失恋?だと思います
「ずっと先輩のことが好きでした」
卒業式でずっと好きだった先輩にそう伝えた。
「正直気持ちはうれしい。でも俺彼女いるから遥香とは付き合えない」
きっぱりと先輩は言ってくれたが、その顔はとても複雑そうだ。仲の良い後輩が、まさか自分のことが好きだとは夢にも思わなかっただろう。しかしあまりにその顔が面白くて、笑ってしまった。
「ふっ、先輩顔情けないですよ。私が先輩に彼女いるって知らないわけないじゃないですか」
「ま、まあ遥香はいろいろ相談に乗ってくれてたしな」
「というわけで、これは私の自己満足なんです」
そう言うと、先輩の顔はもっと複雑そうになった。
「俺はどういうリアクションすればいいんだ?」
私はいつも通りに先輩と話せれば良かったのだ。テンポの良い会話が、私に先輩と仲が良いことを実感させ、好きになったのだから。
「笑って、ありがとな!って言えば良いと思います。ただしイケメンに限る」
「よっしゃ、俺はイケメン枠だもんな」
「気のせいじゃないですか?」
「そこは笑って肯定しろよー」
好きになった先輩だけれども、残念ながらイケメン枠には入らないだろうと、客観的に見てしまう。どうして好きになったのか分からなくなるときがある。
「まあ、遥香にはお世話になったし、2年間楽しかったわ。ありがとな」
「こちらこそ」
今更こういうことを言われると照れくさくなってしまう。でもすごくうれしい。
「陽平ー!そろそろ行こうぜ!」
向こうで大きく手を振って先輩を呼んでる人がいる。
「これからクラス会あるんだ」
「卒業式終わったあとにすぐですか?」
「こういうのは早いほうがいいんだよ」
「じゃあ先輩さよならですね」
「そだな」
ちょっと寂しくなってきた。でもそれが顔に出てたらしい。
「卒業したら俺たち友達枠なのかな?」
「そうなりますかね?」
「まあ、気がむいたら連絡するわー。それまで元気でな」
「期待しないで待っときます」
「それじゃ、またな!」
先輩が行ってしまったそのあと、教室に戻ると友達の由里子が声をかけてきた。
「遥香ー!ちゃんと言えた?」
「言えた、言えた」
「良かったねー」
「うん、すっきりした」
由里子は私が先輩のことを好きで、先輩に彼女がいることも知っていた。先輩とも面識がある。
「よし!じゃあカラオケ行って発散しよう!」
「いや、今日はちょっと……」
断ろうとしたら由里子が心配そうな顔になった。
「ごめん、ちょっと気を使わなすぎた……?」
「いやいや、ちょっと余韻に浸りたいというかなんというか……。未練ではないが、そういう気分?」
「あー分からなくもない」
由里子はウンウン頷くと、
「じゃあ遥香気をつけて帰って、傷心で死なないでね!」
「そのくらいだったら今号泣してるよ」
「だなー」
帰り道、自分で客観的に振り返ってみると、あまり傷ついてはないなと自分でも思う。
「一応ちゃんと好きだったのになー」
別に先輩の彼女に意地でもなろうという気はなかった。ただ言いたかっただけなので、言った通り自己満足でしかない。
「よーし!これも青春!うん!」
少しだけ涙が出るけれど、これは未練ではない。自分的にはすっきりした気分だ。
そうして私は元気に家に帰っていった。
読んでくださりありがとうございます。
処女作のため未熟ですが、続けていきたいと思います。訂正、編集することも多いかもしれないです。