高の禍があるのに轘裂(車裂)の誅を被っていません。陛下はこれを悟らず、妄りに茅土(封土。爵位)を授け、封国を建てたり後継者を立てる時、小人を用いており、彼らはそれが家人にも及んで金印紫綬を積み重ね、互いに邪党を結んで下は群佞と親しくしています。陰陽が乖剌(調和しないこと)し、農業が荒廃し、民の必要とする物が欠乏しているのは、全てこれが原因です。私は既に行われた封爵について語っても意味がないことは理解しています。それでも死を冒して干渉し、愚臣の忠言を述べるのは、実に陛下が既に犯した過ちを改めて、今後一切止めることを願うからです」


「私はまた、後宮の采女が数千余人もおり、衣食の費が日々数百金に上っているとも聞きました。最近は穀物が安くなっているのに、各戸に食糧が少ないのに安くなっています。法(法則、道理)に則るなら貴くなるべきなのに今、更に賎く(安く)なっているのは、徴収が繁数(頻発、頻繁)なので、値を安くして朝廷に納めているのです。そのため民は寒くても服を着ることができず、飢えても穀物を食べることができず、民にこのような厄があるのに憐憫されません。宮女が無用なのに後庭を満たしているので、天下がたとえこれ以上、耕桑(農業)に尽力しても、まだ供給できません」


「また、以前、議郎・蔡邕さいようを召して金商門で陛下の問いに答えた時、蔡邕は敢えて才徳を隠して国を迷わすことがなく、厳しい直言を極めて陛下の問いに回答し、貴臣を批難して宦官を譴責しました。ところが陛下がその言を秘密にしなかったため、暴露させることになり、群邪が勝手に振る舞って言語を使い尽くし、競って噛み砕くことを欲し、飛條(緊急の上書、または匿名の上書)を作成しました。すると陛下はそれに惑わされて誹謗を受け入れ、蔡邕に刑罪をもたらし、室家を放逐して老幼を流離させました。これは忠臣を裏切ることではありませんか。今は群臣が皆、蔡邕を戒めとし、上は不測の難を畏れ、下は剣客の害を懼れているので、私は朝廷が再び忠言を聞くことはできないと知っています。故太尉・段熲は武勇が並ぶ者がなく、辺事に習熟しており、幼年で従軍して老齢になってから功を成し、二主(霊帝と桓帝)に代々仕え、勲功業績が一人輝いていました。陛下は既に式序(功績の序列)によって段熲の位を三公に登らせたのに、段熲は司隸校尉・陽球ようきゅうの誣脅(誣告と脅迫)によって一身が倒され、妻子が遠播(遠くに遷すこと)されたため、天下が失意して功臣が失望しています。蔡邕を召して官職を与え、段熲の家属を戻すべきです。そうすれば忠貞の路が開け、衆怨が収まるでしょう」


 霊帝は呂強の忠心を知っていたが、進言を用いることができなかった。






 四月、天下に大赦が行われた。


 上禄長・和海わかいが上書した。


「礼によるならば、従祖兄弟(祖父が異なる同世代の親族)は別居して財産を別けるものです。彼らの間では恩義が既に軽くなり、親族の関係も疎遠になっています。しかし今、党人の錮は五族に及んでおり、典訓の文(典章制度)から乖離して経常の法(正常な法)にも合いません」


 上書を読んだ霊帝は過ちを悟った。


 この後、従祖以下(祖父の兄弟とそれ以下の親族)の党錮が全て解かれた。


 以前、司徒・劉郃りゅうこうの兄に当たる侍中・劉鯈が竇武と共に宦官誅殺を謀ったため、竇武が殺された時に劉鯈も殺された。


 永楽少府・陳球ちんきゅうが劉郃に言った。


「あなたは宗室の出身で、位が三公に登り、天下が嘱望しております。社稷の鎮衛(国を守る者)がどうして雷同して容認するばかりで、他者の意見に違えずにいられるのでしょう。今、曹節らが放縦して害を為しており、しかも久しく陛下の左右にいます。また、あなたの兄である侍中も曹節らによって害を受けました。今なら上表して衛尉・陽球を司隸校尉に遷し、順に曹節らを逮捕して誅殺することができます。政が聖主から出れば、天下太平は足を挙げて待つだけです(わずかな時間の喩え)」


 劉郃は言った。


「凶豎(凶悪な小人)には耳目が多いため、機会を得る前に、先に禍を受けることを恐れる」


 尚書・劉納りゅうのうが言った。


「国の棟梁となりながら、傾いて危うくなっても支えなければ、どうしてこのような大臣が必要でしょうか」


 劉郃は承諾して陽球と共謀した。


 ところが、陽球の小妻(妾)が程璜ていこうの娘だったため、曹節らが徐々に情報を得るようになると、程璜に厚い賄賂を贈り、併せて脅迫した。懼れて追い込まれた程璜は陽球の謀を曹節に告げてしまった。


 曹節らが共に霊帝に報告した。


「劉郃と劉納、陳球、陽球が書疏(書信)を行き来させて不軌を謀議しています」


 霊帝は激怒した。


 十月、劉郃、陳球、劉納、陽球が皆、獄に下されて死んだ。



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